徳島にある室内ドア製作メーカーの株式会社布川製作所は、木製ドアをはじめ、室内部材、枠、家具などの企画・製造・販売・施工管理を一貫して行っています。

その技術と品質の高さは全国でも評判で、「顧客第一」の誠実な姿勢も高く評価されています。


布川製作所の成り立ちと全国で事業を展開するに至った背景、社員とともに描く会社の未来像について、布川嘉衛社長に語っていただきました。最終章では、「未来の仲間」に向けた社長のメッセージもご紹介しています。

生き残りをかけた「全国展開」への決断

1885年(明治18年)に布川建具店として創業した布川製作所は、地域の職人が集まった商店のような業態からスタートしました。1952年、太平洋戦争での徴兵から帰還した3代目社長によって法人化(会社設立)されました。

会社を設立する前の当社は、徳島県内や四国向けにビジネスを展開していましたが、当時は県内の同業他社が次々と倒産していく厳しい時代だったといいます。

そのため、「全国展開」を目指すという3代目社長の決断が、会社にとって大きなターニングポイントとなりました。

その後、布川製作所は1994年の新社屋・新工場移転により、生産性が大きく向上。直近では付近に高速道路のインターチェンジが整備され、物流網も整った安定的な事業基盤が完成しています。

他社に真似できない「オンリーワンの技術」

布川製作所の最大の強みは、分譲マンション領域におけるフルオーダーメイド製品の提供において、北海道から沖縄までを網羅し全国的に展開している点です。

全国規模で事業を推進しているデベロッパーからの要望に、各地でスピーディに対応できる体制は高い評価を獲得しています。

製品面における大きな特徴は、自社工場内に塗装設備を完備していることです。

一般的な木目調シートのドアだけでなく、天然木の突板に色を塗るオーダーメイド対応を得意とし、職人の手による金箔・銀箔の施工や、静電塗装機を用いた強化紙ウレタン塗装の木製ドア「タグロス内装ドア」など、全国でも希少な技術力で高級マンションのニーズに応えています。

「タグロス内装ドア」は、建具として完成した状態で仕上げ塗装を行うため、木口の出隅部分も一体感のある仕上がりとなります。本来は家具の製造に使用される静電塗装機を使用しているため、粒子の細かいしっとりとした美しい仕上げが特徴です。


強化紙の上に静電塗装をかけて仕上げる場合、ほこりの付着を防ぐノウハウが必要です。自社工場内に塗装設備を完備している建具メーカー自体が全国でも非常に珍しい上、そのようなドアを作ることができるのは、全国でも布川製作所だけだと当社は自負しています。

本来であれば仕様ごとに複数の業者へ分けて発注されることが多い「オレフィンシート貼りのドア」から「突板ドア」まで、自社でまとめて引き受けることができる点も大きな強みです。

自社一貫体制による品質の安定化や細やかなデザイン対応を実現できることが高い価格競争力を生み出し、一括受注による窓口の一本化は顧客の管理コスト削減にもつながっています。

地域の強みを活かして高い価値を生み出し、その地域の経済発展に貢献している布川製作所は、経済産業省の「地域未来牽引企業」にも認定されています。

今後も全国の拠点ネットワークと自社工場の技術力を活かし、顧客満足度のさらなる向上と持続的な事業拡大を目指していく方針です。

東京都心の高級マンションでも存在感

布川製作所のドアは、東京都心の高級マンションでも存在感を発揮しています。

その大きな要因の一つとして、やはり社内に塗装設備を完備していることが挙げられます。

最初は、高級物件を手がけている大手デベロッパーに「高級感がある塗装なのに、突板ドアほど高額ではない」という理由で採用され、やがて「塗装技術が素晴らしいので、突板ドアもお願いします」と依頼されるようになりました。

そのように難易度の高い要求にも応え続ける中で、当社のドアが採用されたモデルルームなどを見た他のデベロッパーの間でも評判が広まっていった形です。

また、布川製作所のドアを使った物件に携わったデザイナーが、他の物件をコーディネートする際に「また採用しよう」と選んでくれるケースも多々あるといいます。

「お客様にご迷惑をおかけしない」という絶対の信念

室内ドアの業界では「製造だけ」「販売だけ」というように、商流の一部のみに特化している業者が多いのが実情です。

しかし先述したように、布川製作所は製造から販売、そして現場でドアを取り付けるという施工管理までワンストップで対応しています。

ワンストップ対応がもたらす最大のメリットは、高度な品質管理に表れています。


レスポンスの速さを活かし、「お客様にご迷惑をおかけしない」という絶対の信念のもと、顧客が困ったときは全力で何とかするという対応を徹底しています。

当社は製造から搬入、取り付けまでをすべて自社で行えるため、例えば「扉に傷がある」「扉の寸法が違う」といった問題が起きた場合もすぐに対処できます。

マンション建築のシビアな工期の中で、スケジュールや色の変更の要望があったとしても、会社が負担を被ることをいとわずリクエストに応じています。

マンションの場合、決められた納期までにドアや枠が入っていないと、次の工程が滞ってしまいます。その遅れの原因となるものがどのようなものであったとしても、自社で何とか頑張って対応しようと心がけているのです。

