多様なベクター設計からNGS解析まで。VectorBuilderが実現する「一貫・高精度」スクリーニング支援

創薬・生命科学研究を加速するカスタムライブラリー構築:Vec...の画像はこちら >>


本記事では、創薬・生命科学研究におけるライブラリースクリーニングの課題を整理し、研究目的に合わせたカスタムライブラリー設計がどのようにスクリーニングの精度と効率を高めるかを紹介します。
さらに、CRISPRshRNAORFエンハンサー/プロモーターバーコード変異ファージディスプレイAAVカプシドなど、多様なライブラリー構築からNGS解析までを一貫して支援するVectorBuilderの取り組みを解説します。

膨大な候補の中から、疾患に関わる遺伝子や治療標的となる分子を効率よく見つける手法として、「ライブラリースクリーニング」は広く利用されています。近年では、CRISPRやshRNAに加え、エンハンサー/プロモーター、変異、AAVカプシドなど、多様なライブラリーが研究目的に応じて活用されています。こうしたライブラリーを適切に設計・構築することは、候補探索の効率化だけでなく、得られるデータの信頼性向上にもつながります。

一方で、研究対象や実験系の多様化に伴い、従来の既製ライブラリーだけでは十分な成果を得ることが難しいケースもあります。特に生体内(in vivo)スクリーニングでは、投与量、サンプル数、回収可能な細胞数などの制約により、ライブラリーの規模やカバレッジ(設計した配列がライブラリー内にどれだけ漏れなく含まれているかを示す指標)を十分に確保することが難しくなります。そのため、研究目的に応じて標的を絞り込んだカスタムライブラリーの設計が重要になります。

このような背景から、研究目的に応じて標的を絞り込んだカスタムライブラリーは、特に制約の多いスクリーニング系において有効な選択肢となります。以下では、その考え方を示す具体例として、in vivo CRISPRスクリーニングでの活用事例を紹介します。

大阪大学微生物病研究所山本雅裕教授らは、トキソプラズマ感染に関与する病原性因子を探索するため、in vivo CRISPRスクリーニングに取り組みました。生体内実験特有の制限(カバレッジの維持が難しい点)を克服するために、全ゲノムを対象とするのではなく、研究目的に関連する遺伝子群に絞ったカスタムCRISPRサブライブラリーを構築しました。その結果、限られたin vivo実験系でも十分なカバレッジを確保し、既知の感染関連因子を再現性よく検出するとともに、新たな病原性因子の同定にもつながりました。
(詳細は、Reference Articles 123、および VectorBuilder ウェビナーから、スクロールダウンし、インタビュー ”ターゲットを絞った「カスタムライブラリー」による新規候補因子の同定” をご覧ください)

このように、ライブラリーは単に規模を大きくするのではなく、研究目的や実験系の制約に合わせて設計することが、スクリーニングの質や得られる成果を左右します。こうした「目的に合わせてライブラリーを設計する」という考え方は、CRISPRスクリーニングに限らず、さまざまな研究領域に応用されています。

カスタムライブラリーが拓く多様な研究アプローチ

VectorBuilderは、ベクター設計・構築で培った技術と豊富な受託実績を活かし、研究者一人ひとりの目的に合わせて以下のような自由度の高いカスタムライブラリーを提供しています。

(1)遺伝子機能を探るライブラリー

CRISPR KO、CRISPRa(転写活性化)、CRISPRi(転写抑制)、シングルセルCRISPRに対応したCRISPRライブラリー、数百~100万種類規模の高い複雑性を実現したshRNAライブラリー、さらに17,000種類以上の配列検証済みORFを収載したORFライブラリーなどから、研究目的に合わせてカスタムライブラリーを構築することが可能です。

(2)機能最適化・定量解析を支えるライブラリー

エンハンサー/プロモーターライブラリー遺伝子発現の強さや組織特異性を制御するシス制御配列を多数比較し、有望な配列を探索するライブラリーです。エンハンサー配列はレポーター遺伝子の上流・下流に柔軟に配置し、目的に応じたベクター構成を設計します。さらに、バーコードとNGSを組み合わせて多数の候補配列を一度に評価し、有望な制御配列を効率的に選定することもできます。

これらの技術を通じて、転写制御機構の解明から、組織特異的プロモーターや高活性エンハンサーの開発、さらには次世代遺伝子治療ベクターに用いる制御配列の最適化まで、幅広い研究開発を促進します。

バーコードライブラリー各配列に固有のバーコード配列を付与することで、NGSを用いた高精度な追跡・定量解析を可能にします。特に大規模なライブラリースクリーニングでは、各配列の挙動を定量的に評価し、候補を効率的に優先順位付けするうえで有効な手法です。

VectorBuilderではバーコード配列そのものの設計に加え、NGSリードアウトに敵したベクター構成やバーコード配置まで提案し、高精度なデータ取得を支援します。また、1つの配列に複数のバーコードを割り当てる設計も可能で、PCR増幅やシーケンスに由来するばらつきを低減し、解析の再現性と定量精度を向上させます。


