シエナ・スパイロ(SIENNA SPIRO)が待望のデビューアルバム『Visitor』を本日7月3日にリリースした。来年1月4日(月)には豊洲PITで初の来日公演が決定。
エタ・ジェイムスやエイミー・ワインハウスを彷彿とさせる感性、20歳とは思えないソウルフルな歌声で注目を集めるスター候補が大いに語った、Rolling Stone UKのカバーストーリーを完全翻訳。

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢


新たなブリティッシュ・インヴェイジョン

「私って、とことん品のない人間なんです」とシエナ・スパイロは言い、ハイヒールを履いてよろめいたかと思えば、しなやかに足を折りたたみ、そのまま床へと静かに後ろ向きに倒れ込んだ。口から出た言葉と上品な仕草のギャップは、あまりにも彼女の実像を捉えている。60年代にインスパイアされた彼女のカバー撮影は、驚くほどスムーズで軽やかに進んでいるが、それも若きポップスターの圧倒的なフォトジェニックさがあればこそ。ボリュームのあるビーハイブ(蜂の巣)ヘアに身を包んだ20歳の彼女は、ツィギーとラナ・デル・レイを掛け合わせたかのようだ。

彼女が口を開くと──その語り口においても、シングル「Die On This Hill」における、朗々と歌い上げるロマンティズムにおいても──彼女はトッテナム(労働者階級が多く暮らす)ではなくスローン・スクエア(洗練された高級住宅街)から連れてこられたアデルみたいだ。眉をひそめる程度の、同じポーズのショットを何枚か撮ると、全員がその成果を称賛するために集まってくる。神の計らいであるかのように彫りの深い頬骨が美しく光を捉えるよう、彼女は再びレンズの前に呼び戻され、ほんのわずかに立ち位置を微調整されるかもしれない。

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

Picture: Rachell Smith

近い将来、オーセンティックな大物になるであろう彼女にとって、日々のすべてが順風満帆なスターへの階段を上るプロセスなのだ。同世代のオリヴィア・ディーンやレイ(Raye)と同様に、スパイロはソウルフルでクラシックなポップスの領域で活動しており、その骨組みは深く伝統的でありながらも、ローラ・ヤングやピンクパンサレスが持つような自らを客観視するスマートさも兼ね備えている(後者の二人は、リリー・アレンやケイト・ナッシュといった、辛辣でウィットに富んだ英国の系譜に連なる存在でもある)。彼女たちは、現代の音楽シーンに新風を巻き起こす最新のブリティッシュ・インヴェイジョンであり、スパイロはそのムーブメントに名乗りを上げた最も新しいメンバーだ。

批評家やファンは、スパイロのことを次のエイミー・ワインハウス、次のアデルと呼ぶほど無粋になっている。
「彼女たちと同じ時代を生き、その活躍をリアルタイムで目撃してこれたことは幸運だと感じています」撮影の数日後、ホテルの部屋から彼女は慎重に語る。ダークブラウンの髪が顔の周りに流れ落ち、ビロードのように柔らかい肌に対して青い雌鹿のような瞳が輝いている。「そう比較していただけて光栄です。彼女たちが人生で成し遂げてきたことの、半分でも自分にできたらいいなと思っています」。彼女は仕事のためにストックホルムに滞在しているが、ロンドンでの撮影の前には、すでにアメリカ人の心を掴んでいたこともあり、主要なマイルストーンをすべて達成するために渡米していた。一流メディアでの連続した露出、ジミー・ファロンの番組でのパフォーマンス、そしてロサンゼルスとニューヨークでの公演を完売させた初の北米ヘッドライン・ツアーだ。

スパイロは、女性アーティストたちが海外でこれほど支持されている理由を、英国人ならではの風変わりな特異性にあると分析している。「イギリスはいつだって、とても個性的な人々を輩出してきました。誰もが正直で、いい意味でどこか陰がある。私たちの常軌を逸した正直さには、先天的な粗削りさのようなものがあって……」と彼女は言葉を濁し、ため息をついて微笑む。「私たちの国民性は、雨の中でうつむき、最悪の事態を予想し、自分たちにとってより良い状況を否定するというものなんです」。

