米FOMC、日銀の金融政策決定会合で日米ダブル利上げが行われた今週は、米国株軟調、日本株ほぼ全面高(AI株除く)と好対照な展開でした。来週は、日本がシルバーウイークで23日(水)まで休場となる中、原油価格が相場に強い影響を与えると予想します。
来週のトピック:米中首脳会談。日本市場は24日(木)取引再開
日付 イベント 9月21日(月) ・日本市場は21日(月)~23日(水)までシルバーウイークで休場(日経平均先物取引は実施) 9月23日(水) ・中国習近平主席が国賓として訪米・米国で9月製造業
・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値 9月24日(木) ・日本市場の取引再開
・米国ホワイトハウスで米中首脳会談
・米国でコストコ・ホールセール(COST)が決算発表 9月25日(金) ・米国で8月耐久財受注
・日米同時利上げによる物価高抑え込み期待で長期金利が逆に安定し、来週の米国株は上昇へ!? 原油価格を左右する中東情勢の進展が焦点
・米連邦公開市場委員会(FOMC)で2026年中、もう1回の利上げ見通しが有力に。円高トレンドが緩和され、日本株に追い風
・米国利上げで人工知能(AI)データセンター向け巨額債務が問題視されると波乱の展開も!?
9月18日(金)の日経平均
前日比545円高となる6万4,681円で続伸スタート。その後もプラス圏でもみ合い、前場は前日比525円高で終えました。後場では寄り付きから上げ幅を拡大させ6万5,000円台を回復、その後も高値圏で推移し、前日比882高の6万5,018円で取引を終えています(9月18日15時半現在)。
今週(9月14~17日)の主要株価指数
終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万5,018円 +1,007円 +1.57% TOPIX 4,091.1pt +62.8pt +1.56% ダウ 5万1,778ドル ▲795ドル ▲1.51% S&P500 7,637pt ▲19pt ▲0.25% ナスダック 2万6,418pt +85pt +0.32% 注:▲はマイナスを示す来週のマーケット:米利上げでAI株は乱高下?原油価格が株価に影響!
来週は、日本市場が9月21日(月)から23日(水)までシルバーウイークの祝日で休場です。そこで、今週18日(金)昼までの情報や予定を基に、来週の海外市場の動きと、24日(木)から再開する日本市場の展望をお届けします。
米国の動き
まず、16日(水)の米FOMCで、2023年7月以来およそ3年2カ月ぶりに、0.25%の利上げが決まりました。
また同日、参加理事が今後の政策金利の見通しを示した「ドットチャート」が公開。予想の中央値を見ると、2026年中にあと1回の利上げが見込まれています。さらに回答した18人中、3人はあと2回利上げとさらに金融引き締めに積極的であることが明らかになりました。
FOMC後の記者会見では、就任後初の利上げに踏み切ったウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「インフレ率が高過ぎる状態が長引いている」と、利上げに前向きな姿勢を示しています。
トランプ米大統領の露骨な利下げ要求にもかかわらず、ウォーシュ議長率いるFRBが適切な利上げを行って物価高に対抗したことで、将来的に金利の上昇は鈍化するという見通しが優勢になれば、来週の米国株式市場は反転上昇しそうです。
ただ、足元の金利上昇は、米AI株にとって逆風となっています。
しかし、AI関連株にとってポジティブな材料も存在します。それは、進化したAIの暴走が人類を破滅させかねないというAI開発の減速方針について、AI開発を加速させる中国に対する対抗策から、それほど急激なものにならないという楽観論が広がっていることです。
AIの暴走を止めるセキュリティ関連株などを中心に、むしろ物色の輪が広がる可能性もありそうです。
日本の動き
続いて日本では、18日(金)の日本銀行の金融政策決定会合で、6月に続いて0.25%の追加利上げが行われました。
もっとも、米国の追加利上げ見通しがかなり有力なため、日米金利差の観点から、一時1ドル152円80銭台まで進んだ円高トレンドは収まると見込まれます。これは日本株にとって追い風でしょう。
来週の米株相場に影響を与えそうな材料
来週の米株相場にとって、最大の注目材料はやはり「原油価格の動向」でしょう。
一時、1バレル106ドル台まで上昇した米国のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物価格は、足元100~101ドル台で推移しています(18日14:00時点)。
来週にかけて、米国とイランが中東原油の輸送路確保で何らかの交渉や歩み寄りを始めると、利上げと原油高で不調が続いた米国株も、勢いよく反転上昇するかもしれません。
日本株市場の注目ポイント
翻って日本では、17日(木)から高市政権の第2次改造内閣がスタート。
こうした中、高市政権が高い支持率を背景に今後も安定した政権運営を続けるとの見通しが好感され、東証株価指数(TOPIX)は17日終値時点で前週末比1.64%上昇。同日の東証プライム市場の値上がり銘柄は1,554社中1,289社に達するなど、日本株は堅調に推移しています。
この背景には、11月3日(火)の中間選挙以降もトランプ政権の迷走が続きそうな米国株から、政治が安定し、日銀が利上げできるほど好景気が持続する日本株への世界的な資金移動が起きている可能性もありそうです。
