世界各地のコスプレイヤーを追いかけてきた中で、ひときわ強く印象に残る存在に出会いました。台湾を拠点に活動する、香港出身のコスプレイヤー「小楠(こなん)」さんです。
いま台湾シーンで注目を集める新鋭として、その名を広げつつあります。

小楠(Instagram:naaaaaaam_cos2023、X:@Naaamuumm)
妖艶な表情からダイナミックなアクションポーズまで自在に表現し、恵まれたルックスに加えて、積み重ねてきた努力に裏打ちされた高い表現力が際立ちます。中でも特筆すべきは、キャラクターへの深い愛情と、衣装や造形に対する徹底したこだわりです。『Fate/Grand Order』の酒呑童子や『鳴潮』のフローヴァなど、同一キャラクターを繰り返し撮影しながら完成度を高め、納得のいくまで作り込み続ける姿が強く印象に残っています。

たとえば『鳴潮』のフローヴァでは、キャラクターの内面に重きを置き、その生い立ちや運命を大きく左右した出来事まで丁寧に掘り下げて表現しています。幸福だった過去から一転、悲劇的な体験を経て心に闇を抱えていく過程を、一つの物語として落とし込んだのが最新の写真集です。ウィッグや衣装、小道具といった外面的な再現度はもちろんのこと、それ以上に内面描写を重視する姿勢こそが、「小楠」さんのコスプレにおける大きな特徴と言えるでしょう。

今回は台湾での撮影に合わせて密着インタビューを実施。特別にご自宅にもお邪魔し、愛猫「ミミ」やコスプレ衣装、ウィッグコレクションも取材させていただきました。ショートインタビューと合わせてご覧ください。

――コスプレを始めたきっかけは何ですか?

小楠:もともとはただのオタクでしたが、家庭の事情で香港から台湾に移ることになりました。台湾では一人でとても孤独だったので、自分を励ます意味で、18歳の誕生日にコスプレ衣装を1着買ったんです。

そこから少しずつこの活動にのめり込むようになりました。キャラクターになりきる感覚がとても楽しくて!

――活動拠点を台湾に移した理由は何ですか?

小楠:台湾の大学に通っていた時に、初めてコスプレに触れました。いくつかの理由で、現在は香港でコスプレ活動を行うことが難しくなってしまいましたが、香港の風景はとても恋しいです。もしあそこで撮影できたらいいのに、と思います。最近は他の国でもコスプレ撮影に挑戦しています。台湾の撮影スポットはほとんど一通り撮り終えてしまったので。

――コスプレで最も大切にしていることは何ですか?

小楠:個人的には、そのキャラクターの雰囲気や魅力をどれだけ再現できているかを一番重視しています。メイクも体型も、できる限り忠実に再現したいと思っています。そのため、体型の関係でまだ挑戦できていないキャラクターもいます(例えば男性キャラは肩幅が足りなかったり、胸の大きなキャラクターなど)。ただ、着用できるシリコンバストなども活用しています。

一方で、客観的に見ると、コスプレは誰でも楽しめる趣味であるべきだと思っています。台湾では最近、ウィッグのセットをしていない、メイクをしていないといった理由で、純粋にコスプレを楽しんでいる人をネット上で批判する風潮があり、あまり良くないと感じています。
他人に迷惑をかけず、法律に反しない範囲であれば、どのように楽しむかは個人の自由だと思います。

キャラクターの“かたち”をなぞるだけでなく、その内面や物語までを丁寧に掘り下げ、作品として昇華させていく。「小楠」さんのコスプレは、表現としての奥行きを改めて感じさせてくれます。これから彼女がどのようなキャラクターと向き合い、どんな物語を紡いでいくのか。その歩みから、ますます目が離せません。

撮影:乃木章
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