インドのスパイダーマンが豪雨で冠水した道路で困っている人々を助ける
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 人はだれしも、心の中に「ヒーローになりたい」という、ささやかな夢を抱えているのかもしれない。

 コスプレ用の衣装を着れば、誰でも見かけだけはヒーローになれる。

だが、本物を目指すなら、やはり行動が伴わなければいけないだろう。

 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」

 この、映画『スパイダーマン』でおなじみの名言を、そのまま現実で体現した男性がインドに現れて、大きな話題になっている。

 彼はスパイダーマンのコスチュームを身にまとい、豪雨で冠水した道路で困っている人たちを助けたのだ。

冠水した道路で人助けをするスパイダーマン

 ムンバイの北東約50kmに位置するビワンディは、インドのマンチェスターとも呼ばれる工業都市だ。

 だがインフラは脆弱で、毎年雨季になると、道路は文字通り川と化す。毎年、道路整備の予算は組まれるものの、すぐに元通りになってしまうという。

 2026年7月7日、今年もモンスーンがやって来て、ビワンディとその周辺地域に大雨をもたらした。

 案の定道路は冠水し、濁った水でポットホール(路面に開いた穴)が隠れてしまい、車やバイクが立ち往生する危険な状態となっていた。

 そんな混沌とした中に、赤と青のあのコスチュームを身にまとったスパイダーマンが、颯爽と現れたのである。

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 彼は泥水に浸かりながら、走行する車を誘導し、立ち往生したバイクを押して脱出の手助けをした。

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 さらにバケツで道路を覆う水を掻き出し、ゴミを集め、子供たちを安全な場所まで担いで運んだりと、八面六臂の大活躍を見せたのだ。

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ヒーローの正体は28歳の営業マン

 このスパイダーマンの正体は、地元の会社員、シャダブ・モーミンさん(28)である。彼は製薬会社で働くごく普通の営業マンだ。

 だがそれは世を忍ぶ仮の姿。

この日、彼は午後3時になるとスパイダーマンに変身し、冠水した街へと急いだのだ。

 実はシャダブさんがスパイダーマンとしてビワンディの街に登場したのは、今回が初めてのことではない。

 何年も何年も、この時期になると街は水に浸かる。行政はまったく当てにならない。そこで彼はこう考えた。

2024年に『スパイダーマン』の映画を見て、ごく普通の人がマスクをかぶるだけで街全体の雰囲気を一変させてしまうという発想に強く引かれました

(豪雨による)混乱を眺めながら、「誰も助けに来ないなら、スパイダーマンが乗り出してもいいんじゃないか?」と思ったんです。

伝えたいメッセージはありました。でもそれ以上に、人々が笑顔になる理由を届けたかったのです

 彼はすぐに行動した。ネットでスーツを注文し、1週間後にはスパイダーマンの姿で街へ出て、人助けを始めた。

 以来2年にわたって渋滞で困っている人や、重い荷物を運ぶ高齢者を見かけると、必ず手伝うようにしたという。

それから2年、このスーツは私の日常の一部になりました。今でも朝10時に会社に行き、午後2時までに営業の仕事を終えると、昼休みを丸ごと使って人助けをしています。

 なんとシャダブさんは、毎日昼休みをつぶしてスパイダーマンに変身し、困っている人を助けて回っているというのである。

 モンスーンによる豪雨被害のときにだけ現れる、一時だけのヒーローではない。彼は本当に、毎日人助けに奔走している、本物のヒーローだったのだ。

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誰だってヒーローになれる…マスクを被れば

 今回の冠水被害の中で、孤軍奮闘するスパイダーマンの行動を捉えた動画や写真は、ニュースやSNSに取り上げられて、あっという間に拡散した。

 多くのユーザーが、悪天候をものともせず、見知らぬ人を助けようとする彼の行動を「現実世界のスパイダーマン」と称賛した。

  • 現実を見ろ。スパイダーマンは洪水と大渋滞、両方から人々を救ってるんだ。少し休ませてあげてほしい。また飛び回らなきゃいけないんだから
  • 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」から、「大規模な冠水には、大いなる交通整理係の務めが伴う」になっちゃったな
  • 本当に信じられない。まさに現実世界で命を救うスパイダーマンじゃないか。こんな時代に生きていられるなんてすごいよ
  • みんな彼のことを変人って言うかもしれない。でも俺に言わせれば、彼は絶滅危惧種みたいな存在だよ。
    今は誰もが損得勘定で動く時代なのに、この人だけはそんな発想とは無縁みたいだ。絶滅しかけてる利他の心を、彼はしっかり守り続けているんだよ
  • これこそ、「誰だってマスクを被れる」と言うセリフの意味なんだよ
  • 誰の心の中にもヒーローはいるんだ
  • ありがとう、スパイダーマン!

 コメントにあった「誰でもマスクを被れる」は、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の中で、主人公のマイルス・モラレスが口にしたセリフである。

自分にこんなことができるとは思わなかった。でも、できたんだ。誰にでもマスクは被れる。君にも被れるんだ

 誰だって本気でなろうと思いさえすれば、ヒーローになることはできる。シャダブさんはこのセリフを身をもって実践しているのだろう。

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 彼は現在、Instagram[https://www.instagram.com/shaddyman98/]で12万7,000人を超えるフォロワーを抱える、人気コンテンツクリエイターである。

 今回のシャダブさんのスパイダーマンとしての行動が、大きな話題になったことで、ビワンディで繰り返し発生する冠水問題も注目を集めることになった。

毎年同じ道路が冠水し、危険な穴ぼこが水没したままになっています。罪のない人が命を落として初めて、行政は行動を起こすのでしょうか

 インドではこれまでにも、なんちゃってスパイダーマンが複数現れては、警察のお世話になるなどお騒がせな事件を繰り返していた。

 そんななか、本当に人助けをするヒーローとしてのスパイダーマンは、かなり貴重な存在かもしれない。

 シャダブさんは自身の活躍について、次のように語っている。

勤務時間中は、僕はごく普通の会社員です。でも昼休みだけは、この街が必要としているヒーローになれるんです

 きっと今日もビワンディの街のどこかで、人助けに奔走する彼の姿が見られるに違いないんだ。

References: Bhiwandi’s ‘Spider-Man’ uses his ‘power’ to responsibly help commuters cross waterlogged streets[https://www.hindustantimes.com/trending/bhiwandis-spider-man-uses-his-power-to-responsibly-help-commuters-cross-waterlogged-streets-101783483078716.html]

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