馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はローマンレジェンドが勝った2012年のエルムSを取り上げる。

砂上で一時代を築いたエスポワールシチーとの壮絶な死闘を制した重賞初制覇だった。

 新星が歴史に残る激闘を制した。3コーナーすぎ。ローマンレジェンドが2番手にいたエスポワールシチー目がけて、進出を開始する。馬体を並べて4コーナーを回ると、内で粘るエーシンモアオバーをかわす。そこから2頭のマッチレースだ。

 外のローマンが一歩出れば内からエスポワールが伸び返す。お互いの意地とプライドがぶつかり合う激しい競り合い。外、内、外、内と着順は目まぐるしく入れ替わった。直線入り口から約13秒間、264メートルにも及ぶ一進一退の攻防は最後の最後でローマンが首差だけ前に出ていた。

 5連勝で手にした初タイトル。「やっぱりエスポワールシチーはG1馬。

59キロで、このパフォーマンスはすごい」。コンビを組む岩田康は、まず相手をたたえた後に「本当に反応が良かったし、王道の競馬ができた」と続けた。藤原英調教師も「これで秋が楽しみになった」と手応えを口にした。

 レース前日に悲しい出来事が起きた。今後のダート界を背負う存在であり、大目標でもあった1歳年上のゴルトブリッツが急死した。「帝王賞の勝ち方が強かったし、ゴルトを目標にしていた…。そういう意味では寂しい感じがする。頑張っていきたい」とトレーナーは力を込めた。

 「この馬は底が見えない。もっと羽ばたいてくれると思う。この馬の時代がきたらと思う」と岩田康。その予感は、やがて現実に変わる。

続くJCダートこそ4着だったが、東京大賞典でG1初制覇。その後も2014年のこのレースを勝つなど、長らくダート重賞で存在感を示し続け、2016年4月の引退まで走り抜いた。引退後は京都競馬場で誘導馬として多くのファンから愛されている。

◯…エスポワール死闘の末に2着 佐藤哲「しびれるぐらい頑張った」

 エスポワールシチーは2番手追走から、まくってきたローマンレジェンドを待ち受けて、直線で力勝負の激しい叩き合いを演じた。最後は首差で敗れたが、佐藤哲は秋へ向けて手応えを口にした。「しびれるぐらい頑張った。いつも物見していた直線で、そういうそぶりは見せなかったし、いい併せ馬になった。闘志が戻ってきたと思う」。G1・6勝馬の意地を見せつける走りだった。

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