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「岐阜県関市出身、LiSAです!」――2026年5月20日、LiSAデビュー15周年記念アリーナツアー“LiVE is Smile Always~15~(iCHiNiTSUiTE GO)”国内最終日。本人がMCでも日本武道館と並ぶ“ホーム”になったと語った名古屋・クロコくんホール(日本ガイシホール)を埋め尽くした満員のオーディエンスに向けて、LiSAは言った。
TEXT BY 阿部美香
去年、LiSAにインタビューするなかで何度か、デビュー15周年という記念すべき年をどう迎えたいか?アニバーサリーなツアーをどんな演出をしたいか?について話す機会があった。そこで彼女がいくつかのキーワードとして挙げていたことがあった。1つは、生のストリングスをフィーチャーした武道館公演“LiVE is Smile Always~RiP SERViCE~”から続く“生のバンドサウンド”にこだわった、ロックなステージを届けたいこと。そしてもう1つが、せっかくの15周年ツアーだからこそ、ファンとずっと紡いできた歴史を感じられる選曲を届けることだった。そう話しながらLiSAは、茶目っ気たっぷりな表情で「15年間で、ものすごい曲数を歌わせてもらってきたし、私の曲はライブでみんなが育ててくれてきた曲ばかり。だからやりたい曲が多すぎるんです。でもステージ時間には限りがあるから、めちゃめちゃ悩む!嬉しすぎる悩みです!」と笑っていた。
そして、こうも言っていた。今まで、デビュー日を記念する周年ライブは、そのほとんどを東京で行ってきたが、大きな節目である15周年ツアーだからこそ、「最後は絶対に、地元でみんなとお祝いしたかったんです!だからファイナルは名古屋にしました」。大きなツアー前はいつも、キラキラした瞳で意気込みを話してくれるLiSAだが、今回はいつも以上の想いの熱さが、彼女の語り口にも漂っていたように思う。
そして4月の日本武道館、神戸ワールド記念ホール公演を走り抜けてきた“LiVE is Smile Always~15~”ツアーは彼女の言葉通り、LiSAヒストリーをしっかりと辿りながら、15年のキャリアを経た“今のLiSAの音楽”の両方をゴージャスなコントラストで映し出し、懐かしさも新しさも含めたすべてがLiSAなのだ!という説得力に満ちていた。
今年の4月1日にクロコくんホールという新しい愛称へと変わった旧ガイシホール。JR駅から伸びたデッキ通路を通り抜けると、グッズをたくさん身につけた多くのLiSAッ子が集っていた。ファンクラブ「リサラボっ。」の特設ブースでは、ツアー会場限定の抽選会の景品引き換えが行われ、2階デッキのスタンド席入口前に設けられたフォトスポットには長い列。思い思いのポーズで写真を撮り終えた人たちが、はしゃぎながら会場に吸い込まれていく。LiSAのライブでは見慣れた風景ではあるが、アニバーサリーツアーのファイナルとなると、ファンの熱量もまた違って見える。
会場に入ると、さらにその感覚は確信に変わる。LiSAッ子たちが着ているTシャツ、背負っているリュックサック、そこから取り出されるペンライト……もちろん、本ツアー用にデザインされた新作グッズを身に着けている人も多いが、5年前、10年前、それ以上前まで遡った過去のライブグッズを、この日のために準備してきている人も想像していた以上に多い。15年間の長きに渡るアーティスト活動。毎年けっして休むことなく、LiSAを愛するファンの気持ちに寄り添いながら、精力的にライブを続けてきたからこその光景が、ここにある。
開場中のBGMも、このツアーは一味違った。客席に流れてくるのは、チルアウト自然の音だ。
開演の18時半。薄暗くなったステージに、下手からお馴染みの“にゅーメンズ”――ゆーこー(柳野裕孝/Ba.)、PABLO(Gt.)、いくちゃん(生本直毅/Gt.)、ゆーやん(石井悠也/Dr.)、あっきー(白井アキト/Key.)が顔を揃えると、歓声が巻き起こる。センターステージを取り囲むアリーナ席からスタンド席まで一斉に焚かれるピンクのペンライトが本当に美しい。暗転の中、静かに始まったオープニングのバンドの演奏。そのBGMをバックに、ステージ頭上にあった巨大なイチゴ型のセットがゆっくりと下りてくる。先程まで会場を包んでいた森のような風景に陽が差し込んでくるかのごとく、“にゅーメンズ”のチルなサウンドが徐々に明るさを増す。透き通った笛の音が響くと、まるで私たちの目が、鬱蒼とした森を飛ぶドローンカメラに乗り移ったかのように、ぐいぐいとステージに近づいていく感覚になる。大きなイチゴに飾られた電飾がピカピカと光り、再び上昇すると、中央に立っていたのは、ふわっと真っ赤なミニドレスと緑のイヤーマフで“イチゴ姿”になったLiSAだ!
