2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(40歳・以前は小林悠として活動)。

 20年間生活した東京をあとにして、故郷北海道で自然や犬との気ままなシンプルライフを楽しむアンヌさん。
本連載では、40代の今だから感じる日々のあれこれを綴ります。
 第101回となる今回は、アンヌさんがInstagramで思わずスクロールの指を止めた“あるおもちゃ”についてつづります。そこから、北海道ならではの魅力について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。

平成レトロブームでよみがえる「懐かしい!」の記憶

数十年ぶりに再会した“懐かしのおもちゃ”に大興奮。40歳の私...の画像はこちら >>
 最近、Y2Kブームがすごいです。私たちの世代(私は1985年生まれ)が昔使っていたものが、今の若い人たちには「新しい」「かわいい」「レトロ」として受け入れられています。

 平成レトロ、ギャル文化みたいなものがファッションなどを通じて受け入れられているようですね。

 当時それをリアルタイムで使っていた私たちからすると、「えっ、それ、私が小学生のとき普通に持ってたやつ!」という話になることもあり懐かしさに胸がぎゅっとしたりします。

 そんな「心の中の平成女児」を刺激してくる情報にあふれているのが……私の場合はInstagram。

 例えば、にこにこぷんだったり、昔のぷくぷくシールだったり……。そんな写真がなんの前触れもなく流れてきて、私の中の「懐かしセンサー」がうなりを上げるのです。

40歳の私を一瞬で平成女児に戻した「ポーリーポケット」

 そんなある日、いつも通りInstagramをスクロールする私の指を完全に止めたものがありました。

 それは……「ポーリーポケット」。

 ご存じでしょうか。日本では「エンジェルポケット」という名前でも売られていた、小さなコンパクト型のおもちゃ。


 手のひらに収まるくらいのプラスチックのケースをパカッと開くと、中に小さな部屋や庭、ビルなどが広がっていて、小さな小さなお人形さんで遊ぶことができるのです。コンパクトの中にドールハウスがぎゅっと詰まっているような、とにかくドリーミーなおもちゃ。

 これが、本当~に好きだったのです!!!

 私が持っていたのは、緑色のお花の形をしたものだったと記憶しています。中を開くと、お花が咲いていて、ブランコもあって……滝も流れていたかな? あれはガーデンコンセプトのポーリーポケットだったのでしょうか? とにかく作りが細かい。

 そんなポーリーポケットの存在、大人になった私はそれまですっかり忘れていました。

 それが40歳になった今、Instagramに突然写真が流れてきたのです……ああポーリーポケット……!!

 私は懐かしさのあまりポーリーポケットの写真をひたすらアップしている海外のアカウントをフォロー。時折流れてくる写真にいいねを押しては、ああ可愛いなあと一人ため息をついていたのでした。

「札幌のどこにあるの!?」ガチャを探して街へ

数十年ぶりに再会した“懐かしのおもちゃ”に大興奮。40歳の私がガチャに2400円使ったワケ
ポーリーポケットのガチャ
 そんな中で、事件が発生しました。

 なんと、ポーリーポケットのミニチュア版が、ガチャガチャになるというではありませんか。

 え!? なに!? とたまたま流れてきたインスタの情報にパニックになった私。

 普段の私は、ガチャガチャが好きとはいえ、あまりやらないようにしています。物が増えますからね(元も子もないですが)。しかもうちは大型犬がいるので、小さいものを家中に置いておくのもなかなか危険。


 でも、ポーリーポケットだけは……話が違う!!

 どうしても欲しい。ところが、私が暮らす札幌のどこにそのガチャがあるのかわからない。

 そこでInstagramのストーリーズに「札幌で見かけた方、教えてください」と投稿したところ(厚かましくてすみません)、なんと数日後、何人もの方からDMが!! 親切すぎる!!

「札幌駅前のここにありましたよ!」

 もう、優しすぎません?

 私は一目散に札幌駅前のとあるガチャガチャ広場へ向かいました。そして……あった!!! そこには「新商品」の文字!! 1回600円。

 ガチャガチャとしては、なかなかのお値段です。覚悟を決めて私は両替をし、呼吸を整えてポーリーガチャの前へ。お金を投入し、ハンドルを回しました。

「これが出るまで帰らないっ」

数十年ぶりに再会した“懐かしのおもちゃ”に大興奮。40歳の私がガチャに2400円使ったワケ
ポーリーポケットのガチャ戦利品
 まず出てきたのは……。

 ハート形の明るいブルーのプラスチック型のコンパクト。ああ、懐かし。そうだったそうだった。こんな感じのつるっとした質感だった。中をそっと開けてみると……そこは小さな寝室のようで、ベッドや女の子、小さな鏡台などがひしめき合っています。


 かわいい!! 数十年ぶりの再会に感激が止まらず、握りしめて立ち去ろうとしましたが……。

 でた。ガチャあるある。ポーリーガチャ一覧をあらためて観てみると、女の子と、白い小さな犬がいるポーリーポケットがあることにきづきました。

 それは小さなお洋服屋さん。ミシンがリアルでかわいいぞ……。もう、これを見てしまった以上、帰るわけにはいかない。

「これが出るまで帰らないっ」

 そう決め、再度私は両替機へ。

 600円、600円、600円……。結果、4回引いて2400円。同じものが2つ出て一瞬テンションが落ちかけましたが……出ました。お洋服屋さん!!

「やったー!」

 40歳の私、ガチャガチャの前で静かにガッツポーズ。


 ルンルンで(この表現も古いのか)家に帰って、戦利品を並べ、あらためてゆっくりと眺めてうっとり。

 プラスチックの硬さ。コンパクトを閉じたときの「パチン」という音。ああ!こんな感じだったね、ポーリーポケット! と再確認。懐かしくて懐かしくて、実物が目の前に今あるのがうれしすぎて、私は静かな幸せに包まれながらひたすらスマホで写真を撮影。

平成レトロは“大人の心の常備薬”

数十年ぶりに再会した“懐かしのおもちゃ”に大興奮。40歳の私がガチャに2400円使ったワケ
ポーリーポケットのガチャ戦利品
 すごいなあ。ガチャガチャで600円って高いかもって一瞬思っちゃいましたが、これっだけ幸せになれて600円×4の合計2400円ってかなりお得かも。なんか一種の「ノスタルジーセラピー」を受けたような。

 昔大好きだったアレ、あるいは、子どもの頃には買ってもらえなかったコレ。大人になった今、自分で自分に改めて買ってあげるという選択肢があります。

 平成レトロ、私にとっては一過性のブームではなく、一生の心の常備薬みたいなものかも。懐かしさと、切なさと、ちょっとくすぐったいかんじ、いいね。


<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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