2026年08月10日、中国経済を専門とする識者が、中国EVメーカー各社が直面する深刻な販売不振と収益性悪化の実態を詳細に分析した。BYDをはじめとする大手メーカーは、2026年に入り新車販売台数が急減し、利益率は危機的水準にまで低下している。
従来、この急激な失速は中国政府による購入補助金の削減・打ち切りが主因と説明されることが多かった。トランプ米政権下で補助金撤廃がテスラの販売減を招いた構図と重ねれば、一見すると分かりやすい。しかし、専門家が中国市場の内部動向を徹底調査した結果、政策変更だけでは説明できない、メーカー自らが招いた構造的欠陥が存在することが明らかになった。

その他の写真:中国EV車イメージ(フィリピン・ダバオ市)

 事態の深刻さを象徴する事例がある。中国のある消費者は約2年前、60万人民元(日本円で約1200万~1300万円)という高額を投じ、ハイエンド中国製EVを購入した。走行距離は2万キロ台で車両状態は新車同然。しかし、この所有者が中古車販売店に査定を依頼したところ、提示された下取り価格は約32万人民元(約600万円)。わずか2年で半額近くまで暴落していた。一般的なガソリン車では考えられない異常な価値の目減りである。さらに衝撃的だったのは、査定担当者の言葉だ。「次にEVを買うなら中国メーカー製ではなく、絶対にテスラを選びなさい」。自国製品を拒絶し、他国ブランドを推奨するという、業界のプロが発した異常事態である。


 この資産価値崩壊の元凶こそ、中国EV業界全体が陥る「モデルチェンジ地獄」である。メーカー各社は苛烈な生存競争に追われ、わずか2~3カ月という異常な短期間でモデルチェンジを繰り返す。スマートフォンの年次更新をはるかに上回る速度だ。もちろん、数カ月でフルモデルチェンジは不可能であり、実際には制御システムや細部パーツをわずかに変更し、最新モデルに見せかけているに過ぎない。しかしメーカー側は常に最新モデルの価格を基準に市場へ提示するため、購入から半年~1年しか経っていない車でも急速に型落ち扱いとなる。結果として、2年前に1200万円以上で購入した高級車であっても、市場では「何世代も前の古い車」と判定され、中古価格が暴落する構造が形成されている。

 さらに消費者を苦しめるのが、中国メーカー特有の近視眼的なアフターサービス体制と「売り逃げ」の体質である。多くの中国EVメーカーは、一度売り切れば顧客ケアやアフターフォローをほぼ行わない。部品故障で純正部品を交換しようとすると、メーカーは信じられないほど高額な費用を請求する。ではサードパーティ製の汎用部品を使おうとしても、システム側の制限によりライトなどが正常作動しないよう設計されている事例が相次ぐ。高額な純正部品を強制し、購入後の顧客からさらに資金を巻き上げる「悪質商法」と言うほかない囲い込みである。

 これに対し、テスラなど外資系大手は純正部品供給体制や品質保証を厳格に整備し、顧客を長期的に大切にする姿勢を崩さない。
初期費用が多少高くても、維持費やリセールバリューを含めた総合的コストパフォーマンスではテスラが圧倒的に優位となる。

 中国国内の景気減速も重なり、消費者はメーカー側の身勝手な仕掛けを見抜き、中国製EVから離れてテスラなど外資ブランドへ急速に流れ始めている。顧客との信頼関係を無視し、目先の販売台数と短期利益だけを追った結果、メーカー自らが自らの首を絞める悪循環に陥っている。

 国内市場での苦戦から逃れるため、中国メーカー各社は日本、東南アジア、中東、中南米、欧州など海外市場への進出を急速に強めている。日本の軽EV市場を狙った安価モデル投入も、その焦りの表れだ。しかし、顧客を使い捨てにする利益優先の体質を改めない限り、海外で信頼を得ることは不可能であり、すべては徒労に終わるだろう。EV市場の真の勝者を決めるのは、マイナーチェンジの速さではなく、顧客との間に築かれる誠実な信頼関係である。この事象は、その事実を力強く示している。
【編集:af】
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