変異ライブラリー:チップ合成、Error-prone PCR、縮重コドン導入、DNAシャッフリングなどの変異導入技術を組み合わせて、単一部位の変異解析から複数領域を同時に改変した複雑なライブラリーまで、目的に合わせた柔軟な設計を実施します。

(3)次世代創薬・遺伝子治療を支えるライブラリー

ファージディスプレイライブラリーペプチドディスプレイやVHH(ナノボディ)、scFv、Fabなどの抗体ディスプレイライブラリーに対応しています。ナイーブ、免疫、合成ライブラリーなどの設計に加え、可溶性タンパク質やmRNAなど幅広い抗原フォーマットを用いたスクリーニングを支援します。

従来のパンニングに加え、高効率のハイスループット法であるVectorBuilder独自の「配列指向型(Sequence-guided)スクリーニング」を組み合わせ、NGS解析により有望なクローンを効率的に抽出します。さらに、ライブラリー構築からスクリーニング、アフィニティマチュレーション、ヒト化まで一貫して支援し、抗体・ペプチド創薬を加速します。

AAVカプシドライブラリーAAVは高い安全性と長期的な遺伝子発現能力から、遺伝子治療で広く利用されています。しかし、現在多く用いられているAAVの血清型には組織特異性の向上、遺伝子導入効率の改善、中和抗体の影響回避など、臨床応用に向けた課題が存在します。こうした課題を克服するために、目的の組織に最適化されたAAVを効率よく見つけ出す手段として、AAVカプシドライブラリーが大きな注目を集めています。

VectorBuilderでは、ランダム変異、ランダムペプチドディスプレイ、DNAファミリーシャッフリング、機械学習を活用したin silico設計など、多様なカプシドエンジニアリング技術を組み合わせ、研究目的や標的組織、投与経路に応じた最適なライブラリーを構築します。さらに、独自のパッケージング技術によりgenotype–phenotype linkageを維持した高品質なライブラリーを作製し、各カプシドの遺伝子型と表現型を正確に対応付けた、再現性の高いスクリーニングを実現します。

また、in vitro評価や非ヒト霊長類(NHP)を含むin vivoスクリーニング、候補カプシドの解析・評価までを一貫して支援できる体制を保有していることも、大きな特長です。探索段階だけでなく、その後のAAVベクター開発や製造まで見据えた包括的なサポートにより、組織特異性や送達効率に優れた次世代AAVカプシドの効率的な開発を加速します。


なぜVectorBuilderが選ばれるのか?豊富な構築ノウハウと、設計から解析までのワンストップ体制

創薬・生命科学研究を加速するカスタムライブラリー構築:VectorBuilderが、ベクター設計からNGS解析まで一貫して高精度スクリーニングを支援


ライブラリースクリーニングでは、標的や配列の設計だけでなく、ライブラリーの品質、ウイルス製造、スクリーニング条件、データ解析に至るまで、各工程を一貫して最適化することが、信頼性の高い結果につながります。VectorBuilderは自社一貫体制だからこそ、以下の強みを誇ります。

Step1 研究目的に合わせた設計支援とNGSによる品質評価

ライブラリーは、研究目的に加え、スクリーニング方法、解析方法をも見据えて設計することが重要です。そのため、標的遺伝子やゲノム領域の選定から、ライブラリーの配列設計、規模、ターゲットあたりの配列数、バーコード設計、選択マーカーまでを最適化し、目的に応じたライブラリーを提案しています。また、レンチウイルス、AAV、アデノウイルス、トランスポゾン、プラスミドなど、多様なベクターシステムに対応しているほか、ユーザーが保有する独自ベクターへの組み込みにも柔軟に対応可能です。

設計した配列は、高品質オリゴ合成と独自のクローニング技術により、多様性と複雑性を維持したライブラリーとして構築します。構築したライブラリーに対しては、サンガーシークエンスおよびNGSによる品質評価を実施し、配列の均一性やカバレッジを定量的に確認します。これにより、研究者はライブラリー品質を確認した状態で安心してスクリーニングを開始することができます。

創薬・生命科学研究を加速するカスタムライブラリー構築:VectorBuilderが、ベクター設計からNGS解析まで一貫して高精度スクリーニングを支援


図1. VectorBuilderで構築したCRISPRライブラリーの品質データ (A) ライブラリーの複雑性は数百から数十万種類に及び、幅広い規模のライブラリーを構築しています。(B) カバレッジとアライメント率: gRNAのカバレッジおよびリードのアライメント率はともに100%に近く、設計した配列が高い網羅性と精度でライブラリーに含まれていることを示しています。