その文脈において、彼女の最近の楽曲はすべて「憂鬱な憧憬」に分類されるだろう。
それらは控えめでありながら映画のようであり、ピアノとシンプルなストリングスだけを使って、手に入らない関係性を記憶に留めている。バラード「The Visitor」で、彼女は恋人の人生において自分が代わりのきく存在であると感じる切実な肖像を描き出す。彼女のスモーキーな歌声は、一時的なものとして扱われる不安を捉えている──〈記憶に残りたいから、私は取り乱してしまうの〉(I want to be remembered, so I get hysterical.)。「You Stole The Show」では、彼女は恋愛対象の相手に自分のことを愛しているかと問いかけるが、相手はただ肩をすくめるだけだ──痛々しいほど英国的な反応である。

これらの楽曲は本能と感情から生まれている、と彼女は物憂げに語る。「私がラブソングを書くときは、ひねりを加えなきゃいけないんです──そこには常に、どこかしら悲しみが漂っていなければいけない」。彼女の楽曲はすべてワンテイクで録音されている。過去の音楽が持っていた人間味を再現するために、声の震えや、ドレスが擦れる音までもが含まれているのだ。「私は20歳で、毎日画面をスクロールしては、自分を重ね合わせられないようなさまざまなポップスターを目にしています。だから、『ああ、あなたも人間で、感情があるんだね』と思えるような人々を見るのは新鮮なんです」

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

Sienna wears hat by Anouska Hemple, dress by 16 Arlington, earrings and rings by Cartier (Picture: Rachell Smith)

父から受け継いだオーセンティックな感性

スパイロは3人のきょうだいとともに、ロンドンの中心部で育った。父親は、スターたちに愛される著名なジュエリー・デザイナーのグレン・スパイロである。彼のプロフィールには、昔気質のプライバシーへの意識、熟考された芸術性、そして作品の上質さが記されているが、それらはすべて浸透圧のように娘へと受け継がれたに違いない。
彼女の考えでは、父親を通じてジャズへの愛や、彼の世代の音楽である60年代の音楽を受け継いだという。彼女が幼い頃、父親はフランク・シナトラやニーナ・シモンを教えてくれた。「大きくなって、自分が聴きたい音楽を何でも聴けるようになった今でも、やっぱりその辺りが一番のお気に入りなんです」と彼女は語る。

学校でのスパイロは、常に人気者と見なされていたはずだが、どの友人グループにも落ち着くことができず、どこか浮いているようだったと語る。ADHDの診断を受けたとき、その理由がすべて腑に落ちた。物事を順序立ててこなせないこと(実行機能障害)、周囲に馴染もうと無理に自分を偽ってしまうこと(マスキング)、そして「目の前からいなくなると、その人の存在自体を忘れてしまう」といった特性は、神経多様性(ニューロダイバーシティ)を持つ人々にとって珍しいことではない。しかし、そのどれもが、友人関係を長続きさせることを困難にする。

「私の音楽の多くは、まさにそうしたことについて歌っています。『The Visitor』がそうであるように──周りの人たちに付いていくのに苦労したり、あらゆることを意識しすぎてしまったりして、結局は人間関係を失い、自分がその場限りの存在のようになってしまう、みたいな」。自分の脳の働き方を知ったことについて、彼女はこう語る。「それまでの自分を肯定されたような気持ちになりましたし、学んでいて興味深いものでした」

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

Sienna wears dress by 16 Arlington, earrings and rings by Cartier (Picture: Rachell Smith)

