レビュー

「この一文はルール違反である」。
三行で撃つというのは、漫才でいうところの掴みのような技術だ。

自分に興味のない人に、自分の文章を読ませる。そのためにプロの物書きは掴みを練り上げてきた。
さて、物書きとしての経験が豊富な著者が、そのメソッドを一冊に集約した。それが本書である。タイトルのとおり、初手で読者の関心を引き込む技術はもちろんのこと、文章についての幅広い知識や、編集者との付き合い方、物書きの心構えといった、多岐にわたる情報が散りばめられている。
考えてみれば文章というのは、我々の生活の核だ。仕事や日常において多くの文章が行き交い、そして意識せずとも私たちの脳にしみ込んで、行動や関心を変えてしまう。とすると、仕事で成功したいのであれば、文章への理解を深めるのが必要不可欠ではないだろうか。普段、何気なく送っているメール。退屈な報告書。かったるいレポート。これらを研ぎ澄ますことで、仕事の質そのものを変えてしまうことができるかもしれない。

たかが文章、を、されど文章、にする。こうした価値観の変容をもたらすのが本書の魅力だ。ページを繰れば、普段目にしているSNSのそれですら、一味変わったものに思えてくるだろう。
ちなみに冒頭の一文は、「銃を見せたら発射させなければいけない」という本書の原則に反している。その意味で、これはルール違反なのだ。こうした“悪文”を書かないよう、本書を熟読していただきたい。

本書の要点

・読者は書き手に興味がない。だから、最初の掴みに魂を込める。ふとした拍子に見た新聞や雑誌の一文で引き込ませるように、三行で撃つのである。
・語彙を増やすのには辞書を使えばいい。だが、辞書で出てきた単語でそのまま言い換えるのは下の使い方である。辞書を引いていき、自分の表現を変調させるところまで上手く使う必要がある。


・文章は人のいるところに撃たなければならない。読者の関心領域をつぶさに観察し、人のいる場所を探り当てるのだ。そしてその話題が意味するものは何かを吟味する。



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