政策金利は常に2年債利回りを追従する。従って、今後さらに複数の金利引き上げが予想される。

このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?伝説的な債券投資家であり、ダブルライン・キャピタルの創業者兼CEOであるジェフリー・ガンドラックは、最終的に「ドルの切り下げ」か「債務の全面的な再編」へ向かう可能性を危惧している。


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FRBは2年国債金利の後追いで政策金利を調整しているだけ

 米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25%引き上げ、3.75~4.0%とすることを決めた。しかし、注目すべきは米国の2年国債金利である。


米国2年国債金利
ウォーシュが2年国債金利の後追い利上げ:このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?
(赤:金利上昇トレンド・黄:金利低下トレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 FRBは2年国債金利の後追いが仕事である。


FF金利(青)と米国2年国債金利(緑)の推移(1990~2026年8月)
ウォーシュが2年国債金利の後追い利上げ:このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?
出所:トレーディングビュー

 この2年国債金利後追いのロジックと市場の仕組みは、主に以下の2点に集約される。


[1]2年国債金利は「利下げ・利上げ」の先行指標


 2年国債は債券市場の参加者が「FRBの今後の金融政策(利上げや利下げ)」を最も反映しやすい年限の国債である。FRBが決定する政策金利(FFレート)のドット・プロット(FOMC参加者による金利見通し)はほとんど当たらない。それよりも「マーケットの総意」である2年国債金利の動きを見る方が、はるかに正確に次の一手を予測できる。


[2]「市場が金利を決め、FRBが後から追認する」という構図


 一般的なイメージでは「FRBが金利を決めて、市場金利がそれに従う」と思われがちだ。しかし、実際は以下のような順序で金利は動く。


  • 市場の動き:景気やインフレのデータを受けて、2年国債金利が先に下落(または上昇)を始める。
  • FRBの動き:その後、FRBがFOMCで実際に利下げ(または利上げ)を行い、政策金利を2年国債金利の水準に追いつかせる。つまり、FRBが主導しているのではなく、債券市場が先導し、FRBは後追いで政策金利を調整しているだけである。

 従って、市場金利(2年国債)と政策金利の乖離(かいり)が埋まったタイミングが、利下げや利上げの「終着点」になりやすい。


 FRB高官の不確実な発言やドットプロットに振り回される必要はない。単に米国2年国債金利のチャートだけを見ておけば、次のFRBの金利動向は予測できる。


FOMCメンバーのドットプロット
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出所:ゼロヘッジ

 政策金利は常に2年債利回りを追従する。従って、今後さらに複数の金利引き上げが予想される。


 このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?伝説的な債券投資家であり、ダブルライン・キャピタルの創業者兼CEOであるジェフリー・ガンドラックは、最終的に「ドルの切り下げ」か「債務の全面的な再編」へ向かう可能性を危惧している。


「連邦政府が財務省の債務再編を余儀なくされるのではないかと心配している。私の基本シナリオは『長期金利が影響を無視しがたい水準に達するまで上昇し続ける』。私は約6%前後になると考える。6%まで上昇すれば、金利費用が2兆ドルを超える方向であることに気づくだろう。債務の再編の概念が始まるかもしれない」


(ジェフリー・ガンドラック)


米国10年国債金利(日足)
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(赤:金利上昇トレンド・黄:金利低下トレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 米国はもういくつか戦争をやって借金だらけになり、最後の最後は1年物の米国債が30年国債に変わる債務再編成の可能性がある。昔のブラジル方式だ。

米国債の現在価値は急落し、オーバーナイト金利は急騰する。それが米国の帝国としての終わりとなるだろう。ローマ帝国も英国も、帝国の終わりは借金だ。


戦略石油備蓄が約44年ぶりの低水準に、価格調整力に陰りが出始めている!?

 地政学リスクの緊迫化を背景に原油価格が再び急騰している。先週、米国ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物価格は一時104ドル台、北海ブレント原油先物価格は一時109ドル台まで上昇した。


 背景にあるのは、ペルシャ湾周辺での軍事衝突の激化による供給途絶懸念の再燃だ。米軍によるイランの原油タンカー破壊、それに対するイラン革命防衛隊による米艦船や周辺タンカーへの報復攻撃の応酬が止まらない。米国とイランが半年に及ぶ争いを近く終結させるとの期待は後退している。


WTI原油価格の推移
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出所:リアル・インベストメント・アドバイス

NY原油(WTI)CFD(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 ロイターの9月9日の記事「ホルムズ海峡通過船、8日は6隻に減少=海運データ報道」は、コモディティー分析会社ケプラーが9日発表した海運デー⁠タを取り上げ、8日にホルムズ海峡を通過した商品運搬船の数は6隻と過去10日間の平‌均である約12隻を下回ったと報じている。


 また、紅海側の要衝バベル‌マンデブ海峡‌を通過する船舶数は25隻と、こちらは10日間平均である約27隻を下回ったという。


 こうした中、ゴールドマン・サックス証券とバンク・オブ・アメリカがそろって原油価格の上振れシナリオの見通しを引き上げた。


 9日のビジネスインサイダーの記事「原油価格が100ドルへ。この急騰について、賢い人々が語っていること」によると、ゴールドマン・サックス証券は顧客向けのメモにおいて、湾岸地域の平均原油生産量が予想を下回る場合、2027年のブレント価格は1バレル120ドルを超える可能性があると記した。


