毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。

今日は、このところ相次ぐ山火事について取り上げた「こちら特報部」の記事に注目。

大きな山火事が多いなと気になって取材開始

まずは、記事を書いた、東京新聞特別報道部の中根政人記者にお話を伺いました。

「元々、私、東日本大震災の復興の行政的な話題をずっと、この15年間取材してまして、東北の被災地のことをずっと気にかけてたんですけれども、去年、大船渡市で大規模な山林火災があって、集落の住宅が焼けてしまったりとか、亡くなった方もいらっしゃって、震災で被災した方が、また火災で被災するっていう二重火災もあったりとかして、現場の取材にも行ったんです、去年。

で、また、今年になって同じ岩手県で大槌町っていう、やっぱり震災の被災地で大規模な山火事が起きてしまって。去年、大船渡の山火事の後も、西日本で大きな山火事が相次いだりとか、今年も年頭から、関東でも大きな山火事があったりして、なんか件数として大きな山火事が多いなって、ものすごい気になったところから取材始めたんですけど、総務省消防庁に聞いたら、山火事自体はなだらかに減って来てるんだと。で、一個一個が大規模化してるっていうことが分かったんですね。」

数は減ってるけど、一つ一つが大規模化・・・怖い話ですよね。

山火事などを指す「林野火災」。管轄する総務省消防庁のまとめでは、年間の発生件数は1974年の8351件をピークに年々減っており、近年は1300件前後となっています。

しかし、専門家にお話を聞くと、昨年の大船渡市の山火事は、平成以降最大規模でしたし、今年の大槌町の山火事も、大船渡に次ぐ平成以降第二位の大規模さ。他にも、去年、山火事のあった岡山市、今治市は、それぞれその地域で平成以降最大のものでした。確かに、大規模なものが増えてきているんです。

温暖化で極端な乾燥が進み このままではもっと山火事は大規模に

数は減っているのに、ひとたび火が付いてしまったら、今までにない大規模なものになってしまう。その原因について、地球環境学がご専門の、日本大学生物資源科学部、串田圭司教授にお話を伺いました。

日本大学生物資源科学部 串田圭司教授

「地球が変わってきてるっていうことなんですね。つまり地球温暖化がどんどんどんどん進んでいる。

それで地球温暖化が進むと、しばらく雨が降らないっていうそういうのが増えて、さらに、極端な乾燥が進むのも増えると。実際増えてきていますし、今後も増えていくだろうっていうことが予想できるんですね。

これは日本だけの問題ではなくて、世界的にそういう風になってきている。で、世界の場合は、もう少し前から兆候が現れて、山火事が大規模化してたんですけれども、日本の場合は、もともと湿潤ですので、世界の乾燥地に比べればなかなか現れなかったんですね。

それが、去年、今年、数十年に一度の乾燥が起きて、それによって山火事が大規模化した。

で、将来、予想するとですね、これまで数十年に一度だったのが、もっと頻繁になってくる、その乾燥度合いも強力になっていくっていうことが考えられますので、つまりもっと大規模な火災が増えていく、そういう事態を予想せざるを得ないんですね。」

オーストラリアでコアラなど多くの野生動物が犠牲になった山火事や、ロサンゼルスの大規模な山火事を始め、世界では、すでに温暖化の影響で大規模化する兆候は現れていましたが、ついに日本も。

日本の湿潤な気候は、本当に変わってしまったということなのです。実際、去年と今年の大規模な山火事は、数十年に一度の極端な乾燥の下で起きていますから。

温暖化で空気の温度が上がると、極端な豪雨と極端な乾燥が起きると言われています。

これは大気は温度が上がると水蒸気をたくさん含むことが出来るようになるから。空気をスポンジに例えると、大きなスポンジになった、ということ、と、串田先生。スポンジが大きくなると、いっぱい水を含むことができるので、絞ったら一気に水が落ちる。

これが極端な豪雨。逆に、水がなくなったスポンジは多くの水分をふき取ることが出来る。これが極端な乾燥、というわけなのです。

山火事は生活面の影響も継続的に起きる大変な問題

そして、問題は山火事の後にも続きます。再び串田先生のお話です。

日本大学生物資源科学部 串田圭司教授

「土砂が崩れやすくなるということ。保水力によって洪水を防いでくれる。山の土の中に水が溜まるような、木が生えていればですね、そういう仕組みになってる、緑のダムなんですね。そういうものが無くなってしまうと、降った雨が一気に川に流れて、洪水が起きやすくなるということもありますし、それから山の表面の養分が流れてしまうっていうことにもなるんですね。どんどん山が劣化する、つまり木が生えにくくなる。

それから、二酸化炭素を吸ってくれるっていう働きもありますし、漁業にとっても、山から流れるミネラルを多く含んだ水っていうのは漁場になるんですね。

あと、動物のすみかっていう重要な役割もありますね。

動物のすみかが無くなると、今のクマの問題のように、どんどん崩れていくということなので、山火事を予防するだけではなくて、山火事が起きた後に、しっかり森の手当をする、そういう災害に繋がらないようにすることも、今後ますます大事になってきますね。」

山火事が大規模になれば、豪雨災害や土砂災害も大規模になりやすい。そして、山が劣化して無くなってしまったら、二酸化炭素を吸収してくれなくなって、ますます温暖化が進んでしまいますよね・・・。

だからこそ、手当が重要になるのですが、今、林業の担い手は減ってしまっています。

中根記者も、燃えてしまった面積を元通りにするのも、とても大きな問題になっている、大規模化する山火事が増えるということは、起きたときだけの問題ではなくて、生活面の影響も継続的に起きるということなので、大変な課題だと話していました。

また、串田先生は、対策として大事なのは、森の管理、と。火種となる落ち葉の片づけや、燃えにくい広葉樹の植林など、被害を最小限に食い止める努力が欠かせないと話していました。(ちなみに量の多いスギは油分が多いので、燃えやすいそうです。成長が早く建材として優秀な木ですが、難しいですね。)

世界の気温が、今後5年間は、観測以上最高に近い水準で推移するという予測も出されていましたが、このままでは山火事は大規模化するばかりで、とても心配になりました。

しっかりとした対策は急がれますね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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