間髪入れずに始まるドラムカウント。それを会場が明転し、LiSAが “走り出した心 もう止まれないんだよ”を、歌い出す。「行くよ♪」とキュートに煽ってイントロが始まった瞬間、シュパーンという音とともにキャノン砲から無数の銀テープが放たれる!それはまるで、私たちがアーティスト・LiSAのお祝いに用意したクラッカーのよう。
そしてこの“~15~”ツアーは、ステージセットもこれまでにない凝ったものだった。メインステージからランウェイで繋がるセンターステージ、そしてメインステージから後方に延びる2本と、上手・下手へと延びる合計4本の坂道状のランウェイの床にはLEDスクリーンが仕込まれ、メインステージを取り囲むようにバンド後方に配置された横長のLEDスクリーンと映像が連動。「best day, best way」では草花の映像の上で歌うLiSAという、美しい姿も見せてくれた。このLEDムービー演出は、楽曲ごとに様々に映像を変え、ドリーミーな空間を作り上げていたのが印象的だ。
アウトロのオーディエンスの大合唱と掛け声に、サムアップして応えるLiSA。「ようこそ、LiVE is Smile Always~15~(iCHiNiTSUiTE GO)、2日目―!最高に楽しんでいきましょう、ピース!!」と、いつものようにファンと挨拶を交わして、15(イチゴ)ツアーだからこそ聴きたかった1曲「Merry Hurry Berry」へ。LiSAがスタンドマイクを前にかわいい振り付けで“イチゴ、イチゴ、ゴロゴロイチゴ!”のコールを先導すると、すぐにオーディエンスが、大声を出して一緒に踊りだす。
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彼女の歴史を振り返る怒涛のセットリスト
“今”のLiSAバンドが鳴らすサウンドで魅了
「名古屋ただいま!LiSAでーす!」と改めて挨拶。「昨日の初日の名古屋すごかったな。でも今日は、この15周年、たわわに実ったイチゴを連れてのファイナルです。ファイナルを地元同然の名古屋で行うということは、どういうことかわかってますね?」と問いかけるLiSAに、「もちろん、昨日以上に盛り上げるよ!」というように、大歓声が応える。「どこよりも楽しむ準備はいい?たたわなイチゴにする準備はいい?」と煽り、全員で再び声を出してピースサインを掲げる。LiSAッ子のいつも以上の一体感に差し込むように、天からピアノの音色が降り注ぎ、始まったのは「Rising Hope」だ。LiSAが真正面に拳を突き出して歌い出すと、フロアが一気に青く染まる。巻き起こるクラップ。それまで華やかな色に彩られていたステージは電飾だけの演出になり、ほのかに色づいた剥き出しの白いライトに包まれる。エモーショナルに躍動するLiSAとフロアを埋め尽くすオーディエンスの大きなコール。
みんなの想いを離すもんか!というように、突き出した拳をギュッと握りしめたLiSAは、バンドのかき回しを浴びながらセンターステージへ。待ち構えていたスタンドマイクに手をかけて、次に放ったのは、まさに15年前、アーティスト・LiSAが鮮烈な存在感を知らしめたソロデビューシングル「oath sign」だ。ギターソロのパート、会場の大きな掛け声を逃さぬようにと、LiSAが頭上にマイクスタンドを掲げる。歌い終え、そのマイクスタンドからサッとマイクをもぎ取って、次に届けたのは「crossing field」だ。TVアニメ『魔法科高校の劣等生』『Fate/Zero』そして『ソードアート・オンライン』。ここで披露された楽曲はどれも、今も彼女の活動を支え続ける作品群で、初めてLiSAが主題歌を担当したナンバー。15年間を振り返るに相応しい選曲は、彼女が歩んできた歴史に想いを馳せさせ、同時に今のLiSAバンドのサウンドで聴くことで、格別の感慨を残す。「crossing field」を歌いながらランウェイを堂々と歩き戻って、余裕の表情で「名古屋の皆さん、そんなもの?」とオーディエンスを煽る逞しいLiSAのステージングに、ライブアーティストとして成長してきた15年という年月を、感じずにはいられなかった。