 バンク・オブ・アメリカは、原油価格を1バレル120ドル前後まで押し上げる可能性があるさらなる混乱を注視しているとし、戦争によって中東の「エネルギーインフラに甚大な被害」が生じれば、原油価格は1バレル150ドルに達する可能性があるとの見方を示した。基本シナリオでは、年後半のブレント価格は平均で1バレル83ドル前後となる見通しだ。


米国石油戦略備蓄の推移(週次)
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出所:米国エネルギー情報局(EIA)

NY原油先物のシーズナルチャート
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出所:エクイティクロック

 シーズナルチャートによると、9月から10月にかけてWTI原油価格は横ばい推移が続き、年後半にかけて下落する傾向にある。


 一方で、米政府が保有する戦略石油備蓄(SPR)は1982年以来、約44年ぶりの歴史的な低水準に落ち込んでいる。これまで米国はSPRを放出することでエネルギー価格の上昇を抑えてきた。SPRが低水準に落ち込んでいることはその調整力に陰りが出始めていることを意味している。


ベースロード電源を提供するエネルギー企業はAIゴールドラッシュのインフラを支える受益者

 エネルギー大手、エクソンモービル・ホールディングス(XOM)とシェブロン(CVX)の株価が強い動きを見せている。両社の株価上昇率は年初来で4割ほどとなっており、S&P500指数を大幅にアウトパフォームしている。直接的な要因は前述の通り原油価格が上昇していることにある。


エクソンモービル・HD株、シェブロン株、S&P500指数の年初来の推移
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出所:グーグル・ファイナンス

 直近(2026年度第2四半期)の業績はいずれも大幅な増収増益だった。エクソンモービル・HDの純利益は前年同期比2.1倍の145億ドルと大幅増益だった。原油相場の上昇に伴い、ガソリンやディーゼルなどの製油部門における利ざやが大幅に改善した。加えて構造的コスト削減を達成しており、荒れた市場環境でも高い収益性を維持できる体質となっている。


エクソンモービル・HD(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

エクソンモービル・HDの売上高と純利益の推移
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出所:決算資料より石原順作成

 シェブロンの純利益は121億ドル(前年同期比で約4.8倍)と過去最高を更新した。


 ロイターの7月31日の記事「米シェブロン、第2四半期利益6年ぶり高水準 上流部門200%増益」によると、シェブロンは中東地域への投資露出(エクスポージャー)が元々小さいため、イラン紛争による現地生産の混乱を回避でき、結果として、純粋に「原油価格の上昇」というメリットだけを総取りする形となったとのことだ。


シェブロン(日足)
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(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

シェブロンの売上高と純利益の推移
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出所:決算資料より石原順作成

 エネルギー株の追い風は原油市況の上昇だけではない。ハイテク企業による巨額の設備投資はエネルギー業界の未来を支える最大のメガトレンドだ。特にデータセンターは一瞬の停電も許されないため、天候に左右される太陽光や風力だけでなく、常に安定して発電できる「ベースロード電源」が必要となる。


 ハイテク企業が「最先端のAI」に投資すればするほど、それを動かすためのエネルギーの価値が高まる。エネルギー企業はAIゴールドラッシュのインフラを支える受益者と言える。


9月16日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 9月16日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、愛宕伸康さん(楽天証券経済研究所の所長兼チーフエコノミスト)をゲストにお招きして、「愛宕さんが計算した米国と日本の長期金利の理論値」「長期金利は金融の一丁目一番地」「注意すべき原油市場の動き」というテーマで、愛宕さんと話をしてみました。ぜひ、ご視聴ください。


ウォーシュが2年国債金利の後追い利上げ:このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?
出所: YouTube

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出所: YouTube

 ラジオNIKKEIの 番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。


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楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

9月16日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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<セミナーのご案内>投資戦略フェアEXPO2026大阪2026年10月10日(土)

 10月10日(土)の「投資戦略フェアEXPO2026大阪」に楽天証券さんの協賛で登壇します。
(石原順講演【参加特典】あり)


ウォーシュが2年国債金利の後追い利上げ:このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?
投資戦略フェアEXPO2026大阪2026年10月10日(土)

 愛宕伸康さん(楽天証券経済研究所の所長兼チーフエコノミスト)、吉田哲さん(楽天証券経済研究所コモディティアナリスト)との楽天証券ブースでのミニセミナーもあります。

ぜひ、ご参加ください。


為替・経済アカデミー 福岡 2026年11月21日(土)

 世界情勢が刻々と変化する今、表面的な情報に惑わされない「本質を見抜く眼」が求められています。私たちは、2026年も福岡の地で、対面での開催にこだわります。為替・経済の本質を深く理解し、未来を自らの手で切り拓くための知恵と戦略を、この会場で共に学びませんか。


ウォーシュが2年国債金利の後追い利上げ:このまま金利が上がっていくとどうなるのだろうか?
為替・経済アカデミー 福岡 2026年11月21日(土)

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(石原 順)

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