現代テニスの「唯一の到達点」へ――ウイルソン新シリーズ「DEFYER」誕生の背景
ウイルソンから、これまでにないコンセプトの新作パフォーマンスラケット「DEFYER(ディファイア)」が登場した。DEFYERは完全新設計のフレームで、現代テニスに求められる「フルスイングでも崩れないスピンの再現性」をテーマに開発された。ベースラインから下がらず、速いタイミングで攻め続ける現代のトッププレーヤーのスタイル変化に対応するべく企画されたモデルであり、SHIFT以来となるスピン系フレームの後継的な立ち位置としても注目を集めている。
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「挑戦的なデザイン」から生まれた新カテゴリー
DEFYERの開発は、ウイルソンの技術開発拠点「ウイルソン・ラボ」が始動したプロジェクトに端を発する。目的は、パワーとスピードがかつてないレベルに達している現代のコートで、その激しいプレースタイルに耐えうるフレームを作ることだった。
開発プロセスを根本から変え、従来のように多数の一般テスターの声を集めるのではなく、対象をツアーで活躍するトップに絞り込み、グランドスラムやATP・WTAツアー、試合直後の練習でテストを重ねた。フィードバックはその都度即座に反映され、ノンプレッシャーの試打会ではなく実戦のプレッシャー下でどこまで振り切れるかを検証する、かなり踏み込んだテスト手法が採られている。結果として、ウイルソンが世界で抱えるトップ選手の約半数がこのラケットを試したという実績も生まれた。プロトタイプの中身を差し替えるようなことは行わず、選手が実際に使うベース仕様のまま試合投入を繰り返してきた点も特徴だ。
サイドに赤いマークをあしらったオールブラックのプロトタイプは、正体不明のまま世界のテニスコミュニティで話題となり、元世界1位のロジャー・フェデラーを筆頭に、カレン・ハチャノフやセバスチャン・コルダ、グリゴール・ディミトロフ、ステファノス・チチパスもテストを経験したという。後に元世界4位のホルガー・ルーネやモイーズ・クアメといった新加入選手たちもプロトタイプの段階から使用を開始。2月にはATP250デルレイビーチでコルダが約1年半ぶりのタイトルを獲得し、6月の全仏オープンでは17歳のクアメがグランドスラム本戦初出場で3回戦に進出、ウィンブルドンではアーサー・フェリーが4強入りするなどの結果を残し、世界トップクラスの選手層の厚い支持を受けて完成に至った。
コートもボールも「遅く」なった30年
近年のテニス界を語る上で欠かせないのが、コートサーフェスとボールの高速化ではなく、むしろ「減速」というトレンドだ。ノータッチエースは年々減少し、力任せのパワーテニスだけでは勝てない時代になっている。フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーの「ビッグ4」が築いた一時代は終わりを迎えつつあり、その象徴として名前が挙がるのが、ヤニック・シナーとカルロス・アルカラスだ。ベースラインから大きく下がることなく、前方にポジションを取ってコンパクトなスイングからカウンター気味に打ち込むスタイルで破壊力と安定感を同時に成立させている。
現代のトップ選手は、スピード自体はかつてとさほど変わらないものの回転量が明確に増加し、打点はこれまでより1メートル前という極めて前方にポジショニング。
このシリーズを発売するに伴い、ウイルソンは複数の大学研究者にヒアリングを重ねたという。そこで突きつけられたのが、「コントロール」の概念そのものだった。従来のコントロールラケットは「飛ばないラケット」を意味することが多かったが、本作におけるコントロール性能とは「強く振れる安心感」を指す。狙った場所に置きにいくのではなく、高速スイングのなかでもフレームがブレない構造が、結果として精密なコントロールを生み出す。
トルクシャフトが導く「振り続けられる」性能
外観上の大きな特徴が、シャフトを扁平にとがらせた「トルクシャフト」構造だ。他社製品と似た形状に見えるが、これは横方向のブレを抑えて強く振り切るための設計を突き詰めた結果、必然的に行き着いた形だという。F1マシンやロードバイクが空力を極めた末に似通った形状になっていくのと同じ理屈だとする。
差別化の核心はしなり特性にある。100平方インチモデルは、扁平な形状でありながらSHIFTに匹敵する柔らかな縦しなりを実現し、一般的なスイングでもラケットが自然にしなってくれスピンを生み出す。他社の100平方インチモデルとは一線を画す仕上がりだという。
一方、98平方インチモデルは数値上のしなり量こそ他社の98平方インチと大差ないものの、カーボンの編み方によって振動の少なさや上品なホールド感を作り込んでおり、強いボールを受け止める場面でこそ違いが際立つ設計となっている。トップ選手が使いこなすことを前提とした98平方インチと、幅広いプレーヤーが扱える100平方インチとでは、そもそもターゲット層が異なるという位置づけだ。
グリップ形状にも工夫があり、98インチモデルには従来「ダイレクトコネクトハンドル」を採用しつつ、やや扁平なグリップ形状を採用。回転量を必要とする厚いグリップのプレーヤーを意識した設計になっている。
SHIFTが切り拓いたスピンラケットというカテゴリーで、ウイルソンが再びナンバーワンの座を狙う挑戦が、いよいよ幕を開ける。
「コンセプトエディション」完売と通常版の予約開始について
現在販売中のDEFYER98・100のコンセプトエディションは、市場からの高い評価を受けてほぼ完売となった。これに伴い、週明けの7月27日0時から通常版の予約受付が開始される。通常版とコンセプトエディションの主な違いは、スロート部の印字デザインにある。コンセプトエディションでは「REDLINE」と刻印されていたスロート部の印字が、通常版では正式名称である「DEFYER」へと変更される。デザイン上の細かな変更点はあるものの、フレームの基本構造やスペック、テクノロジーに違いはない。
<DEFYERシリーズ スペック>
DEFYER 98 PRO V1
●平均重量:305g
●長さ:27インチ
●バランスポイント:315mm
●フェイスサイズ:98平方インチ
●フレーム厚:22-23.5-22mm
●ストリングパターン:16x20
●価格:オープン
DEFYER 100 V1
●平均重量:300g
●長さ:27インチ
●バランスポイント:315mm
●フェイスサイズ:100平方インチ
●フレーム厚:23.75-25-23mm
●ストリングパターン:16x19
●価格:オープン
DEFYER 100L V1
●平均重量:285g
●長さ:27インチ
●バランスポイント:320mm
●フェイスサイズ:100平方インチ
●フレーム厚:23.75-25-23mm
●ストリングパターン:16x19
●価格:オープン
DEFYER 100UL V1
●平均重量:265g
●長さ:27インチ
●バランスポイント:330mm
●フェイスサイズ:100平方インチ
●フレーム厚:23.75-25-23mm
●ストリングパターン:16x19
●価格:オープン



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