幽体離脱で意識を肉体から切り離し、遠く離れた場所を見ることは本当に可能なのだろうか。
アメリカのバージニア大学の研究チームは、この謎を確かめるため、自分の意志で幽体離脱をすることができると主張する21人を対象にした厳密な実験をブラジルで行った。
別室に隠された画像を言い当てるテストには、全員が失敗した。
ところが2人の参加者が、テストとは関係のない別の部屋で、研究者たちがいつもと違う配置で何をしていたかを正確に言い当てたのだ。
研究チームはこの一致を説明できずにいる。
この研究成果は『Explore[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1550830726001941]』誌(2026年8月19日付)に掲載された。
幽体離脱中の視覚を検証する3つの部屋を使った実験
自分の意識を肉体から引き剥がし、まったく別の場所から世界を観察する現象は幽体離脱、もしくは体外離脱と呼ばれている。
スピリチュアルな分野ではよく報告される体験だが、科学的に証明されたことはない。
もし肉体から離れ、宙を浮いた体の自分の目が別の部屋にある状態で物を見ることができるなら、人は一体何を見ているのだろうか。
そこで、アメリカのバージニア大学の神経科学者マリーナ・ワイラー氏が率いるチームが、ブラジルで検証実験を行った。
対象となったのは、自分の意思で幽体離脱を起こし、体験したことがあると主張する21人である。
実験は3つの部屋に分かれた環境で行われた。
第1の部屋には参加者が入り、脳の電気活動を測る脳波計(EEG)につながれた状態でリラックスする。
第2の部屋では、研究者たちがドアを閉めて待機した。
廊下を7m進んだ先にある第3の部屋にはノートパソコンが置かれた。
パソコンの画面は壁に向けられ、100種類の画像から無作為に1つが表示される。
どの画像が選ばれたかは研究者でさえ知らず、数か月後の解析まで誰にも分からない仕組みになっていた。
参加者は第1の部屋にいながら、第3の部屋に隠された画像を言い当てるテストを行った。
画像を言い当てた参加者は1人もいなかった
参加者は60分から90分かけて、隠された画像を読み取ることに挑んだ。
21人のうち13人が、表示された画像につながりそうなものが見えたと報告した。
8人は実際に幽体離脱して見たと答え、5人は体から抜け出す感覚のないまま、心の中に手がかりが浮かんだと説明している。
研究チームは主観的な人間の判断を排除するため、参加者が描いたイメージをAIに分析させた。
AIが参加者の回答と100種類の候補画像を照合し、どれくらい一致しているかをランク付けしたところ、実際に表示された画像が上位にくることはなく、あてずっぽうに選んだのと変わらない成績だった。
AIの照合能力に問題があった可能性もある。
そこで試しに画像の正確な説明を入力したところ、AIは100枚の中から正解をすぐに選び出したため、参加者の説明が正解に結びつかなかった原因は、AIの側にはないことがわかった。
参加者が何を知覚したにせよ、ノートパソコンに表示された物体を正確に透視できた者は一人もいなかった。
別室にいた研究者のいつもと違う配置を言い当てた2人
実験は失敗に終わったかに見えたが、その後の聞き取りで奇妙な事態が起きる。
第3の部屋の画像は誰も当てられなかったにもかかわらず、2人の参加者が、第2の部屋で待機していた研究者たちの様子を描写していた。
1人は、研究者の1人が左側でパソコンの画面に集中し、もう1人は奥の隅で本を読んでいたと述べた。
もう1人の参加者は、右側で研究者がメモを取り、左側でもう1人がパソコンに向かっていたと報告した。
2つの描写は、それぞれの参加者が挑戦していた時間に、研究者たちが実際に取っていた配置や行動と一致していた。
しかも2回とも、研究者たちはいつもの実験時とは違う位置にいた。
あらかじめ設定されたテストではないため、2つが言い当てたことは、統計的な証明にはならない。
研究チームも、興味深いが結論は出せない報告だと前置きしている。
実は似たような出来事は過去にも起きていた。
1960年代、著名な幽体離脱の実践者ロバート・モンローが実験に挑んだ際も、隠されたターゲットを当てることには失敗している。
ところがモンローは、部屋の外にいる女性技師が見知らぬ男性と一緒にいるのを見たと報告した。
男性は実際にそこにいて、女性技師の夫であり、モンローとは初対面だった。
ただし、実験を行った心理学者チャールズ・タート氏は、モンローが休憩中に来訪者の声を聞いていた可能性を指摘し、証拠としては弱いと判断している。
ターゲットの選び方に問題があった可能性
結局は、静止したパソコンの画像は見えず、別室にいる人間の動きだけが言い当てられた形となる。
研究チームは、幽体離脱の研究で使われてきたターゲットそのものに問題がある可能性を指摘している。
動きのない画面や数字の羅列よりも、人の存在や行動のほうが、体験の最中に注意を引きやすいのかもしれない。
研究チームは次の実験案として、別室の研究者に目立つ色の服を着せ、それを言い当てられるかどうかを試す方法を挙げている。
ワイラー氏は、予期しなかった発見が新しい方向性を与えてくれたと語る。
ただし、あらかじめ計画を立てた厳密な条件で検証しなければ、その意味は分からないとも述べている。
意識が脳の外にも存在するのかという問いは、これまでにも別の角度から調べられてきた。
今回の実験は幽体離脱による透視の証明にはならなかったが、人間の意識が何をどこまで捉えているのかという疑問を残した結果となる。
Amazon : Dreamegg ホワイトノイズマシン 21種の癒し音 調光可能 USB充電
References: doi.org/10.1016/j.explore.2026.103506[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1550830726001941] / Experiment Tested Out-of-Body Experiences. Two Reported Seeing Things Scientists Can't Explain.[https://www.sciencealert.com/experiment-tested-out-of-body-experiences-two-reported-seeing-things-scientists-cant-explain]