初期ナンバーが続いたところで、ステージはガラリと景色を変える。不穏なSEが流れ出し、黒く陰ったステージ背後のLEDスクリーンに赤い波がせり上がり、一面を真っ赤に染める。
そしてハードなかき回しに翻弄されるなか、ゆーやんのドラム台の前にバンドが集まると、雄々しい“おーおーおー”の声が導かれ、背中を向けていたLiSAが羽織っていた上着を脱ぎ捨てる。くるりと振り向くと、お立ち台の上にはフロアタム。ゆっくりと台に上がり、フリンジのついたマレットをおもむろに掲げると、みんなの合唱を鼓舞するように振り下ろす。そう、曲はもちろん、地中の真っ赤なマグマの中から生まれたダイヤモンドがモチーフの「ADAMAS」だ。激しく振られる赤いペンライト、マレットを何度も激しく振り上げ、振り下ろすLiSAのリズムと畳み掛ける歌声にのせて、バンドが加速する。赤いライトが点滅しながら心臓の鼓動を刻み、押し寄せる“赤”の奔流にすべてが飲み込まれていった。
“赤”をテーマに熱情をぶつけたこのブロック。めくるめく「紅蓮華」を終えると、ゆーこーがクールなベースソロを奏でだす。クラップが湧き、バンドがジャジーな演奏を始めると、どこからかサックスの音が絡んでくる。バンドの後ろのLEDスクリーンの上にスポットが当たると、そこにいたのはこのツアーのためのゲストサポート――トロンボーンの半田信英、サックスの堂地誠人、トランペットの真砂陽地による「15(イチゴ)ホーンズ」だ。魅惑的なサックスがバンドとセッションを始めると、LiSAはドラム台の横のランウェイへ。赤いライトを浴び、床を這うように体をセクシーにくゆらせながらコケティッシュに「⾚い罠(who loves it?)」を歌う。ゆったりと始まった曲は次第にテンポを上げると、15ホーンズと合流したLiSAのダンスも激しさを増す。突き刺さるようなブラスの響き。ライブならではの生アレンジ感と音圧が、楽曲に新しい命を宿す。
昨年5月の日本武道館“~RiP SERViCE~”公演ではストリングス、そして今回はブラストリオ。14周年を超えたあたりから、LiSAはライブの音作りについて、「バンド出身の自分だからこその原点回帰をしたい、バンドの音、生の音にシンプルにこだわりたい」というようなことを、よく語ってくれていた。15ホーンズとのその想いが今回のツアーにも反映されているのが、よくわかった。“赤”にまつわるナンバーが立て続けに畳み掛けられたこのブロックは、これまでのLiSAのライブの迫力をまた一つ更新し、鮮烈な印象を残した。
“名古屋駅から走り出したLiSA”が
15年後の名古屋で見た最高の景色
デンジャラスな“レッドゾーン”をゴージャスなジャズタイムで締めくくったLiSAは、颯爽とステージを後にした。ステージに残ったバンド&15ホーンズが、メンバー紹介を兼ねたセッションを繰り広げる。それぞれがソロを繋ぐたびに歓声が上がり、スクリーンにボーカル・LiSAの名前が映し出されて、LiSAがステージに跳ねながら駆け込んでくる。15ホーンズが吹き上げるイントロは「HADASHi NO STEP」! ここまでのセクシーな出で立ちから一転し、キュートな衣装に着替えたLiSAが、坂道ランウェイを駆け上がって15ホーンズと肩を並べて軽やかな歌声を響かせる。ピンク、パープル、オレンジ、イエロー……カラフルなライトが交差し、LiSAの動きに合わせて、ピンクの光が左右に揺れる。
