台風6号が西日本・東日本に接近し、各地で大雨となるなどの影響をもたらしました。こうした大雨のときに、川の水を一時的にためて洪水の被害を減らす役割をしているのが、「ダム」です。

そんな中、実はいま埼玉県で、ダムに「名前をつける権利」、いわゆる「ネーミングライツ」を導入する取り組みが進んでいます。

ダムに名前をつける理由

なぜダムに名前をつけるのか。埼玉県・河川環境課の中村 千賀さんに聞きました。

埼玉県・河川環境課 中村 千賀さん

県の河川管理施設の中でもダムの規模はとても大きくてインパクトのある施設であると考えてます。やはり適切にいつでも洪水時または利水の機能もありますので、その施設がいつも正常な形で運転できるように、点検費用や燃料費または、日々の修繕的なものが必要になってきます。約年間で8000万以上の費用はかかっているんですけれど、その辺の費用に今回のネーミングライツの費用を使わせていただければなと考えております。


ダムは税金で作られた公共物。そこにネーミングライツはどうなのかという意見もあるんですが、維持・管理費がかかるという悩みもあるんです。埼玉県は、県が管理している3つのダム飯能市の有間ダム、秩父市の合角ダム、そして幸手市にある権現堂調節池の命名権を、それぞれ、税抜きで年間30万円以上で募集しました。ちなみに、権現堂調節池は名前に「ダム」とはついていませんが、ダムの機能も持つ施設として扱われています。

会社名ではなく「あおいうみ・あおいそら」

その、「権現堂調節池」で、地元で道路舗装などを行う「小沢道路」がネーミングライツを取得しました。ネーミングライツといえば、PRのために、企業名や商品名をつけるイメージがありますが、このダムの新しい名前には、「会社名」が入っていません。一体どんな名前になったのか。小沢道路株式会社の 小澤 勲さんのお話です。

小沢道路株式会社 小澤 勲さん

「あおいうみ・あおいそら 権現堂調節池」ですね。もう25年ぐらい前から、会社の車、重機、道路が主なんですけど、それを全て青く塗ってあるんです。誰が見ても会社の名前よりも、その色を見てみんながわかるんで。この地球上で一番大きい海と空をいただいて、会社のキャッチフレーズにしたんですね。小沢道路って名前知らなくても、「あおいうみ・あおいそら」って言ったらもう、本当に埼玉県、茨城県ではほとんど知ってると思いますよ。ある程度の人たちは。

権現堂調節池は、埼玉県幸手市・久喜市・茨城県五霞町にまたがる地域にあり、小沢道路も久喜市に本社、幸手市に支店があります。

ダムに名前をつける時代 埼玉県の水辺施設ネーミングライツの画像はこちら >>

〈権現堂調節池〉

社名をそのまま入れなかったのは、権現堂の水辺や空の景色になじむ名前にしたかったから。25年使ってきたキャッチフレーズにすることで、工事会社の硬いイメージを和らげ、より親しみを感じてもらいたいという思いが込められているそう。今回のダムの募集は一旦終わっていますが、県は決まらなかった残りの2つのダムについても、今後また募集したいと考えているそうです。

ダムに名前をつける時代 埼玉県の水辺施設ネーミングライツ

〈権現堂調節池〉

30ヶ所の調節池で募集中

一方で、権現堂調節池とはダムの働きをする施設でしたが、一般的に調節池とは、大雨の時に川の水を一時的にためて洪水の被害を減らす場所です。中には、普段は水がなく、グラウンドやテニスコートなどの公園として市民に使われているところもあります。

埼玉県では新たに、そんな調節池のネーミングライツを募集しているとのことで、どのような内容なのか。再び、河川環境課の中村さんに聞きました。

埼玉県・河川環境課 中村 千賀さん

埼玉県では42ヶ所の調節池を管理してます。今回はその内の30ヶ所の調節池をネーミングライツの対象とします。現在公募中の募集要項では、県が希望する契約金額としては、1施設当たり税抜きで年4万円以上で、契約期間は5年ということで希望してます。調節池の数も多いですし、土の堤防に成っているので、一般的に。この時期もうすごく草生えてるんですけど、草が生えれば、草刈りをして堤防に支障がないかってみんな点検もしなければいけませんし、壊れたところは直さなければいけませんし、調節池だったり、河川だったりでそういうのに全て含めて費用がかかってるっていうところです。

遠足の行き先など観光地にもなるダムに比べると馴染みの薄い施設かもしれませんが、調節池も街を守る大切な場所。まずは広く関心を持ってもらえるよう、企業が参加しやすい金額でスタートしたそう。

ダムに名前をつける時代 埼玉県の水辺施設ネーミングライツ

〈びん沼調節池〉

パートナー企業となれば、現地の看板はもちろん、県のホームページに会社名や愛称を載せることができます。ただし、ネーミングライツには難しさもあり、災害時に連呼しても違和感のない名前も求められます。募集は今月いっぱい、6月30日までとなっています。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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