「101回目のプロポーズ」
(1991年/フジ系)
◇ ◇ ◇
年明け早々にボッ発した湾岸戦争の報道のさなか、女子たちが月9「東京ラブストーリー」でリカとカンチに夢中になってた1991年。バブルははじけたというのにジュリアナでは夜な夜なボディコンが腰をくねらせたあの夏、月9は冬の“東ラブ”を超える大ヒットを飛ばす。
テレビが黄金期を振り返る企画に何度も登場し、見てない人も「SAY YES」のイントロや、あのセリフが刷り込まれた、90年代を語るに外せない作品だ。
武田鉄矢(当時42)が月9で浅野温子(同30)の相手役。内容はみんな知ってるだろうし、字数制限もあるから、ドラマの中身については省略する。でも、どうしても語らなければいられないのは、今振り返っても奇跡的ともいえるキャスティングだ。
若者に人気の旬の俳優を起用してきた月9には最も縁遠いはずの“おっさん”だもの。放送開始ちょっと前の6月までNHK大河「太平記」でちょっと“金八”っぽい楠木正成を演じていたのが、湊川で自決した直後に月9に転生。
第6話の「僕は死にません」は、大河を見ていたら「あんたちょっと前に死んでます」と、思わずツッコミたくなる。いや、そうならないか。高視聴率の大河と月9でも、視聴者層はほとんどかぶってなかったから。
武田鉄矢の弟役だった江口洋介(当時23)も光った。冬の「東京ラブストーリー」でカンチの友人の三上を演じ、トレンディー俳優の仲間入りを果たしたばかりなのに、“金八”とロン毛兄弟。
93年春の月9で彼が主演した「ひとつ屋根の下」は、第11話の視聴率が歴代トップの37.8%だけど、同じ野島伸司脚本の「101回目のプロポーズ」がその下地になっていたと僕は思っている。
当時を知らない世代は、月9を恋愛物中心の“トレンディー”と認識しているかもしれない。確かに恋愛絡みは多かったけど、純愛もあったし青春もあったし、ジェットコースターもホームドラマもあった。いろいろ試しながらも、視聴者をとりこにしてしまう魔力みたいなものが、確かにあった。
長嶋茂雄さんが「ヘイ、カール!」と叫び、小学生がコンビニでバーコードを探していたあの夏。月9はトレンディーじゃないおっさんの奮闘で、その存在を盤石にした。まさにドラマが熱かった季節じゃ、あ~りませんか((C)チャーリー浜)。
(テレビコラムニスト・亀井徳明)

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