「名古屋―!この15年、たくさんの空を超えて、またここ名古屋に帰ってきましたー!」。そう大きく告げて、「BRiGHT FLiGHT」へ。“今日は記念日 いい旅が そうね、出来そうじゃん”と歌う「BRiGHT FLiGHT」にのせて、LEDスクリーンいっぱいに広がる、青い空と空からの景色。LiSAは楽しそうに15ホーンズを引き連れて、センターステージへと進み、輝くブラスの音色が空を飛ぶ爽やかな風をアリーナに運んでくれた。拍手に見送られて15ホーンズがセンターステージを下りると、LiSAが「この(センターステージからの)ヤバい景色、見てみたいでしょ?にゅーメンズ、カモン!」とバンドを誘い、アコースティクセットが準備されたフロア中央に集合する。
「わぁ、どうしよう!すごい楽しい!」とニコニコ顔のLiSAは、この日のステージには、映像収録が入っていることも報告。そしてオーディエンスを見回し、過去2回、同じ場所でライブを行った“~LADYBUG~”ツアー、“~LiTTLE DEViL PARADE~”ツアーだけでなく、15年前に行った最初の“~Letters to U~”ツアーグッズを持っているファンを見つけて驚き、喜びの声をあげる。若き日、レインボーホールと呼ばれていた時代から「ここの舞台」で歌うことを夢見てきたというLiSA。「色んな日を超えて、今日、この新しくクロコくんホールの中で、あなたとお祝いできる日を、幸せを噛みしめながら、1曲お届けしたいと思います」。そう言って届けたのは「Letters to Me」だ。LiSAが10周年のタイミングで、デビューから自分が歩んできた道を振り返って作詞したこの曲。冒頭、“もう今は音の出ないウォークマンを抱きしめ ここで歌ってる”のフレーズを、かつての自分に言い聞かせるように、 “ガイシで歌ってる クロコで歌ってる”と歌い替えたLiSA。感慨を込めた強く、優しい歌声を支える、粒立ったアコースティックサウンドが、この曲に込められた今のLiSAからかつてのLiSAへの想い、そしてLiSAの歴史を見守ってきたファンの想いを、温かく包み込んでいた。そして、センターステージに残ったLiSAが「Letters to ME」の歌詞になぞらえて語りだす。
「名古屋駅から走り出した15年前の私に伝えたい。15年後、こんなに最高な景色をこの名古屋で迎えられてるよって。それは、あなたが繋いでくれた今日です。あなたが一緒に繋いでくれた、この15周年です。今日は本当にありがとうー!」
メインステージに戻っていたバンドが、その言葉に重ねて息の合ったリフを奏で、LiSAは「まだまだ一緒に繋いでいこう!「Patch Walk」!!」と宣言する。“わたしは ほら 確かにここにいる 絡め 固く結んで 次の未来へ”、“ここまで来れたことが誇らしい”……LiSAの歌声はどこまでも伸びやかに、幸せな時を刻む。インターバルではLiSAが大きく手を左右に振り、客席の“ララララララ~”の大合唱と一体になる。
アニメに寄り添った世界観をリアルに表現するアニソンアーティストとしてのLiSA、吹き出すエモーションを激しくぶつけるロックアーティストとしてのLiSA、等身大のワタシを歌うポップなLiSA。そして、そんな15年間を総括して、次への道を指し示すLiSA。ここまでの各ブロック。彼女がずっと培ってきた音楽との軌跡を詰め込み、楽曲で長い歴史をなぞってきたことに、とてつもない幸せを感じてしまう。さらにその曲たちはすべて、LiSAッ子との“デート=LiVE”の中で彼女がずっと大切に育て、育ててもらってきたナンバーばかりだと気づき、さらに嬉しくなった。
まだまだこんなもんじゃない!
ラストに向けてさらにギアを上げるLiSA
客席の大合唱に高々とサムアップしたLiSAがお立ち台を下りてステージから姿を消し、バンドと15ホーンズが演奏を始めた曲は、最新アルバムのトップを飾った「OPENiNG -LACE UP-」。聞き覚えのある名曲のフレーズが散りばめられたインストゥルメンタルナンバーが、“これまで”を経てきたLiSAの“今”に照準を合わせる。ステージ頭上から、ゆっくりと巨大イチゴのセットが下降。もう一度上昇を始めると、そこにLiSAの姿が!