彼女は、ブリット・スクールに似たハイレベルなパフォーミングアーツとテクノロジーの学校であるELAM(イーラム)への進学に狙いを定めていた。そのため、そこだけにしか出願せず、合格することをあてにしていた。
「絶対に合格すると思い込んでいたので、みんなに受かったと言いふらしていたんです。そうしたら、レディング・フェスティバルにいるときに学校から『あなたは補欠合格者名簿に入っています』というメールが届いて」と、彼女は深く笑い、椅子の背もたれに寄りかかりながら語る。「新学期が始まるほんの1カ月前のことで、『なんてこと、私はもう学校を中退してしまったのに──親にも受かったと言っちゃったのに』という状態でした」。彼女はELAMに入学を認めてもらうため、狂気じみた嘆願を始めた。「毎日動画を送りつけました。『私が書いた別のオリジナル曲です、気に入ってもらえると嬉しいです!』って」。最終的に、学校側はおそらくメールを止めさせるために、彼女の入学を認めた。

自信をもたらした「鎧としてのヘアメイク」

パンデミックは、あの隔離された期間に自宅で過ごした多くのティーンエイジャーがそうであったように、彼女にも困難をもたらした。特に、幼少期から抱えてきた食事に関する問題が、そこから本当に悪化してしまったという。それは、外に出て他の人々と一緒に若者らしい生活を送ることができなかったために増幅されたのだと彼女は言う。

16歳のとき、彼女はMethod Musicのマネージャー、ミリアム・マスリンと出会った。彼女は時間をかけてスパイロを知り、アーティストとして育ててくれた人物であり、スパイロは自身の成功の多くを彼女のおかげだとしている(「裏方にいる人々が、受けるべき称賛や感謝の花束を受け取れないのは悲しいことです。
アーティストはチームなしでは何もできないのですから」と彼女は語る)。ソロキャリアの初期、スパイロはだぼだぼとしたストリートスタイルの服を着ていた。ローラ・ヤングとさほど変わらない、大きなボイラースーツ、メダル、そして太縁のメガネだ。当時も、そして現在も、彼女のファッションスタイルは、自身のボディイメージにまつわる葛藤から形作られてきたものだった。

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

Sienna Spiro (Picture: Rachell Smith)

「包み隠さずお話しすると、私は食のことや自分の見え方に本当に苦しんできました」と彼女は説明する。「自分の身体とのつながりを感じられたことが一度もありませんでした。パフォーマンスの機会が増えたり、写真を撮られたりするようになったとき、どういう服を着て、どういう見た目にしたいのかが分からなくなってしまったんです。人に見られたり、自分の存在をジャッジされたりするのが嫌でたまりませんでした。だから、自分のことを模索している最中だったこともあって、以前はもっと大きめの服を着ていましたし、自分自身に対して特にどうこうしようとはしませんでした」。

今は別のアプローチをとっている。ミニマリストでコンサバティブなファッションに、きれいに描かれたキャットアイのライン。モッズ風のシルエット、ボリュームのある大きめの膨らませたヘアスタイル、ボックスドレス。
そのすべてがバーブラ・ストライサンドやナンシー・シナトラのようであり、決してだらしなかったりダボダボだったりするものではない。入念に肌を覆いつつ、計算された進化を遂げている。

その髪型が、彼女に必要だったポップスターとしての自信を解き放った。「髪が鎧のように感じられました。本来の自分とはかけ離れた見た目なのに、より自分らしくいられるように感じさせてくれたんです」と彼女は言う。それまでメイクをまともに試したこともなかったため、衣装に合わせた60年代風のメイクは、彼女にとって一貫したユニフォームのように感じられた。「自分がどんな見た目になるのか──自分がより高めたバージョンになることが──しっかり分かっているということが、私を安心させてくれたんです」

スパイロは、音楽業界でスムーズな成長過程を歩んでこれたことに感謝している。それはおそらく、彼女の若い女性マネージャーのおかげだろうと彼女は言う。彼女を成功へと導き、同時に本来の自分へと連れ戻してくれる、信頼できる存在。彼女は時間をかけて心から自分を知ろうとし、耳を傾けてくれた。

