スマホでスクショを撮ると記憶が消える。「デジタル健忘症」を引き起こす可能性
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 日常的に活用しているスマートフォンの「スクリーンショット」。メモ代わりに情報を手軽に残せる便利な機能だが、実はこの行為そのものが私たちの記憶を奪っているかもしれない。

 アメリカの研究チームが学生を対象に行った実験で、画面をスクショすると直前に見たものの記憶が著しく低下することが判明した。

 ボタンを押して画像を保存する物理的な動作が、無意識のうちに脳の注意力を断ち切り、「デジタル健忘症」を引き起こしてしまう可能性があるという。

 この研究成果は『Memory & Cognition[https://link.springer.com/article/10.3758/s13421-026-01921-2]』誌(2026年8月3日付)に掲載された。

撮影で記憶が薄れる現象は、スクショのほうが大きかった

 心理学者たちはこれまで、デジタル機器が人間の記憶にどのような影響を与えるかを探ってきた。

 アメリカのフェアフィールド大学のリンダ・ヘンケル氏が行った2013年の研究では、博物館で展示物の写真を撮った人は、ただ眺めただけの人に比べて、展示物の細部を思い出す能力が低下することが判明している。

 撮影によって記憶が低下する現象は、「写真撮影減殺効果」と呼ばれている。

 最も記憶にとどめたい出来事をわざわざ写真に撮るのに、撮影という行為そのものが記憶の定着を妨げてしまうのだ。

 さらに2025年[https://link.springer.com/article/10.3758/s13421-025-01711-2]には、同研究チームが、スマートフォンでスクリーンショットを撮った場合にも撮影した展示物の記憶が損なわれることを報告した。

 写真を撮る作業では、カメラを構えて構図を決めるために被写体から注意が逸れるが、スクショはボタンを押すだけである。

 iPhoneの場合、設定次第では背面を数回タップするだけでもスクショを撮ることが可能だ。

 注意を奪われる場面が少ないにもかかわらず、スクショによる記憶障害は、写真撮影よりもさらに大きいことが判明したのだ。

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画面の記憶を放棄することで脳に見返りはあるのか?

 記憶が失われる理由として、研究チームは「認知的オフロード(認知負荷の軽減)」という仕組みに着目した。

 認知的オフロードとは、情報をスマホやパソコンなどの外部ツールに保存することで脳の負担を減らし、別の作業に処理能力を回すことだ。

 「画像は安全に保存された」と脳が判断すれば、自力で記憶する作業を放棄してその分を別のことに利用するかもしれない。

 記憶する作業をやめて、代わりに別のことで脳を使っているなら、スクショにも見返りがあることになる。

 この仮説を検証するため、アメリカ・ニューヨーク州にあるビンガムトン大学の心理学研究チームは、大学生を対象に7つの実験を行った。 

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他の記憶も低下し、作業効率も上がらなかった

 最初の実験では、33人の参加者がスマホのアプリを使って44点の芸術作品を画面上で見て、作品ごとに「単に眺める」か「スクショを撮る」かを指示された。

 すべての作品を見終えると、参加者は実際に見た作品とよく似た画像2点を並べて示され、どちらを見たのを選ぶ記憶のテストを受けた。

 単に眺めただけの作品は高い確率で言い当てられたが、スクショを撮った作品の正答率は大きく下がった。

 2番目の実験では、その画像を「眺めた」のか「スクショした」のかという、情報の出所に対する記憶も調べられた。

 自分がスクショを撮ったかどうかを正しく思い出せた割合はほぼ半数の53.5%で、単に眺めた作品の71.3%を大きく下回った。

 半数が正解というのは、二者択一の質問では、あてずっぽうで答えた場合とほとんど変わらない数字である。

 スクショして保存したことを覚えていなければ、あとで見返すこともできない。

 3番目の実験からは、記憶を手放した見返りがあるかどうかが調べられた。

 129人の学生を2つのグループに分け、一方には32点の作品のスクショを撮らせ、もう一方は眺めるだけにさせたうえで、直後に難しい計算問題を1分間で解かせた。

 脳に余力が生まれているなら、スクショを撮ったグループの成績が上がるはずだったが、2つのグループの成績にまったく差は出なかった。

 4番目と5番目の実験では、スクショを撮ることで頭の中が整理され、次に見る作品を覚えやすくなるかどうかも調べたが、目立った向上は見られなかった。

 6番目と7番目の実験では、後でテストがあると事前に伝えたり、テストの前にスクショを見返せると嘘をついてみたりもした。

 テストが1か月後にあると伝えられ、スクショに頼る動機を強められた参加者でも、記憶低下の度合いは変わらなかった。

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無意識のうちに注意が切り離されている可能性

 一連の実験結果が示しているのは、脳が戦略的に記憶を手放しているわけではないという事実だ。

 記憶障害の本当の原因は、スクショを撮るという物理的な行為そのものにあるという。

 ボタンを押して画像を保存する、あるいは頭の中で「保存した」と分類した瞬間に、脳の自然な記憶プロセスが強制的に中断されてしまうのだ。

 対象の詳細や文脈に注意を払わなくなり、結果として深刻な「デジタル健忘症」に陥ってしまう。

 デジタル健忘症とは、デジタル機器に情報を保存することで、その内容を自分の頭で覚えにくくなる状態のことだ。

 記憶が中断される現象は、無意識かつ自動的に働くため、テストがあると意識していても注意力の低下を止めることはできないという。

 もちろん、後で見返すために料理のレシピや地図をスクショすることは日常的に行われており、役に立つことも多い。

 しかし、スマホのカメラロールに放置されたまま大量に眠っているスクショ画像は、人間の記憶システムからは完全に忘れ去られている可能性が高い。

 もし自分の記憶に深く刻み込みたい大切な出来事があるなら、一番良いのはスクショを撮る前にじっくりと自分の目でしっかりと見て、なんならその印象や感想、内容を口にすることかもしれない。

 紙とペンでメモを取るという手段も有効かもしれないね。

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References: DOI.10.3758/s13421-026-01921-2[https://link.springer.com/article/10.3758/s13421-026-01921-2] / Psychologists find smartphone screenshots can cause a profound degree of “digital amnesia”[https://www.psypost.org/psychologists-find-smartphone-screenshots-can-cause-a-profound-degree-of-digital-amnesia/]

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