歓声の中で鳴り響くエンジン音、吹き出すスモーク。ドラムカウントとともに「DECOTORA15」が走り出し、LiSAが「ぶっ飛ばしていくよー!」と叫ぶ。LEDモニターにはデコトラが映し出され、ビカビカの電飾とイエローのライトがド派手に光り、オーディエンスの雄々しい掛け声がこだまする。大きくアクションしながら、LiSAが“ぶっ飛ばした”ボーカルで客席を煽り、“もっと遊んでDECOTORA 幻のようなクロコくんホール!”と笑顔で歌い替え、“だって一緒がいい!一生涯!”と声を張り上げる。次に放ったのは、ミラーボールの光を浴びた「rapid life シンドローム」。バンド&15ホーンズが、LiSAと一緒にわちゃわちゃとメイン&センターステージをはしゃぎ回り、ポップな熱狂をさらに追い立てる。ステージの上の一体感とフロアの一体感が渦を巻き上げ、聴こえてきたのは……“RED or GREEN”のあのコールだ。ステージが赤と緑の光に包まれ、再び下りてきた大きなイチゴの前に凛とLiSAが立つ。 “RED or GREEN”の連呼を浴びて、お立ち台に座り込み、寝転び、艶っぽくパフォーマンスしながら、歌声を響かせる。センターステージでPABLOといくちゃんが激しくギターをかき鳴らし、バンドがアグレッシブにサウンドを聴かせる中で、イチゴセットに乗り込んだLiSAが上空へと引き上げられていく。その姿はまさにQUEENの名に相応しい。クールな表情でフロアを睥睨し、天を高く指さしてダイナミックに歌い上げ、間髪入れずに「Shouted Serenade」へ!
歌が始まるとともに、一斉にLiSAが見下ろす世界が青く変貌する。まだ足りない!と、激しく「名古屋ー!!!」とシャウト。叩きつけるようなリズムがスピードを増し、怒号のような“Hey!Hey!”の声に煽られたLiSAの歌がフロアに降り、大きなイチゴがゆっくりと下降。“心に嘘はつかない その手は離さないんだよ”で握られた拳が、力強く伸ばされた。一瞬の暗転を挟んで、印象的なイントロが耳を襲う。ステージに光が戻った瞬間、地上に降り立った猛々しい“QUEEN”が両手を広げてランウェイを疾走。興奮に囲まれたセンターステージにたどり着き、「Catch the Moment」を放つ。今日何度目になったのか、もう数え切れないオーディエンスの大合唱に、LiSAが「歌って!」と声をかけ、どこまでも“Catch the Moment”のフレーズが広がっていった。
「大切な瞬間、全部全部全部全部掴んで、この先の未来へ行こう!どんな逆光もぶっ飛ばして、その先に行こう!……ラスト!!」
本編ラスト、LiSAが自分もタオルを持って、「タオル回してー!」とシャウト。勇壮なブラスを響かせた「逆光オーケストラ」がスタートする。“想い出話なんて 下手なままでいいよね”と不器用に、真っ直ぐに、悲しいこと苦しいことを乗り越えて、眺めていた鮮やかな地図へと飛び込んでいったLiSA。そしてここからは、先のまだ見えない物語が待っている――。歌いながらセンターステージからランウェイに戻る途中、ニコニコしながら客席に振っていたタオルを投げ込み、バンドの待つメインステージへと走るLiSA。みんなと一緒にピースサインを掲げて歌い終えた彼女の笑顔は、かけがえのないLiSAッ子という仲間を得た喜びに溢れていた。
次ページ:15年で築き上げたファンとの繋がりを胸に刻み付けたアンコール
15年で築き上げたファンとの繋がりを
胸に刻み付けたアンコール
アンコールを求めるLiSAの名が呼ばれる中で、聴こえてきたのは“そーれ そーれ 洗っちゃいな”のあのフレーズ。「ウォッシュ!ウォッシュ! それ!それ!」とLiSAがダンスしながらステージへとやってくる。一斉にフリを合わせるオーディエンスに声をかけていると、客席がざわざわしだす。ステージ下手に目をやると、ちょこまかと踊りながらやってきたのは……2人のミニオン!「「小豆あらい」で妖怪を召喚しました! 名古屋の小豆あらいたち準備はいいかーい!」と元気に呼びかけ、スペシャルゲストのミニオンズと楽器を持たない15ホーンズがダンスで合流し、「小豆あらい feat. MAISONdes, ケンモチヒデフミ」で全員が振り付けを合わせる。華やかなラテンのリズムに乗ってLiSAがくるくると楽しそうに回り、ミニオンズの手をとって“花いちもんめ”をして遊ぶ。一足早くやってきた夏祭りに、オーディエンスも大興奮だ。
