攝津正が分析するソフトバンクの現状 野手編

(投手編:リーグ3連覇へ、ソフトバンクOBの攝津正が語る投手のキーマン 勝ち頭の大津亮介は夏場に向けて不安も>>)

 ソフトバンクOB攝津正氏が分析するチームの現状。投手編に続き、4番として存在感を示す栗原陵矢など野手陣について語ってもらった。

【プロ野球】攝津正が投手目線で嫌だと語るソフトバンクの打者は...の画像はこちら >>

【4番の栗原など、内野は群雄割拠】

――栗原選手が本塁打と打点でリーグトップ(7月2日時点。以下同)と好調を維持していますが、今年はどんな部分が変わったと思いますか?

攝津正(以下:攝津) 以前は調子が悪くなると、アッパー気味のスイングになっていました。左肩が下がってグリップが落ち、その状態から振り出していたのですが、今年は潜りこむようなスイングではありません。長谷川勇也打撃コーチ兼スキルコーチとも話したのですが、「しっかり踏み込めていることが打てている要因ではないか」と言っていました。

 あとは、下半身の力をうまく使えている分、上半身の力みがなくなってバットを水平かつコンパクトに出せていると。バットの軌道を、ボールの軌道に対して"点"ではなく"線"で入れることができれば、ミート率は上がります。振り遅れても泳がされても対応できているのは、スイングの軌道がよくなったからだと思います。

――若手では、すでにルーキーイヤーだった昨年を上回る49試合に出場している、庄子雄大選手もアピールしていますね。

攝津 打率は.250ですが出塁率(.358)は悪くないですし、バッティングの波さえなければレギュラークラスだと思います。守備もビッグプレーはないのですが、安定してきました。足も速いですね。少し前から状態が落ち気味でスタメンを外れることが多いですが、低めのボールに手を出していました。状態がいい時は、あれを振らないんですけどね。

 野村勇も徐々に良くなってきていますし、今宮健太や川瀬晃もいる。内野で試合に出続けるのは難しいですよ。出続けられるのは、内外野を守れる牧原大成くらいじゃないでしょうか。いずれにせよ、内野の各ポジションにどの選手を使うのかが重要なポイントです。庄子のバッティングに波がなくなり、安定して試合に出られるようになると、自ずとチーム力も上がっていくはずです。

【リードオフマンがチーム好調のカギ】

――捕手の山本祐大選手は、シーズン途中にトレードで加入後は攻守で存在感を発揮していましたね。ただ、6月上旬に左手有鉤(ゆうこう)骨骨折で離脱し、手術をして現在はリハビリ中です。

攝津 やはりバッティングがいいですよ。自分が想像していた以上に「よく打つな」という印象ですし、慣れない環境ですぐに結果を出したわけですから。配球などキャッチャーの面でも、パ・リーグのバッターをあまり知らない状況でよくやっていました。残念ながら故障で離脱してしまいましたが、短期間でしっかり数字を残しましたね。すでに首脳陣やチームメイトからも認められていると思います。

――山本選手の存在は、海野隆司、谷川原健太、渡邉陸らほかの捕手にとっても刺激になりそうです。

攝津 みんなで切磋琢磨して頑張ってほしいというのが前提ですが、打つことに関しては、どうしても山本との差を感じてしまいます。やはり、ある程度は打てないと試合で使ってもらえなくなる。プロ野球はそういう世界ですから。海野や谷川原、渡邉はしっかりレベルアップして、チャンスをものにしてほしいです。

 ただ、大津亮介が投げる試合では海野がマスクをかぶっていますよね。今年ひと皮むけそうな大津とともに頑張ってほしいですし、山本が離脱している間にしっかり結果を出すことができれば、チームも活性化するはずです。山本が復帰しても、小久保裕紀監督が起用を迷うくらいの成績を残してほしいです。

――今後の戦いに向け、野手陣のキーマンを挙げるとすれば?

攝津 ひとり挙げるとすれば、正木智也です。正木が5月中旬に1番に入って以来、ずっとチーム状態がいいんです。チームの状態が悪い時は1番、2番をコロコロ替えていたのですが、今は正木が1番に定着。長打も期待できるので、どうしてもクリーンナップや6番あたりを打たせたくなるタイプのバッターだと思いますが、ピッチャーからすれば、正木みたいなバッターが1番にいたらけっこう嫌ですよ。

 前から思いきりのよさ、バットを強く振れるといった長所はあったのですが、加えて選球眼がよくなりました。際どいボールをけっこう見逃せるというか、追い込まれてからも簡単にアウトにはなりませんし、粘れるんです。今の状態を維持して最後までいったら面白いと思います。昨年4月に左肩を亜脱臼し、長期離脱してしまった悔しさも原動力になっているんじゃないですかね。

―― 一軍に昇格した直後の楽天戦(5月16日)から1番に起用されていますね。

攝津 向いている部分があるんでしょう。思いきりがよくて打線に勢いをつけるという意味では適任ですし、出塁率も4割近くありますからね(.394)。過去、ソフトバンクは1番をよく替えてきましたが、正木の状態がいいうちは1番で使い続けると思います。大事なのは、状態が悪くなった時にどうするのか。けっこう大きなポイントになりそうな気がしますし、そういう意味でも打線に欠かせないキーマンだと思います。

【プロフィール】

攝津正(せっつ・ただし)

1982年6月1日、秋田県秋田市出身。秋田経法大付高(現ノースアジア大明桜高)3年時に春のセンバツに出場。

卒業後に入社したJR東日本東北では、7度(補強選手含む)の都市対抗野球大会に出場した。2008年にソフトバンクからドラフト5位指名を受け入団。抜群の制球力を武器に先発・中継ぎとして活躍し、沢村賞をはじめ、多数のタイトルを受賞した。2018年に現役引退後、解説者や子どもたちへ野球教室をするなどして活動。通算282試合に登板し、79勝49敗1セーブ73ホールド、防御率2.98。

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