殺処分となる犬・猫の中には飼い主が捨てた動物が多く含まれます。一度は飼っていたわけですから、ペットを捨てる飼い主の多くは動物が好きなはずです。それにも関わらず捨てるということは、その飼い主には命あるものを預かっているという覚悟が足りなかったと言わざるを得ません。
『ボクものがたり』(And yu、舞坂ゆき子/原案、いもとようこ/文絵、金の星社/刊)は、人間に捨てられた犬の視点で動物の悲しさを描いた絵本。
冒頭で子犬の「ぼく」は「ちび」と名付けられ、かわいがられます。
「ぼく」も人が好きになり、飼い主のことを「たったひとりのかぞく」だと感じて、幸せな日々を過ごしました。
“ぼくを なでる きみの て、なんて あったかいんだろう…なんて しあわせなんだろう…ぼくは なでられるたびに おおきくなっていくみたい。”(本文より引用)
しかし、ある時から、飼い主は「ぼく」の名前を呼んでくれなくなります。「ぼく」は年を取り、体がだんだん動かなくなっていきます。それでも「ぼく」は「たったひとりのかぞく」である飼い主を守ろうと決めています。
ついに「ぼく」は捨てられて、檻に入れられてしまいます。そして、その檻の中で最期を迎えるわけですが、死ぬ時まで自分をやさしくなでてくれた飼い主の手を思い浮かべ、彼への愛情は変わることがなかったのです。
犬は忠誠心の強い動物だと言われています。もし犬が、捨てられて殺処分になっても尚飼い主に愛情を抱き続ける動物だとしたら、犬を捨てるというのはとてつもなく罪深い行為だと言えるのではないでしょうか。もちろん、これは犬に限らずあらゆる動物に言えることです。
『ボクものがたり』に描かれているいもとようこ氏の印象的な絵と文章は、動物を飼うことの楽しさと、その楽しさを味わうためにその動物が死ぬまで世話をするという覚悟が必要だということを訴えかけます。
絵本というと子供が読むものだと思われがちですが、本書には子供だけでなく大人も心を動かされるはずです。
(新刊JP編集部)
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