あるいは、業界における女性の不当な扱いについて声を上げたレイのようなアーティストたちのおかげかもしれない。レイが、自身のアルバムが無期限で棚上げされていることについて語り、世界的な話題となったソーシャルメディアの動画を公開したとき、スパイロはELAMにいた。「私たちのクラスのほぼすべての女子が、インスピレーションを受けた人物について書かなければならなかったときに、彼女のことを書きました」と彼女は語る。「彼女が他のどのプラットフォームでもなく、ただ自分一人の力で、自分の意思で、動画の中で堂々とくだらない現状に異を唱えることができたということ。それが、より小規模なアーティストたちの意識を高めることになり、それは計り知れないほど大きな意味を持っていると思います」

もちろん、彼女も業界で女性が問題を抱えたり、スタジオで男性との間にトラブルが起きたりした話を数多く耳にしてきた。「ありがたいことに、私はそのような問題に一度も直面したことがありません。それはレイのような人々が声を上げてくれたおかげだと思っています」と彼女は語る。

未来の大歌手としての夢

彼女の具体的な目標は、彼女のキャラクターを考えれば大方予想がつくものであり、そのすべてを彼女が達成する姿を想像できるだろう。彼女はオーケストラとともにロイヤル・アルバート・ホールでパフォーマンスをしたいと思っており(これはマネージャーと共有している夢だ)、ジェームズ・ボンド映画の主題歌を依頼されることを望んでいる(「映画のような音楽を作っているからお決まりのパターンだと思われるかもしれませんが、私にとっては重要なんです」)。そして、英国最大の音楽の祭典であるグラストンベリーに出演すること。さらに、エイミー・ワインハウスや、トニー・ベネットも愛したレディー・ガガの系譜に連なる、ジャズのカバー・アルバムを作ることだ。「あとは、ちゃんとしたピアノのレッスンも受けたいです。若い頃はたくさんサボって、レッスンを全部すっ飛ばして独学でやろうとしてしまったせいで、知識にだいぶ偏りがあるんですよね」と、彼女はいたずらっぽく語る。

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

Sienna Spiro (Picture: Rachell Smith)

無数の影響を雑多に受け入れてしまっては、過去の時代のルックやサウンドを純度高く取り入れることはできない。だからこそ、スパイロは現代の音楽やカルチャーのトレンドからあえて距離を置くことを徹底している。「ミュージシャンがあまりにも意識しすぎていること──それこそが音楽をいくらか衰退させている原因ではないかと思うんです」と彼女は語る。「今ではあまりにも多くの情報にアクセスできます。何かを投稿すれば、人々がどう感じているか、他の人が何をしているかがすぐに分かってしまう。ライブにわざわざ足を運ぶ必要すらありません。ただスマホを開けば見られるのですから。それが音楽のオリジナリティを少し薄れさせてしまっているように思います」。彼女は政治家のように一呼吸置く。「すべてが自分自身から湧き出ているものなのかどうか、常に自問自答し続けなければいけないはずなんです」

唯一無二のアーティストであるために必要なのは、ただ「今、その瞬間」に集中することだけなのだと彼女は語る。「自分の感情や、その日その部屋で何を作りたいかということ以外、何も考えないようにしています。できるだけその瞬間に集中すること、それは本当に難しいことですから」。そこで興味深いのは、彼女がそのすべてを──撮影中のポーズも、震えるような朗々たる歌声も、エレガントな失恋の歌も、アメリカでの大成功も──不釣り合いなほどに、優雅でたやすくやってのけているように見せることだ。

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From Rolling Stone UK.

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

シエナ・スパイロ
『Visitor』
発売中
再生・購入:https://siennaspiro.lnk.to/visitor_JP
国内盤CD/価格:¥3,300(税込)
〈国内盤のみ〉
・SHM-CD仕様
・ボーナストラック1曲収録予定
・歌詞・対訳・解説付

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢

シエナ・スパイロ来日公演
2027年1月4日(月)東京・豊洲PIT
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:オールスタンディング 12,000 円(税込・別途 1 ドリンクオーダー)
公演詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/sienna-spiro_2027/

「次世代のアデル」シエナ・スパイロが語る優雅で不器用な素顔、未来の大歌手としての夢
画像


キャンペーン詳細:https://www.universal-music.co.jp/sienna-spiro/news/2026-07-03-2/

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