17日(木)終値時点で見ると、進化したAIの暴走を食い止めるためには防御策が必要という連想買いで、法人向けウイルス対策ソフト最大手のトレンドマイクロ(4704)が11.0%上昇したのが目を引きました。
そのほか、デュエル・マスターズのトレーディングカードが絶好調のタカラトミー(7867)が10.8%高と目立っています。
来週もAI半導体株が下落するとソフトウエア株やゲーム・コンテンツ株、景気敏感株が上昇、AI半導体株が上昇すると非AI株は小幅下落という資金循環が続きそうです。
市場別マーケット動向
日本市場
来週は、23日(水)~24日(木)に米国トランプ大統領と中国・習近平国家主席の首脳会談が米国で行われます。もっとも、外交・経済面で株価に大きな影響を与えるような進展はなさそうなことから、日本株は堅調にスタートしそうです。
一方、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)のつみたて投資枠で人気の高いS&P500種指数や、全世界株式に連動するインデックス型投資信託の基準価額は、円高の影響や米国AI株の軟調な展開を反映し、9月に入って下落しています。
円高の影響を受けにくい日本の個別株にも資金の一部を投資するなど、日本人投資家もより積極的に「日本買い」を進める時期なのかもしれません。
米国市場
米国では、AIが進化しすぎてインターネットインフラなどに深刻な危害を与える懸念が台頭し、AI開発の減速が呼びかけられています。
こうした中、最大20億ドル(約3,110億円)の増資を発表した光ファイバーメーカーのコーニング(GLW)が、17日(木)終値時点で前週末比11%安となっています。
ただ、全てのAI株が下落しているかというとそうではなく、原油価格と長期金利の上昇一服を背景に、一部のAI株には見直し買いが入っています。
来週もAI株の激しい上下動が続きそうです。
業種・銘柄の動き
銘柄 今週17日(木)までの騰落率 ポイント キオクシアHD(285A) ▲8.3% 米国預託証券(ADR)の上場計画で反発も大株主・東芝の売りやAI開発減速懸念で続落。来週は盛り返す? トレンドマイクロ(4704) +11.0% AI暴走懸念でサイバーセキュリティー関連株が反発 ソフトバンクG(9984) ▲4.7% 投資先の米オープンAI上場延期で急落後、勢いよく反転上昇。来週は横ばい推移? ボーイング(BA) ▲6.4% 最高経営責任者が生産上の制約やフリーキャッシュフローの目標未達を表明して下落。今週の日本株振り返り:サービス業、海運、医薬品など非AI株が幅広く買われ、ほぼ全面高の展開に!
今週18日(金)前場までの日本株市場は33業種中、27業種が上昇し、ほぼ全面高の展開でした。
中でも、堅調な国内景気が好感され、内需株の多いサービス業セクターに投資資金が流入。週間の業種別上昇率首位となりました。個別では、業績好調で証券会社が目標株価を引き上げたリクルートホールディングス(6098)が、17日終値時点(以下同)で前週末比12.5%高となっています。
また、AI半導体株が上昇していたころは「非AI株の代表」として売られることも多かった医薬品セクターが上昇率2位となりました。個別では、アルツハイマー病向け新薬の開発に期待がかかるエーザイ(4523)が同6.3%高となっています。
そのほか、2026年9月期の業績上方修正と前期10円だった1株配当を今期末、一気に160円まで大幅増配した航空券予約サイトのエアトリ(6191)が同54.6%高と続騰。先週以来、株価が2倍以上も上昇しました。
一方、下落率ワーストは証券・商品先物取引セクター。株式市況が好調で高値更新の続いた主力の野村ホールディングス(8604)が利益確定売りに押され、同4.5%安となったことが響きました。
また、銅価格が下落したこともあり、17日(木)終値時点では電子回路向け銅箔(どうはく)メーカーの三井金属(5706)が同9.4%安となっています。
そのほか、光ファイバーの古河電気工業(5801)が同5.8%安となるなど、非鉄金属セクターの下落が目立ちましたが、18日(金)前場時点では反転上昇しています。
あとは、好決算を発表したものの好材料出尽くしで、横浜家系ラーメン「町田商店」を運営するギフトホールディングス(9279)が、同8.8%安。
また、好決算や値上げ期待で買われてきた牛丼チェーン「すき家」のゼンショーホールディングス(7550)が同8.0%安、イタリアンレストランのサイゼリヤ(7581)が同3.9%安。
18日(金)前場でも続落するなど、人気外食企業の株価が利益確定売りでかなり大きく下げ、来週も尾を引きそうなのが心配です。
セクター・業種(上昇・下落)
銘柄 17日(木)終値までの騰落率 備考・要因 サービス業 +7.41% AI株下落の反動でウェブ系サービス企業が幅広く買われる 海運業 +4.76% 世界的な船賃高騰を好感 医薬品 +4.02% AI開発減速で新たな成長投資先として
新薬開発の可能性に期待が集まる 証券・商品先物取引 ▲2.07% 上昇後の利益確定売りに押され
主力の野村HD(8604)が4.5%安 非鉄金属 ▲2.67% 非鉄金属の価格下落もあり
AIデータセンター株が売られる 注:▲はマイナスを示す
(トウシル編集チーム)

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