病気を治してくれる強い味方である抗生物質は、腸内環境に予想以上のダメージを与えている可能性があります。
そこで今回は、最新の研究結果を基に、抗生物質が腸に与える長期的な影響と、もし飲むことになった場合の対策をご紹介します。ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね!
抗生物質のダメージは数年後も続く?
約1万5000人(14,979人)を対象とした大規模な研究で、驚きの事実が判明しました(※1)。それは、抗生物質を飲むと、腸内にいる細菌の種類(多様性)が大きく減少することがあるということ。これは、腸にとって良い状況とは言えません。「薬を飲み終われば元に戻るでしょ!」と思いたいところですが……そうではありませんでした。研究によると、抗生物質の影響は以下のように長期間続くことが観察されました(ただし本研究は観察研究であり、因果関係を直接証明するものではありません)。
1年未満に服用した場合:最も腸内細菌の多様性の減少との関連が認められる
1~4年前に服用した場合:まだ腸への影響が有意に認められる
4~8年前に服用した場合:たった1回の抗生物質でも腸内環境との関連が認められる(ただし効果量は1年未満に比べて小さくなります)
特に影響が大きい「3つの抗生物質」とは
抗生物質と一言で言っても、いろいろな種類があります。そして、種類によって腸への影響力も違うことが分かってきました。前出の研究によると、腸内細菌の多様性に最も大きな影響を与えていたのは、以下の3つの抗生物質です。
・クリンダマイシン
・フルクロキサシリン
・フルオロキノロン
(注:フルクロキサシリンはスウェーデンなどの北欧・英国で広く処方される抗生物質です。日本ではほとんど使用されていないため、日本の読者には馴染みのない薬剤名です)
特定の悪い菌だけを倒してくれれば良いのですが、これらの抗生物質は腸内細菌の多様性に大きな影響を与えることが報告されています。
腸内環境が乱れると、ダイエットや美容面にも悪影響が
腸内細菌の多様性が減少すると、美容や健康に影響する可能性があります。具体的には、抗生物質により腸内細菌の多様性が減少することは、以下のようなリスク増加と関連していることが示されています。・肥満
・2型糖尿病
・心血管疾患
腸内細菌のバランスが崩れることで、代謝が悪くなったり、太りやすくなったりしてしまうかもしれません。その他、最近では腸内細菌とお肌の細菌の関係性(腸皮膚軸:gut-skin axis)も注目されています。
腸内細菌の多様性が減少すると、お肌に住んでいる細菌に悪影響があり、結果として皮膚バリア機能の低下や乾燥肌、ニキビなどの皮膚トラブルが生じる可能性があるのです!(※2、※3)
抗生物質を飲むことになったら? 腸活リカバリー法
ここまで読むと「じゃあ抗生物質は飲んではいけないの?」と思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。本当に必要な時は、しっかり薬を使って病気を治すことが最優先です。大切なのは、その後のケア(リカバリー)をすること!
ある研究では、抗生物質投与後、腸内細菌叢は多くの場合数週間~1.5か月程度でおおむね回復するとされています。ただし、一部の菌種は6か月後も回復しない場合があります(※4)。そして、今回ご紹介した大規模観察研究では、数年後も腸内多様性への影響が観察されることも報告されました。
つまり、飲んだ後の早い段階からケアを始めることが重要となります。ポイントは「水溶性食物繊維」と「発酵食品」の基本の腸活!
減ってしまった善玉菌のエサになる食物繊維をたっぷり摂りましょう。具体的には、昆布などの海藻類、もち麦、ごぼうなどがおすすめです。
② 外から良い菌を補給する(発酵食品)
納豆やキムチなどを積極的に取り入れましょう。
抗生物質を使うことになったら、腸活の基本を大切にしつつ、いつも以上に腸を労わる食生活にしてみてくださいね!
薬と賢く付き合って、負けない腸づくりをしよう!
今回は、抗生物質が腸に与える影響と、そのリカバリー法についてお伝えしました。医師に処方された時はしっかり飲みきりつつ、「なんとなく抗生物質を飲んでおこう」というような使い方は避けるようにしましょう。また、普段から発酵食品や食物繊維を食べて「腸内環境の貯金」をしておくのもおすすめです。ぜひ、日々の食事を意識して楽しく腸活していきましょう!
出典(※1)Baldanzi G, Larsson A, Sayols-Baixeras S, et al.「Antibiotic use and gut microbiome composition links from individual-level prescription data of 14,979 individuals」 Nature Medicine, 2026;32:1351-1361. doi: 10.1038/s41591-026-04284-y (2026)
(※2)Salem I, Ramser A, Isham N, Ghannoum MA. 「The Gut Microbiome as a Major Regulator of the Gut-Skin Axis」 Frontiers in Microbiology. 2018;9:1459.
(※3)De Pessemier B, Grine L, Debaere M, Maes A, Paetzold B, Callewaert C.「Gut-Skin Axis: Current Knowledge of the Interrelationship between Microbial Dysbiosis and Skin Conditions」Microorganisms. 2021;9(2):353. doi: 10.3390/microorganisms9020353
(※4)Palleja A, Mikkelsen KH, Forslund SK, et al. 「Recovery of gut microbiota of healthy adults following antibiotic exposure」Nature Microbiology. 2018;3(11):1255-1265. doi: 10.1038/s41564-018-0257-9
【免責事項】本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、医療上の診断・治療・予防を目的とするものではありません。抗生物質は医師の処方に従い適切に使用してください。個別の症状については必ず医師にご相談ください。記事内で紹介している研究結果はあくまで参考情報であり、効果を保証するものではありません。
【監修者コメント】抗生物質は必要なときに適切に使用することが大切で、不必要に恐れる必要はありません。使用する機会があれば、腸活ケアも意識していただければと思います。
【監修:柏木宏幸 医師】池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院 院長。消化器病・内視鏡専門医。「便通マネージメントドクター」の資格を持ち、大腸や便通改善を専門とし、特に女性の腸の悩みに向き合う。YouTubeでの分かりやすい医療発信や、Webメディアの記事監修実績も多数。
<文/腸活の研究家ざっきー 監修/柏木宏幸 医師>
【腸活の研究家ざっきー】
腸活の研究家。
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