創薬・生命科学研究を加速するカスタムライブラリー構築:VectorBuilderが、ベクター設計からNGS解析まで一貫して高精度スクリーニングを支援


図2. プール型CRISPRライブラリーにおけるgRNAの分布 約7.7万種類のgRNAを含むライブラリーのNGS解析結果(シーケンス深度:約300×)。各gRNAがほぼ均一な頻度で検出されており、特定のgRNAへの過度な偏りや、一部配列の大幅な減少が少ないことを示しています。


Step2 ライブラリー品質を維持するウイルス製造技術

プール型ライブラリーでは、ウイルス製造工程で特定の配列の欠失や偏りが存在すると、ライブラリー本来の複雑性が損なわれ、スクリーニング結果にも影響を及ぼします。VectorBuilderでは、長年培ってきたウイルスベクターの開発・製造技術を活かし、ライブラリーの構成を維持しながら、高いウイルスタイターと複雑性を両立したライブラリーを提供します。

Step3 スクリーニングからNGS解析まで

ライブラリーサイズ、必要カバレッジ、MOI(Multiplicity of Infection)、細胞数などを考慮し、in vitro/in vivo双方に対応したスクリーニング計画を提案します。in vivoスクリーニングでは、マウスに加え非ヒト霊長類(NHP)を用いた試験にも対応しています。さらに、スクリーニング終了後は、サンプル回収、NGSライブラリー調製、デコンボリューション解析まで一貫して対応します。各gRNAやバーコードの変動を高精度に解析し、有望なヒット候補を抽出するとともに、その後の検証実験へスムーズにつなげます。

ライブラリー設計、品質評価、ウイルス製造、スクリーニング、NGS解析までを一社で一貫して支援できる体制により、研究者は複数の委託先を調整する負担を抑えながら、目的に合ったカスタムライブラリーを用いた研究を一貫した品質管理のもとで効率的に進めることができます。

研究開発を加速するパートナーとして

創薬や生命科学研究では、「何を解析するか」だけでなく、「どのようなライブラリーを設計し、どれだけ信頼性の高いスクリーニングを実現できるか」が、新たな発見につながる重要な要素となります。

VectorBuilderは、本記事で紹介した多様なカスタムライブラリーの構築技術を基盤に、設計から品質評価、ライブラリー製造、スクリーニング、データ解析までを一貫してサポートします。研究課題に合わせた最適なライブラリーを設計し、有望なヒットを効率的かつ信頼性高く見つけ出すためのスクリーニングを支援します。

ライブラリー技術は、未知の生命現象や新たな創薬シーズを発見するための重要な研究手法へと進化しています。VectorBuilderは、単なるライブラリー受託サービスにとどまらず、研究者とともに実験全体を設計し、成果創出まで伴走するパートナーとして、これからもライブラリー技術を通じて研究開発の加速に貢献していきます。


VectorBuilderについて

VectorBuilderは、遺伝子デリバリー技術とベクター構築を基盤に、創薬・生命科学研究を支援するグローバルパートナーです。世界中の数千に及ぶ研究室やバイオテクノロジー企業、製薬企業にとって信頼できるパートナーとして、基礎研究から臨床応用に至るまで、遺伝子デリバリー技術の設計、開発、最適化をワンストップで提供しています。カスタムベクター設計プラットフォーム「Vector Design Studio」に加え、CRISPRshRNAORFエンハンサー/プロモーターバーコード変異ファージディスプレイAAVカプシドなど、多様なカスタムライブラリーの設計・構築に対応しています。研究目的やスクリーニング系の制約に合わせてライブラリー規模、配列設計、ベクター構成、バーコード設計を最適化し、サンガーシークエンスやNGSによる品質評価、ウイルス製造、スクリーニング支援、データ解析までを一貫して提供します。ハイスループットな構築・製造能力とCRO/CDMOサービスを組み合わせることで、研究者が有望な標的や候補配列を効率的かつ信頼性高く見出し、次の検証・開発段階へ進めるための包括的なサポートを提供しています。

Reference Articles

1.Host genetics highlights IFN-γ-dependent Toxoplasma genes encoding secreted and non-secreted virulence factors in in vivo CRISPR screens. Tachibana Y, Hashizaki E, Sasai M, Yamamoto M.Cell Rep. 2023 Jun 27;42(6):112592. doi: 10.1016/j.celrep.2023.112592. Epub 2023 Jun 1.PMID: 37269286

2.CRISPR screens identify genes essential for in vivo virulence among proteins of hyperLOPIT-unassigned subcellular localization in Toxoplasma. Tachibana Y, Sasai M, Yamamoto M.mBio. 2024 Sep 11;15(9):e0172824. doi: 10.1128/mbio.01728-24. Epub 2024 Jul 31.PMID: 39082802

3.An in vivo fitness gene of Toxoplasma, MIC11, is essential for PLP1-mediated egress from host cells. Tachibana Y, Gu X, Sasai M, Kosako H, Takashima E, Standley DM, Carruthers VB, Soldati-Favre D, Yamamoto M. Nat Commun. 2026 17(1):4895. doi: 10.1038/s41467-026-71423-x. PMID: 41935076.
編集部おすすめ