チャンネル登録者数200万人を超えるカリスマボイストレーナー「しらスタ」と、シンガーソングライターのYOSUKEがお届けするTOKYO FMのラジオ番組「シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ」(毎週火曜21:00~21:30)。

今回の放送には、“リョクシャカ”の愛称で親しまれている男女混合4ピースバンド・緑黄色社会からボーカルの長屋晴子さん(Vo./Gt.)が登場。
番組の名物企画「明日カラオケで歌いたくなる! しらスタのソングコメンタリー!!」にて、現在配信中の最新曲「章(しるし)」(日本テレビ系4月期水曜ドラマ「月夜行路 ―答えは名作の中に―」主題歌)に散りばめられたボーカルテクニックと、歌詞に隠された緻密な構造をさらに深掘りしていきました。

緑黄色社会・長屋晴子の歌声は「恐ろしい表現力!」カリスマボイ...の画像はこちら >>

(写真左から)しらスタ、YOSUKE、緑黄色社会・長屋晴子さん



――番組の前半では、緑黄色社会というバンドの魅力と最新曲「章」の歌詞に込めた想い、
しらスタによるボーカル分析で“長屋晴子ボイス”の秘密などについて語られました。

◆2文字の間に詰め込まれた「3つのボイトレポイント」

YOSUKE:(前半に続き)リョクシャカの最新曲、さらにディープなソングコメンタリーをお届けします。

しらスタ:行きましょう! それでは「章」のソングコメンタリー、スタート!

(♪楽曲再生:1番Aメロ中盤~)

長屋の歌声:♪しわも増えてきた 確かに生きてきた~

しらスタ:(ミュージック)ストップ! 素晴らしい、大好き!!

長屋:ありがとうございます(笑)。

しらスタ:これ、どう説明していいんでしょうね、YOSUKEさん。「しわも増えてきた」の、この「しわ」の2文字の間にある情報量が凄すぎるんですよ。

YOSUKE:情報量がすごく多いですし、「し」の後にちっちゃい「つ」が入っているようなアタック感と、エッジボイスも混ざっていますよね。

しらスタ:すごっ! いつの間にか耳が肥えてる!! そうなんです。「しわも」の「し」のところで、まず下から上に「しゃくり」が入って、そこから音が落ちる「フォール」が入って、そこに「エッジボイス」が混ざって、さらに最後に「裏返し(ひっくり返り)」まで入っている。この一瞬の2文字の間に「3ボイトレポイント」が入っているんです。

YOSUKE:天才すぎる。

しらスタ:「しわも増えてきた」という、大人の年齢を重ねたネガティブとも言える歌詞のところで、長屋さんはあえてちょっと少女のような可愛らしさ、軽やかさを持って歌っている。
このギャップが素敵だなと思って。

長屋:ここは、あえて少し少女のような気持ち、可愛らしさが出せるといいなと思って。テイクもいろいろ試しながらこだわった部分なので、気づいてもらえてすごく嬉しいです!

しらスタ:ちなみに2番の「朧(おぼろげ)な灯りが」の「おぼろ」のところでも、同じようにしゃくり、フォール、エッジ、裏返しが綺麗に統一されて入っているんです。恐ろしい表現力ですよ。

◆「主役じゃないア」に隠されたファクトと、四角い口の形

しらスタ:そしてこの後、曲はサビへと向かっていくのですが、ここでも面白い発見がありました。皆さん、長屋さんの「あ母音」に耳を澄ませて聴いてみてください。行きます!

(♪楽曲再生:Bメロ~サビへ ♪月が頷いてくれる~くたくたになるまで 歩いて出会う~)

しらスタ:ちょっと1回止めます。サビの最後に「歩いて出会う」という歌詞がありますよね。この「歩いて」の「あ」の音!

YOSUKE:確かに、なんかストレートな感じがしましたね。

しらスタ:そうなんです。それまでの「くたくた」とか「押し量った」の時の「あ」は、発音してから息を後押しして「押し直す」ような歌い方をしているんですけど、この「歩いて」の「あ」は、まっすぐポンと出している。

長屋:おぉー! よく分かりますね! 確かに私の中で、これはまっすぐな「あ」です。
それまでのメロディは、あとで息の量を足すように歌っているんですけど、ここは「あ」の形でパッと出しています。

YOSUKE:これ、ボーカリストとしての僕の考察なんですけど、この「歩いて」の「あ」って、このフレーズの中で“主役じゃない「あ」”なんだと思うんです。次の音が、ファルセット(裏声)に綺麗にいくための“助走”というか、踏み込みのための「あ」だから、喉に負担がないように、楽な状態でまっすぐ出している。

長屋:そうなのかもしれないです! もう「あ」の口の形でそのまま出していますね。

しらスタ:しかも、声を出す前に、口の形を先に「あっ」って四角く用意して開けてから、ポンと出しているんですよね。次のファルセットへ行くための完璧な準備がここでできている。本当に計算され尽くしています。

◆太宰治の未完の名作、そして“夜の月”が持つメッセージ

しらスタ:そして、ラストに向かっていく時の「誰かのための私にグッド・バイ あらすじにない余白を行こう」というフレーズ。ここの歌い終わりのブレス(息継ぎ)も、ただの息継ぎじゃなくて、セリフに移行するための一拍として、リズムを刻むように歌われている。

長屋:ブレスまで聴いてもらえるなんて嬉しいです! ブレスもちゃんとリズムとして、音として歌っているところがあるので、すごく嬉しい。

しらスタ:そして歌詞のギミックですよね。(この曲の主題歌の)ドラマ(「月夜行路 ―答えは名作の中に―」)が文学作品を元にしたミステリーということもあり、歌詞の中に「主語」という文学ワードが入っていたり、ラストには太宰治の未完の絶筆小説のタイトルである「グッド・バイ」という言葉が出てくる。
あらすじの決まっていない、書き途中の「未完の余白」という小説の背景と、ドラマの要素、そして楽曲のメッセージが見事にリンクしているんです。

長屋:すごい、そこまで読み取っていただけるなんて……!

しらスタ:さらに、歌詞に登場する「月」。今回のドラマの主人公とともに旅をするバーのママの名前が、ラテン語で「月(Luna)」を意味する「ルナ」さんなんです。ドラマを抜きにしても、太陽ではなく、形を変えながら夜を照らす「月」をモチーフに選んだのが本当に素敵だなと思って。

長屋:大人になったり、親になったりすると、ようやく自分1人になって、自由な時間、思考を張り巡らせることができる時間って、やっぱり「夜」だなと思うんです。そんな自分だけの夜の時間に、そっと寄り添ってくれる象徴として、本当に太陽ではなく「月」にしたいなと思って歌詞を書きました。

しらスタ:素晴らしいです。

長屋:なんか、自分の歌をここまで細かく細分化して、素晴らしい言葉で褒めていただいて、すごく気持ちよかったです(笑)。とても勉強になりました!

YOSUKE:緑黄色社会の「章」をカラオケで歌いたくなった方、ぜひ、おしらさんのポイントを思い出しながら歌い上げてみてください。

<番組概要>
番組名:シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ
パーソナリティ:しらスタ、YOSUKE
放送日時:毎週火曜 21:00~21:30
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/f/voitradio/message
番組公式X:@voitradio_tfm
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