また、自分たちがミスをしないことは当然ですが、建設現場では多くの業者が作業をするため、思いもよらない変更や間違いが起こることも珍しくありません。

だからこそ、そういった場面で顧客が困っているのであれば、「自社でできるところは目一杯協力しよう」という姿勢を大切にしています。

間違ったドアを作ってしまった際も隠すことなく正直に伝えるという誠実さが、「布川製作所に頼めば安心」という長期的な信頼とブランド価値を生み出しています。

揺るぎない信念を支える社是と品質方針

「お客様にご迷惑をおかけしない」という強い信念を支えているのは、布川製作所に受け継がれ、全社に浸透している「社是」です。

「奉仕」「誠実」「協和」からなる社是には、「新しい社会規範に合致しない経済行為を企業自らが修正し得ない場合には、“当社の使命極まれり”との冷徹なる判断で、自ら企業を消滅せしめる覚悟にて、企業運営を律すること」という強い決意も記されています。

また、当社は創業以来、木材並びに木質系資材の加工技術及び装飾技術を製品化することで、社会貢献を図っております。よって、当社の市場に送り出す製品並びにサービスの品質は、常に顧客の快適生活に潤いと安全性を提供するよう日々の向上に努めています。

持てる技術を使い製品を作り出すことが企業としての社会貢献であり、それを掘り下げると「製品やサービスを通じてお客様の生活に彩りを添える」ということになるのでしょう。


社員は「人の和を大切にし、誠実なものづくりで社会に貢献する」という想いに基づき、信頼される製品とサービスを提供しています。

ドアの製造スタッフや営業スタッフは、顧客の要望をうまく汲み取って形にすることを最優先とし、「自分たちが作った製品が毎日使われるものである」ということも意識しながら仕事をしています。

安定したサービスを提供するため、社内では営業部、生産部、製販管理部、管理部の多岐にわたる部門が連携しながら業務を遂行しています。

布川製作所が目指す会社の未来像

住宅市場は人口減少の影響を受け、これから縮小していくといわれています。それでも、布川製作所はマーケットを拡大することによって業績を維持していく考えです。

そのためには、これまでの実績と信頼に頼るばかりでなく、AIなどの最新技術を積極的に取り入れたスマートファクトリーの実現を目指していく方針です。

技術の力によって生産ラインを最適化することで効率性と品質の向上を図り、今後の市場縮小、人口減少に対応していくことを重視しています。

製品においては品質とデザインの両立を追求し続け、住まいの価値を高める製品を提供することを目指しています。

また、最新のデザイントレンドを取り入れつつ、伝統的な木工技術を活かした高品質なドアを提供することで、顧客の多様なニーズに応えていく方針です。

これらの取り組みを通じて企業としての競争力を高め、高品質な製品とサービスを提供し続けることにより、地域経済の活性化と発展に寄与する企業となることが、布川製作所が目指している未来像です。

当社は、環境問題への取り組みや地域社会への寄与など、現代の企業にとって当たり前とされる社会貢献はもちろん、室内ドアを作るメーカーとしては「製品を通した貢献」も推進していく必要があると考えています。

日常のちょっとした瞬間、例えばなにか考えごとをしていてふと扉が視界に入ったとき、何気なく扉を開閉したとき。そういった瞬間に「良いな」と感じていただけるような製品やサービスを提供することで、お客様の生活を少しでも彩ること。


それが自社の大切な社会への貢献なのだという意識を持ち、これからもものづくりに励んでいく姿勢です。

「未来の仲間」に向けた社長のメッセージ

最後に、共に働く「未来の仲間」に向けて、布川嘉衛社長が語ったメッセージをご紹介しましょう。

「ものづくりは奥が深くて面白いと思います。私は布川製作所に入る前に商社にいました。商社にはいろいろな機能や役割がありますが、私の行っていた業務は、端的に言うと『どこかが作ったものを仕入れて、それを売る』という仕事でした。

当時の先輩とも話していましたが、そこで得られるやりがいや喜びには限りがあり、自分で作った製品やサービスによってお客様から直接評価される今の仕事の方が、面白いと実感しています。

入社したらきっと、ものづくりの面白さや奥の深さを感じてもらえると思います。また、木製品の加工技術は昔からあるものなので、近代的なマンションや住宅に入っている扉や加工品であっても、ちょっとしたところに昔からの工夫や、職人さんが発見した調整の味のようなものがいっぱい潜んでいます。

ぜひ、そういう面白さも味わってほしいと思います」

2025年に創業140年を迎えた布川製作所は、ものづくりに対する誇りと志をしっかりと受け継ぎ、日本全国に商品を販売する現在の会社組織へと成長しました。

これからも、たくさんのユーザーと共に歩み続け、信頼される企業であり続けることでしょう。
編集部おすすめ