【あの人は今こうしている】


 烏丸せつこさん(女優/71歳)


 1979年、クラリオンガールとして鮮烈デビューし、あどけなさと抜群のプロポーション、数々の“ツッパリ発言”で一躍、時の人となった烏丸せつこさん。自己破産や離婚でメディアを騒がせた時期もあったが、今、どうしているのか。


  ◇  ◇  ◇


 烏丸さんに会ったのは、JR新宿駅から徒歩3分の映画館「K's cinema」の控室。映画「八月の杜」の初日舞台挨拶を終えたところで、烏丸さんはなんと主演。客席は満員だった。


「若い頃パッと出てきたあの女優が、今どんなおばあさんになっているのかなって面白がられてるんじゃない(笑)。私、主演なんて本当はイヤなの。責任があるし撮影はキツイし。『八月の杜』は2週間、朝から晩まで撮影だった。撮影してるときは楽しいし、気を張っているからいい。でも、後でドッと疲れが出て」


 烏丸さん、こう言って笑った。烏丸さんは両親の面影を求めて上京する、元戦災孤児の80代女性の役。“日活ロマンポルノの女王”といわれた白川和子との共演は見どころだ。


「白川さんは『今が一番楽しい』って。

やる気があって素晴らしい。私はそこまでじゃない。80歳を越えて足腰がしっかりしてるのは、一部の特別な人だけ。私は今は元気で、大きな病気をしたこともないけど、それもあと10年ぐらいよ。だから、女優の仕事は脇で、気に入った作品を少しやれればよくて、あとはノンビリ好きなことをやりたいのよ」


 デビューするなり、映画「四季・奈津子」「マノン」「駅 STATION」などで活躍していた烏丸さんの初期からのファンは、まだまだ多いと思うが。


「私の若い頃は、みんなバンバン脱いでいましたよね(笑)。ヘンな時代だった。もう、あれは“別の人”って感じ。その後、いろいろあって、生活のため、子どもを育てるために、気の進まない作品でも出ていた時期が長かった。それが一段落したとき、やっぱり演じるって面白いなと思えるようになったのよね」



■34年ぶりに映画主演。“毒舌PR”が話題に

 NHK大河ドラマ「功名が辻」、ドラマ「花嫁のれん」シリーズ(東海テレビ)、映画「教誨師」などで活動を続けてきた。4年前には「なん・なんだ」で、34年ぶりに映画で主演し“毒舌PR”が話題に。


「PRに協力しなくていいと言われていたのに、することになったもんだから、言いたいことが止まらなくなっちゃった。でも、かえって宣伝になったみたい(笑)」


 烏丸さんらしいなぁ。この7月、故郷・滋賀県大津市に、大手レコード会社に勤務していた夫と2人で転居したという。


「町をブラブラ歩くのが好きなんだけど、東京は人が多い。自然の多い田舎に戻るのもいいかなと前からボンヤリ考えてたの。大津には両親はもういないけど弟がいるし、私は高校までしか滋賀にいなかったから、滋賀をもっと見ておきたいと思って。2歳下のダンナが仕事を終えたから、それをきっかけに引っ越した。ダンナは滋賀に縁がないのに一緒に来てくれたのよ。そんな人、なかなかいないし、私もダンナが一緒なら楽しいかなって思えたから行動に移せた。ダンナを大事にしないとなと思ってる」


 前夫との間にもうけた43歳の長女と35歳の次女は仕事をもち、結婚もし、関東圏に暮らす。


「私は子どもベッタリじゃない。ダンナが一番。

相性がいいんだよね。毎夜、晩酌して、夜中2時ごろまでアマゾンやNetflixで海外の映画を見て、朝9時か10時ごろにゆっくり起きる生活を楽しんでる」


 孫はいないが、「別にほしくない」のだそうだ。


 (取材・文=中野裕子)


▽烏丸せつこ(からすま・せつこ) 1955年2月3日、滋賀県生まれ。79年、6代目クラリオンガールに選ばれ芸能界入り。CMやグラビアで注目を浴び、80年、「四季・奈津子」で日本アカデミー賞主演女優賞などを受賞。一時、家庭に入るも、後に復帰し2022年、映画「なん・なんだ」で34年ぶりに主演。「八月の杜」は全国順次公開中。


編集部おすすめ