若いうちに投資するべきものは何か。経営コンサルタントの藤井孝一さんは「20代のうちから株式投資や投資信託などの金融投資を行っておくことには大きな意味があるが、それ以上に20代が『旬』と呼べる投資がある」という――。

※本稿は、藤井孝一『20代の特権』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■NISAより先に、積極的に投資するべきもの
若年層を中心に投資ブームが起きているようです。
20代のうちから株式投資や投資信託などの金融投資を行っておくことには大きな意味があります。ただ、20代にとって最も高いリターンが見込める投資先は「自分」にほかなりません。自己投資には積極的にお金を使うべきです。
例えば、給料から家賃や食費、光熱費、その他諸々の費用を除いて、何とか毎月手元に5万円が残せるとしましょう。
毎月5万円を金融投資に回せば、確かに資産形成は順調に進みます。
でも、私なら1万円をNISAなどで運用し、残りの4万円は本を買ったり、旅行をしたり、人に会ったりするのに使います。
実際に私は自分の学びと経験にお金を使うことを強く意識してきました。その多くがあとあと役立ちました。金融商品への投資以上のリターンをもたらしてくれたと思っています。
■20代は今が自己投資の「旬」と自覚する
人生後半の戦略書』(アーサー・C・ブルックス著、SBクリエイティブ)という本によると、人間には二種類の知能が備わっているそうです。

1つは「流動性知能」で、推論力や柔軟な思考力、目新しい問題の解決力などがそれに当たります。もう1つは「結晶性知能」で、過去に学んだ知識を活用して問題を解決する能力です。
流動性知能はおおよそ40歳頃にピークを迎えるといいます。
要するに仕事で新しい企画を発想したりする力は40歳頃がピークで、それ以降は急速に落ち込んでいきます。実際に、発明家やノーベル賞受賞者が大きな研究成果を上げる時期は30代後半とされています。
アウトプットのピークが40歳であることを考えると、アウトプットに必要なインプットはその前、できれば20代くらいまでにしておくべきです。
インプットの能力は年齢を重ねるごとに落ちていきます。記憶力も、勉強を続ける体力も衰えていきます。
一方、一度インプットした知識や情報は、何度でも使えます。早く手にすれば、より長く、何度でも使い続けることができます。できるだけ早くデータベースを充実させておく意味はそこにあります。
20代こそ、自分のデータベースの充実に時間とお金を投じるべきなのです。

インプットへの投資というと、資格取得、語学習得、読書など、学びらしい学びがまっさきに思い浮かびます。ですが、それ以外の旅行や趣味、人づき合いなどの経験に投資しておくことにも大きな意味があります。
データベースをどう活用するかは、走りながら考えればいいのです。20代では今が自己投資の「旬」であると考えて、豊かなデータベースの構築に励むべきです。
■成長したいのなら、居心地のよい環境を離れる
仕事を順調に覚え、仕事に慣れてくると、得てして人はコンフォートゾーンにはまり込みがちです。
コンフォートゾーンとは、不安やストレスを感じることなく、安心して過ごせる場所や環境のことです。とても居心地がよいので、ついそこから出たくなくなります。
確かに気の合う仲間とお酒を飲んでいれば楽しいし、居心地もよいものです。でも、そこから得られるものは癒し以外に何もありません。コンフォートゾーンに留まっている限り、成長は望めません。
成長したいのなら、居心地のよい環境をよしとせず、あえて自分から変化を求めることです。そもそも年を重ねるごとに変化には対応しにくくなっていきます。
変化するなら20代の今がチャンスと考えるべきです。
例えば、受験勉強をするときに、簡単な問題集にだけ取り組んでいたら学力は頭打ちになります。筋トレでも、同じ重さのバーベルを持ち上げているだけでは、筋肉量を増やすことはできません。
問題集の難易度を上げたり、ウエイトトレーニングの負荷を上げたりするのと同じように、仕事も「楽にできている」と思ったら、あえて楽ではない仕事にチャレンジをしてみることです。
■「コンフォートゾーン」から抜け出す3つの方法
コンフォートゾーンから抜け出す方法は3つあります。これは、私が尊敬するコンサルタントの大前研一さんの受け売りです。
1つ目は「つき合う人を変える」ことです。学生時代の友達や同じ会社の同じ人とつき合っているのは気が楽です。でも、あえてかなり年上の人や自分よりも若い学生と関わるなど、つき合う人を変えると大きな刺激になります。
仕事を離れて趣味の集まりに参加するのもいいと思います。私も、50代になってからヨガを始めたり、料理教室に通ったりすることで、仕事ではあまり交流のない年上の女性と会話をする機会が増えました。
2つ目は「時間配分を変える」ことです。
私は生活の中に早起きを取り入れてから、大きく人生が変わりました。それまでは出社時間から逆算して、7時頃に起床していました。
しかし、時間が足りなくなって起床時間を朝4時に変えたことで、見ている世界が一変しました。
例えば、残業をやめたとたんに、残業代がつかなくなりました。考えると不思議ですが、会社では残業をすると残業代が出るのに、早く出社して仕事をしても手当がつくわけではありません。朝は眠いし、手取りも減る。コンフォートゾーンとは真逆の世界です。
それでも早朝出勤をするようになってから、上司からの評価は上がりました。
上司から見れば、残業は居残りであり、残業している人は「仕事が遅い人」と思われます。これに対して、早出はいわばフライングであり、早くから頑張っているなという評価につながるのです。
役員が早くから出社しているのも意外な発見でした。今思えば、年齢を重ねて早起きになっただけかもしれないですが、早くから出社しているうちに、役員の目に留まり、「頑張っているな」などと声をかけてもらえるようにもなりました。

■海外旅行するだけでも効果
そして3つ目は「場所を変える」ことです。会社でデスクワークをするのもいいですが、たまにはシェアオフィスのような場所で仕事をすると、意識が変わりますし、周囲の人たちの働き方や居住まいに目が向きます。
最近は転勤がネガティブに語られますが、あえて転勤を受け入れれば「場所を変える」効果は絶大です。中には転勤をきっかけに人生観や生き方ががらりと変わる人もいます。
私も海外転勤をきっかけに人生観が大きく変わりました。もちろん、海外旅行するだけでも効果があると思います。
「最近楽をしている」と感じたら、これらを試してみる価値は十分あると思います。

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藤井 孝一(ふじい・こういち)

経営コンサルタント

中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。

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(経営コンサルタント 藤井 孝一)
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