財政、経済、科学技術、外交から国民の意識改革まで、世界で多発する武力紛争を背景に、ひたすら軍備増強を図る内容だ。
 自民党が安全保障関連3文書の改定に向けた政府への提言をまとめた。

 人工知能(AI)や大量の無人機を活用した「新しい戦い方」と、長期にわたる「継戦能力の確保」などを柱に、予算や装備・体制において「5年以内の防衛力の変革を成し遂げるべきだ」と要望した。
 2022年末に改定された現行の3文書では、相手領域内でミサイル発射を阻止する「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を明記。防衛費を国内総生産(GDP)比で2%まで増やす目標も示した。
 今提言では明確な額は示していないものの、GDP比3・5%を掲げるNATO加盟諸国や韓国を引き合いに出し、「自国を守る覚悟のない国を助ける国はない」として増額の必要性を強調している。
 防衛費は膨張を続けている。高市政権は目標を2年前倒しして25年度に達成した。
 防衛財源の一部として法人税やたばこ税が増税され、来年1月には所得税も増税される。そうした中でさらに増税を求めるのか。
 ヘグセス米国防長官は先月のアジア安保会議で全同盟国にGDP3・5%の引き上げを要求した。26年度予算ベースで換算すると20兆円近くになる。
 これだけの財源をどう確保するのか。提言では明らかにされておらず無責任だ。

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 大量の「無人アセット(装備品)」導入や、離れた敵に対処する「スタンド・オフ防衛能力」整備、日米共同訓練の促進など軍備増強や訓練強化も明記された。
 有事の際の住民避難を名目に南西諸島での特定利用空港・港湾を「浸透」させる必要性も説く。
 沖縄の基地負担は米軍に加え、自衛隊の配備強化でさらに重くなっている。
 提言では「安定的な駐留や円滑な訓練の実施について地域社会との連携が極めて重要」とし、沖縄の基地負担軽減の必要性にも触れた。
 だが、経済安全保障については「有事を前提とした社会・産業構造の強靱(きょうじん)化」、防衛予算については「防衛力の強化なくして我が国の平和と安定、繁栄はあり得ない」などの言及に比べ熱量は伝わらない。
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 3文書改定を巡っては有識者会議での議論が始まった。連立を組む維新も独自案の議論を進めている。政府はこれらの提言を踏まえて年内にも新たな安保3文書を決定する方針だ。
 自民案には明記されなかったものの、今回の改定では高市早苗首相の持論である「非核三原則」の見直しが盛り込まれるかどうかも焦点となっている。
 改定は平和国家としての在り方を根本から変えかねない。
 前回は閣議決定で改定されたが、政府の独断は許されない。
 国会で議論を尽くすべきだ。
 
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