【目次】
「Liquid Glass」UIのデザイン改良
近年のAppleの発表では、いったん「iOS」の目玉となる新機能として発表されたものが、実は直後に紹介される「macOS」でも使えるというような「分かりづらい重複」が多く見られました。これはポジティブにとらえると、各OSがシームレスに連携するように共通のテクノロジー基盤が作られてきた結果でもあります。
クロスプラットフォームのデザインアップデートとして、「Liquid Glass」のさらなる改良が発表されました。「Liquid Glass」は、ガラスの光学的特性と液体のような滑らかな動きを掛け合わせ、半透明のマテリアルをベースとしたUIデザインです。今回の基調講演では、今後の改良で背景と見分けのつきやすい鮮明な表示になったり、完全な透明から色付きまで好みに合わせて調整できるなどユーザーによるパーソナライズ調整に対応したりすることが発表されています。
システム要素の最適化によるレスポンス向上
次に紹介されたテーマは「Responsiveness(反応の良さ)」で、システム要素を最適化することによって実現されたパフォーマンス向上についてです。代表的な例として、iPhoneでのホーム画面のスワイプやMacのMission Control操作などでのシステムアニメーションの動きが、よりスムーズになります。このシステム要素の最適化はアプリの起動速度にも影響を及ぼし、iPhoneとiPadでのアプリの起動は最大30%速くなるそうです。
そのほか、ネットワークの切り替えについても改善があります。モバイル通信とWi-Fiの切り替えはこれまで以上にシームレスになり、モバイル通信を優先させたい場合に意図せずWi-Fiの電波を拾ってしまうような場面でも、iPhone側で「今の接続を維持するか切り替えるか」の最適な判断が実行される仕組みです。
子どもの安全なデジタル体験を守るための機能
次のテーマは「Trust and safety(信頼性と安全性)」です。このパートでは、今後のApple製品のアップデートが、特に子どものための安全性機能に十分に配慮したものになることが大きく紹介されました。
https://www.apple.com/child-safety/(英語版)子どものデバイス使用における安全性を高めるための有効な方法としては、専用の「子どもアカウント」の作成・運用が紹介されています。ペアレンタルコントロールの使い勝手が強化され、アプリの使用時間を制御するスクリーンタイム機能も再設計されました。
パーソナルコンテキストを理解する「Siri AI」
今回の基調講演で最大のポイントとなったのは、独自のAIプラットフォームである「Apple Intelligence」の進化と、それに基づく新たな「Siri AI」です。Siriは2011年のiPhone 4Sで初搭載されたパーソナルアシスタント機能ですが、Apple Intelligenceとの連携が本格化されることで「Siri AI」へと刷新されることが発表されました。
この「Siri AI」は、システム全体と深く結びついて使えることも特徴です。プラットフォームごとの最適化が行われており、たとえばmacOSでは、Spotlightの検索バーやコンテクストメニューからSiriとの会話を始めることもできます。最も印象的だったのはvisionOSの例で、「Siri AI」は3Dで視覚化された球体として空間にピン留めしておくことが可能です。「Hey Siri」と言わなくても、その球体を見つめて話し始めるだけで会話をスタートさせることができます。
「Siri AI」のビジュアルインテリジェンス
「Siri AI」は、画像を理解するパワフルな能力やマルチモーダル機能も備えています。マルチモーダルとは、テキストと画像など異なる要素を同時に理解する機能で、近年のAIの主流となっているテクノロジーです。iPadとMacでも、画像を認識する「Siri AI」のビジュアルインテリジェンスが使えるようになります。
具体的な例としては、シャッターボタンをタップして「Siri AI」に「見せる」ことで、それに関する役立つ情報を得ることができます。
「Apple Intelligence」の進化による機能強化
進化した「Apple Intelligence」の中核を担うのは、「Apple Foundation Model」です。次世代の「Apple Foundation Model」は、Google社のGeminiモデルとの連携によって独自に構築されています。「Apple Intelligence」の能力が活用されるのは、「Siri AI」だけではありません。今回の基調講演では、「Apple Intelligence」の統合によるSafariや各種のコミュニケーションアプリでの新機能もプレビューされました。
特に注目したいのは、ショートカットアプリの強化です。同アプリではシステムとアプリのアクションを連携させて日々のタスクを自動でこなせるオートメーションを組むことができますが、その準備と運用も自然な言葉で指示を出すだけで可能となります。
画像編集にも活躍する「Apple Intelligence」
「Apple Intelligence」の進化は、画像編集の方法にも変化をもたらします。デザイナーも注目しておきたい例が、Image Playgroundや写真アプリでの処理です。新バージョンのImage Playgroundでは、Appleの新しい生成モデルをプライベートクラウド上で実行し、写真のようにリアルな画像を含めて「ほぼ全てのスタイルで」高品質な画像を作成できます。生成された画像には、非表示のウォーターマーク(SynthID)が自動的に付与される仕組みです。
今回の基調講演ではハードウェア面に関する言及は一切なく、iOSやmacOSなどデバイスごとに分けた個別の詳しい紹介もありませんでした。基調講演では、macOSの次期バージョンの名称が「macOS Golden Gate」になることが明らかにされる程度にとどめられています。プラットフォーム全体にわたる基盤テクノロジーの解説に終始し、とりわけAI関連の紹介が大部分を占めました。
なお、スティーブ・ジョブズ氏からバトンを引き継いで、長期にわたって「基調講演の顔」も務めてきたティム・クックCEOは、2026年9月にはAppleのエグゼクティブ・チェアマン(会長)に就任することが既に発表されています。彼にとって、今回はCEOでの最後のWWDCです。基調講演の最後には、同氏からの熱の入ったメッセージを含む挨拶もありました。大部分がAIに関する発表だったことも相まって、「Appleの次の時代への一歩」を感じさせる基調講演であったと言えるでしょう。
Apple
URL:https://www.apple.com/jp/
2026/06/11











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