ウクライナによる相次ぐドローン攻撃で、ロシア連邦国内の製油施設が深刻な打撃を受け、異例の深刻事態に陥っている。こうした中、世界有数の産油国であるはずのロシアが、日本国内で積み込まれたジェット燃料を緊急輸入する計画を進めていることが明らかになった。
ロイター通信やウクライナの英字紙キイウ・ポストなど複数の欧米メディアが、2026年7月3日までに事情に詳しい関係者3人の話として一斉に報じた。取引には複数の民間トレーダーが関与しており、対露制裁による追跡網を回避するため、韓国沖での「瀬取り(洋上での積み替え)」を経由する複雑な迂回ルートが構築されているという。

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 主要メディアの報道を総合すると、この調達計画では、2026年7月前半に日本の千葉港で少なくとも20万バレルのジェット燃料(航空燃料)がタンカーに積み込まれる。燃料を載せたタンカーは最初の目的地として韓国へと向かい、韓国南部の麗水沖の公海上で、別のタンカーへと荷を移し替える「シップ・トゥ・シップ(STS)」方式の洋上積み替えを行う。その後、最終的な受取先であるロシアへ向かうとみられているが、ロシア国内の具体的な最終目的地については現時点で明らかになっていない。

 船舶追跡データ会社ケプラーの統計によると、ロシアが同様のルートで日本発のジェット燃料を輸入したケースは、ウクライナへの全面侵略が始まった2022年2月に麗水経由で極東ウラジオストクへ2万2000バレルが輸送されて以来、約4年ぶりの異例の事態となる。

 欧米メディアは、今回の燃料調達の背景として、ウクライナ軍が数か月にわたり敢行しているロシアのエネルギーインフラへの組織的な航空攻撃を挙げる。侵略開始以降、ウクライナによるロシアの製油所や貯蔵タンクへのドローン攻撃は少なくとも158回に達し、ロシア国内にある主要な大型製油所33施設のうち、年間100万トン以上の処理能力を持つ24施設が標的となった。特に直近の2026年6月には、モスクワ製油所やルクオイル、タトネフチ傘下の主要製油所が相次いで操業停止に追い込まれ、一連の攻撃によってロシア全体の製油能力の約3分の1が喪失したと推定されている。

 この結果、ロシア国内のジェット燃料やガソリンの需給は極度に逼迫している。ケプラーのデータによれば、ロシアのジェット燃料の輸出量は2025年には日量約3万バレルを維持していたが、2026年には日量約1万3000バレルへと半分以下に急減した。輸出余力を失ったばかりか、国内の供給網も麻痺状態にある。
キイウ・ポストなどは、モスクワやサンクトペテルブルク、シベリアなどの広範な地域でガソリンスタンドに長蛇の列ができ、購入制限が敷かれるなど国民生活に混乱が広がっている実態を報じた。さらに、一部の給油所では政府関係者を意味する「ガバメント(政府)」という合言葉を告げた車両だけが優先的に給油を受けられるという、特権的な配給制に近い状況まで報告されている。地方の航空会社からは、航空燃料の枯渇を懸念する悲鳴が上がっているという。

 夏の需要期を迎えたロシア国内では、日量約11万トンのガソリン消費が見込まれているが、自国での生産が追いつかないため、航空燃料以外の石油製品でも近隣国からの緊急輸入を急増させている。ロシア政府はすでに、インドから約6万トン、カザフスタンから約5万トンのガソリン輸入に踏み切ったほか、ベラルーシからも毎月10万トンから15万トンのガソリンを調達している。しかし、これらを集約しても国内の旺盛な夏期需要を満たすには依然として不足しており、今回のアジア圏からのジェット燃料調達は、まさに文字通りの「枯渇の危機」を反映したものと言える。

 今回の取引に関し、キイウ・ポストなどの取材に対し韓国政府はコメントを拒否し、日本政府(経済産業省)およびロシア・エネルギー省は回答を行っていない。日本は主要7か国(G7)の一員としてウクライナへの非軍事支援を継続し、対露制裁に足並みを揃えてきた立場にある。それだけに、第三国の仲介トレーダーを挟む形とはいえ、日本産の石油製品がロシアの戦時経済や航空インフラを支える形で流出している今回の事態は、今後の国際社会における制裁の有効性を巡る議論に一石を投じる可能性がある。

 欧米各紙は、一連の事態について「巨大な産油国であり、世界中にエネルギーを供給してきたはずのロシアが、日本の千葉から航空燃料を買い漁らざるを得ない状況に追い込まれた」と指摘し、ウクライナによる経済戦術がロシアの中枢に決定的な打撃を与えつつある象徴的な一幕として、高い関心を持って伝えている。
【編集:af】
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