水谷豊が隠居した旗本・日向半兵衛を演じる人気シリーズ「無用庵隠居修行10」(BS朝日)が9月22日、放送される。


 半兵衛(水谷)は、のんびりと生活を送りたいと言いつつ、持ち前の正義感から、用人の勝谷(岸部一徳)、おてんばな年下の妻・奈津(檀れい)とともに事件解決に乗り出すことになる。

原作は直木賞作家・海老沢泰久。脚本は「超高速!参勤交代」の土橋章宏。痛快なエンタメ時代劇だ。


 今回、半兵衛は若いころに陽明学を学んだ塾生仲間の田島(梨本謙次郎)と再会。幕府が朱子学を奨励したため、仕事を失い、妻も亡くしてすさんだ日々を送る旧友を励まそうとする半兵衛だが、田島の住む長屋は法外な家賃値上げを要求されていた。その裏には悪徳商人の存在が。そんな中、長屋で自殺者が出てしまう。隠居世代の孤独や哀愁、同窓生との切ない再会、地面師のような悪の影も!?


 ゲストには、陽明学の師範役で里見浩太朗が登場。意外にも水谷とは初共演だった。里見は今年90歳。演出は「水戸黄門スペシャル」を担当した経験もあり、里見とはなじみの深い91歳の吉川一義監督。時代劇レジェンドの演技も楽しみだ。


 また、このドラマには、3つの「名物シーン」がある。


 ひとつは、「変装」。これまでのシリーズでも半兵衛は、絵師や商人、派手派手なバカ殿様(!?)などに扮して、悪人たちをギャフンと言わせ、奈津も妖艶な花魁姿になって「あたいを誰だと思ってるんだい!」などとたんかを切ったりした。


 新作で半兵衛は、怪しげな祈祷師になる。檀はシリーズに欠かせない女将役の中山忍小川菜摘と3人娘を結成し、踊ったり黄色い声を出したりするという。ポイントは、みんなノリノリで変装していること。


 2つ目は、水谷、岸部、檀のとぼけたやりとり。今回は、あの蔦屋重三郎(片桐仁)が出てきて、半兵衛と勝谷に春画を見せる。はたして彼らの反応は……。他にも半兵衛を評価する老中・松平定信に杉本哲太、火付盗賊改方・長谷川平蔵に榎木孝明が出演。水谷の代表作「相棒」では、官房長役だった岸部はじめ、何かと対立もしてきた杉本、榎木だが、本作では、バッチリ手を組んで悪を討つ。このあたりもファンにはたまらないところだ。


 そして3つ目は、半兵衛の立ち回り。「隠居に何をさせるつもりだ」と言いつつ、悪に怒り、歯向かう相手は、ビシッと剣で打ちのめす。シリーズを重ね、ますます元気なご隠居ぶりを見せる水谷の殺陣にも注目だ。


(ペリー荻野/時代劇研究家)


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