9月15日、土地取引の目安となる「基準地価」が公表されました。

全国平均では住宅地・商業地ともに5年連続上昇し、特に商業地で上昇幅が拡大しましたが…関西における最新の不動産市場はどうなっているのか?自分の住む街の「地価」をどうみれば良いのか?

大和不動産鑑定・山内正己氏と、フジ総合鑑定・住江悠氏への取材をもとに解説します。

基準地価と公示地価の違いとは?「春と秋の健康診断」

【基準地価】住宅地は二極化?大阪では「梅田・難波まで電車で2...の画像はこちら >>

土地価格の調査は大きく5種類あります(実勢価格・路線価・固定資産税評価額・公示地価・基準地価)。

中でも、毎年3月下旬に国土交通省が公表する「公示地価」と、9月下旬に都道府県が公表する「基準地価」は、街の経済状態を知る重要な指標です。

専門家は、この2つを「春と秋の街の健康診断」のようなものだといいます。

春の公示地価を補完するのが秋の基準地価であり、単一の「点」の数値だけで判断するのではなく、前年からの推移という「線」の流れで動向を捉えることがポイントだということです。

近畿の全体傾向 住宅地は“二極化” 商業地は一部で大きく上昇

【基準地価】住宅地は二極化?大阪では「梅田・難波まで電車で20分圏内」が価格上昇のボーダーラインか 上昇率が好調なエリアは?関西の最新動向・注目エリア分析
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近畿2府4県における今年の基準地価を見ると、大きく分けて以下のような特徴があらわれています。

▼住宅地:都心部や駅近エリア、その周辺のエリアでは価格の上昇が見られる一方、人口減少の影響を受ける郊外などでは下落する「二極化」が進行している

▼商業地:人流の回復やインバウンドの増加、再開発への期待などの要因で、主要都市部・駅前・観光地を中心とした一部で大きく価格が上昇している

【大阪の商業地】「ミナミ」が7年ぶりに首位返り咲き

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大阪府の商業地で最も地価が高かったのは大阪市中央区宗右衛門町(戎橋の北東)です。インバウンド需要により、長らくトップをキープしていたキタの地点からミナミが7年ぶりに首位に返り咲きました。

1平方メートルあたりの価格は2580万円。前年比+7.1%で、前年の+7.6%に続く大幅上昇です。

一方、今年2位となった大阪市北区のグランフロント大阪南館は、1平方メートルあたり2490万円でした。前年比+1.6%(2025年は+2.5%)と上がり幅は緩やかで、勢いの差が鮮明に出る結果となっています。

【大阪の住宅地】箕面市や堺市は上昇傾向が続く…利便性が明暗を分ける?

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大阪府内の住宅地では、交通利便性の向上やアクセスの良さが地価を強力に押し上げています。

例えば以下のデータを見ると、箕面市では大阪メトロ御堂筋線の北への延伸など交通利便性の高まりを背景に、上がり幅がだんだん大きくなっているのに対して、大阪市中心部から距離がある岬町では下落が続いていることがわかります。

【基準地価 前年比】※市町単位の平均値
▼箕面市
2024年:+2.6%
2025年:+3.5%
今年:+4.1%

▼堺市
2024年:+2.3%
2025年:+2.6%
今年:+3.2%

▼河内長野市
3年間:±0%

▼岬町
2024年:−3.6%
2025年:−3.1%
今年:−2.2%

梅田・本町などへの「電車での所要時間」がボーダーラインに?

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大阪府の基準地価調査を担当している大和不動産鑑定・山内正己氏は、梅田・本町・難波などの都心主要拠点までの所要時間が地価の分かれ目になっていると分析します。

電車で20分圏内:地価上昇が顕著
電車で30分圏内:ほぼ横ばい
電車で30分超:利便性が良好とは言えず、下落傾向

フジ総合鑑定・住江悠氏は、かつて住宅選びで重視された「広い」「緑が多い」「高台で見晴らしが良い」といった快適性よりも、近年は日常の利便性をより重視する人が増えていることが背景にあると指摘します。

兵庫県トップの伸び率:再開発が進む「芦屋」

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兵庫県内の商業地の上昇率1位となったのが、JR芦屋駅の南側に位置する兵庫県芦屋市業平町(なりひらちょう)で、前年比は+12.9%。

このエリアでは、2023年のJR芦屋駅の駅舎改修に加え、今年8月の大丸芦屋店の全館リニューアルなど、駅南側の再開発が進んでいることが大きな要因です。

芦屋市長に聞いた「街づくりのポイント」は?

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芦屋市の高島崚輔市長(29)は、街づくりにおける方針について次のように語っています。

「市長が変われば街づくりの方向性も変わる。いまは住民主導でやることを考えています」

芦屋市では景観や住環境の向上に向けて「無電柱化」を推進していて、市道の無電柱化率は今年4月時点で約16.2%に達し、全国でもトップクラスの水準となっています。

高島市長が街づくりにおいて大事にしているというのが「“余白”(=可変性)」。

例えば、駅前ロータリーの上部に設置するデッキをあえて細く抑えている点について、40~50年後に自動運転の普及などでバスロータリーのあり方が変わった際、大きな構造物があると改修や見直しが困難になるためだということです。

「短期の価値と長期の価値がぶつかることはあるけれど、それを考えるのが政治である」として、長期的な視点を取り入れた街づくりを進めているといいます。

「マイホーム」購入すべき?待つべき?専門家の見解

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地価の動向を踏まえ、今後住宅を購入すべきか待つべきかについては、専門家の間でも見解が分かれています。

▼山内正己氏の見解
金利上昇局面に入っており、住宅ローン金利の動きなどから不動産市況に過熱の一服感が出る可能性があるため、購入時期については慎重に見極める場面である。

▼住江悠氏の見解
金利上昇などのマイナス要因はあるものの、関西においては再開発やインバウンド需要などのプラス要因が上回っており、今後も地価は上昇を続ける可能性がある。

また、両者ともに「自身の居住地域の地価が上昇していることは、地域の活性化を示す好ましいサイン」という点では見解が一致しています。

ちなみに、いまの金利上昇が地価に反映されるのは、来年の基準地価であろうということです。

“街の機能をコンパクトに”多くの自治体が定める「都市機能誘導区域」

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人口減少社会が進む中、多くの自治体では、街の機能をコンパクトにまとめる目的で立地適正化計画を定めていて、その中で「都市機能誘導区域」を指定しています。

この区域内に医療・福祉・商業施設などを移転・整備する際には国から補助金が出されることがあるため、行政として今後も都市機能を集中・維持させるエリアであると推測できます。

自分が住んでいるエリアや、今後居住を検討しているエリアで、街づくりの計画や基準地価の動きを知ることは、街の将来像を測る有効な指標となります。

地価の公表データを単なる数字として見るだけでなく、今後の生活設計の参考として活用してみてはどうでしょうか。

(2026年9月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『山中プレゼン』より)

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