「ミニオンズー!」とLiSAが改めて紹介すると、彼らもとミニオン語で挨拶。LiSAの通訳によれば、ミニオンたちが、あんこな和菓子がたくさん登場する「小豆あらい」に招かれて来たらしい?そして彼らに「カンペを見ろ」と促されたLiSAから、8月7日から公開されるアニメーション映画『ミニオンズ&モンスターズ』に、LiSAがミニオンズの相手役になる“ハリウッド女優”役の吹き替えキャストに決定したことが発表に!客席にも応援の声が飛び交った。
そしてミニオンたちと記念撮影をして、改めてバンド&15ホーンズが一人ずつ紹介される。センターステージまで走り回ったり、ランウェイを前転で転がったり、小豆ダンスを披露したりと、ツアーファイナルを迎えたメンバーたちが大はしゃぎするたびに、客席から笑いが起こる。サポートメンバーとのこのわちゃわちゃ感も、LiSAが長年、彼らと音楽で信頼を築いてきた証だ。ミニオンズを見送って、ここでもう1つ、今年10月からの全国ホールツアー“LiVE is Smile Always~LACE UP~”開催決定を初解禁。会場が歓喜に包まれた。
一息ついて、あっきーのピアノをバックにLiSAが語る。
「この15年、本当にたくさんの歌をみんなに届けてきました。それでも歌い足りない歌、まだ遊んでないこと、まだ叶えてない夢……15年経ってもやりたいこと、みんなと作っていきたいこと、新しい想いが芽生えていくって、すごく幸せだなって思っています。懐かしい楽曲も、新しい曲も、みんなとどんどん想いと思い出を積み重ねて。今日ここで一緒に歌った歌を積み上げて、みんなと新しい未来へ、まだまだ進んでいきたいと思います」
そして「このツアー中に発表された新曲を」と届けた曲は「YES」。LiSAを包むスポットライト、背後から白い光の筋が照らされ、拡散する。ピンクと青に彩られたフロアは、誰一人身動きせず、儚くも力強い歌声にシンとなる。静かなアウトロ、LiSAは右手を胸に当てて、祈るように歌い終えた。すぐにバンドが演奏を始め、LiSAが確かな足取りでランウェイを歩いていく。そしてセンターステージに到着。「名古屋、今日は15周年のお祝い。一緒に特別な日を作ってくれて、本当にどうもありがとうございました。一緒に未来へ行きましょう」と告げて届けたファイナルソングは「NEW ME」だ。
この15年間、LiSAは光の中だけにいたわけではない。悔しさに涙し、願い事が叶わないことに悲しみ、怒り、もがくこともあった。だが彼女は、“たとえ深い闇にいても 暗いんじゃない 怖いんじゃない ヒカリを知るためのチャンスだよ”と自分に言い聞かせ、常に新しい自分になって夢を追いかけ、駆け抜けてきた。LiSAが言葉を紡いだ「NEW ME」の物語はそのまま、LiSA本人の想いに重なる。そんな気持ちを共有しながら、じっと聴き入っていると、1番のサビを歌い出したLiSAの声が急に途切れてしまう。予期せぬマイクトラブル。異変を察知したLiSAッ子たちがすぐに、LiSAのメロディを引き継ぎ、大きな合唱が巻き起こる。胸に手を当て、みんなの優しさとLiSAッ子との絆の深さに、感動の涙をこぼすLiSA。新しいマイクを受け取って、曲間のショートMCを始めようとするが、涙に邪魔され、腕で涙をぬぐいながらも、その声は途切れ途切れになってしまう。
「いつだってあなたは、あなたたちは、どんな日も私の光になって、最高の日を作ってきてくれました。どんな日も、どんなハプニングも、あなたが会いに来てくれて、一緒に歌ってくれる。あなたが私を照らし続けてきてくれました。あなたが私の光になってくれたように、次は、私がいつだってあなたの光になって、あなたの光になれるように走り続けていくからね!どんな日も最高の未来に続いていくように、一緒に走っていくからね!一緒に歌おう、最高の未来へ!」
今、まさにこの日を予感していたかのようなLiSAの言葉に、大歓声が送られる。軽やかなバンドサウンドにのせて、続く「NEW ME」。今日一番のオーディエンスの掛け声に、目の周りを少し赤くしながら満面のなか笑みが輝いた。全曲を歌い終え、サポートメンバーを送り出したLiSA。感動が覚めやらないで、はにかんだ子供のような小さな声で「岐阜県関市出身のLiSAです」と、みんなに語りかける。地元にいた頃から憧れていたこの場所が、日本武道館のような“ホーム”になったこと。そして、15年間かけて実らせた“たわわなイチゴ”は、ここに集まってくれたみんなが作ってくれたものだということ。「私にとって、あなたたちは誇りです。また一緒に遊ぼうね!」。マイクを外し、最後はセンターステージで生声で挨拶。「ばいちー!」と掛け合い、くるくる回りながらファンに飛ばした投げKISSが、深い余韻となって“~15~”ツアーの全てを締めくくった。
次なるワンマンツアーは10月からの“LiVE is Smile Always~LACE UP~” 全国ホールツアーだ。LiSAがステージを去る直前、「“~LACE UP~”というタイトルなので、アルバム聴いておいてください!」と予告したように、今回聴けなかった楽曲もたくさん披露されることだろう。現在開催中のアジアツアー、9月からの初ヨーロッパ&UKツアーで、今度は何を積み上げ、新しい未来を作ってくれるだろうか。その答えを早く知りたくなる “~15~”ツアーだった。
LiVE is Smile Always~15~(iCHiNiTSUiTE GO)
2026年5月20日@クロコくんホール (日本ガイシホール)
〈セットリスト〉
M01. best day, best way
M02. Merry Hurry Berry
M03. Rising Hope
M04. oath sign
M05. crossing field
M06. träumerei
M07. 紅蓮華
M08. ADAMAS
M09. ⾚い罠(who loves it?)
M10. HADASHi NO STEP
M11. BRiGHT FLiGHT
M12. Letters to ME
M13. Patch Walk
M14. DECOTORA15
M15. rapid life シンドローム
M16. QUEEN
M17. Shouted Serenade
M18. Catch the Moment
M19. 逆光オーケストラ
ENCORE
EN01. 小豆あらい feat. MAISONdes, ケンモチヒデフミ
EN02. YES
EN03. NEW ME
●ライブ情報
LiVE is Smile Always~LACE UP~
【2026】
10/18(日)YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)(開場14:45/開演15:30)
10/24(土)グランキューブ大阪(開場17:00/開演18:00)
10/25(日)グランキューブ大阪(開場16:00/開演17:00)
11/1(日)福岡サンパレスホテル&ホール(開場17:00/開演17:45)
11/3(火・祝)iichikoグランシアタ(大分)(開場17:00/開演17:45)
11/13(金)帯広市民文化ホール(北海道)(開場17:45/開演18:30)
11/15(日)札幌文化芸術劇場 hitaru(北海道)(開場17:00/開演17:45)
11/21(土)レクザムホール(香川県県民ホール)(開場17:00/開演17:45)
11/23(月)松山市民会館(愛媛)(開場17:00/開演17:45)
12/12(土)砺波市文化会館(富山)(開場17:00/開演17:45)
12/13(日)本多の森北電ホール(石川)(開場17:00/開演17:45)
12/18(金)広島文化学園HBGホール(開場17:45/開演18:30)
12/20(日)米子コンベンションセンター BiG SHiP(鳥取)(開場16:45/開演17:30)
【2027】
1/9(土)TOYOTA ARENA TOKYO(東京)(開場16:00/開演17:00)
1/10(日)TOYOTA ARENA TOKYO(東京)(開場15:00/開演16:00)
1/16(土)仙台サンプラザホール(宮城)(開場17:00/開演17:45)
1/17(日)盛岡市民文化ホール(岩手)(開場17:00/開演17:45)
1/28(木)Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知)(開場17:45/開演18:30)
1/30(土)長良川国際会議場メインホール(岐阜)(開場17:00/開演17:45)
関連リンク
LiSAオフィシャルサイト
http://www.lxixsxa.com/
LiSA15周年特設サイト
https://www.lxixsxa.com/LiSA_15th/
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