「自然の中では静かに過ごしたい……」そう思っていたのに、なぜか“どこでもフェス気分”な人に遭遇してしまうこと、ありませんか?

今回は、そんな迷惑登山客に遭遇してしまった、ある女性のエピソードをご紹介しましょう。

久しぶりのソロ登山で味わう、癒やしの朝時間

ある休日の朝。青山真里さん(仮名・35歳)は、久しぶりのソロ登山を楽しむため、東京近郊にある低山を訪れていました。


静かな登山道で大騒ぎする若者たちが…悲鳴をあげて“動けなくな...の画像はこちら >>
「その日は登山日和で、仕事での疲れが溜まっていた私は『やっぱり癒されるなぁ』と風を感じながら歩いていたんです」

木々の隙間からやわらかな朝日が差し込み、鳥のさえずりと葉擦れの音が心地よく響く登山道。真里さんは、都会の喧騒を忘れられる静かな時間を満喫していたそう。

ところが、登山道をしばらく進んだ頃。後方から、その穏やかな空気をぶち壊すような大声が響いてきました。

「『この自然の感じ、フェスみたいでアガる~!』と騒ぎながら現れたのは、20代くらいの男性2人組でした」

しかも2人は、スマホから大音量で音楽を流しながら登場。曲に合わせて歌ったり、リズムを取るように肩を揺らしたり、時折「ウェーイ!」と拳を突き上げたりと、完全に周囲が見えていない様子だったそう。

「えっ、なんで山で?! とビックリしましたね……とにかく鳥の声も風の音も全然聞こえなくなるぐらいうるさくて」

「野外フェス感覚」の迷惑行動に、周囲もドン引き

2人は狭い登山道の真ん中を塞ぐように並んで歩き、すれ違う登山客がいても避ける素振りすらなしで「テンション上がるわ~!」「マジ野外フェス!」と大声ではしゃぎながら、ぴょんぴょん跳ねるように進んでいきます。

静かな登山道で大騒ぎする若者たちが…悲鳴をあげて“動けなくなった”ワケ。ベテラン登山者の“ひと言”に沈黙
登山道をフェス気分で歩く迷惑客
「周りの登山客さんたちも明らかに困っていたんですけど、注意して逆ギレされても嫌ですしね……みんな見て見ぬふりをしていました」

そんな中、片方の男性が突然、登山道脇の斜面を指差したそう。

「『あっちショートカットできそうじゃね?』って言い出したんです。正直、この道中を楽しめないのなら山に来る意味ないじゃんと思ってしまいましたね」

登山道には「登山道以外立入注意」の看板もあったそうですが、2人は気にする様子もありません。

もう1人も「確かに! はやく頂上でフェスめし作ろうぜ」と大盛り上がり。そのまま、ためらいなく斜面へ入っていったそう。

「ちょ、靴抜けた!」ぬかるみにハマり大パニック

「最初は冷やかな目でみていたのですが、かなりの斜面を躊躇なく登っていくので『いや、ちょっとこれかなり危なくない?』と怖くなってきました」

地面はかなりぬかるんでおり、登山道ですら滑りやすい状態。それなのに2人は、ふざけ半分のような様子で斜面を登っていきました。


すると次の瞬間……ズボッ!!! 片方の男性の足が、ぬかるみに深くハマってしまったそう。

静かな登山道で大騒ぎする若者たちが…悲鳴をあげて“動けなくなった”ワケ。ベテラン登山者の“ひと言”に沈黙
ぬかるんだ地面 泥 長靴
「前日が雨だったんですよね。さらにもう1人が、ぬかるみから救い出そうと暴れたせいで、2人とも全身あちこちが泥だらけになり『ちょ、待って!! 靴抜けた!』『最悪なんだけど!』と大混乱の状態で」

ついさっきまで「フェスだ!」「アガる!」と騒いでいた2人は、すっかり余裕を失い、泥まみれの大慌て。斜面の途中でバランスを崩しては悲鳴を上げ、周囲の登山客たちも思わず足を止めて見守っていました。

「正直『だから言わんこっちゃない……』って空気になっていましたね」

結局、見かねたベテラン登山者たちが救助に動くことになり、タオルをロープ代わりに使いながら慎重に2人を引き上げたそう。

ベテラン登山者のひと言に、男性2人も思わず沈黙

「そしてようやく無事に助け出されたあと、50代くらいの女性の登山者さんが、息を切らす2人に向かって『近道って、だいたい遠回りになるのよねぇ』とニコッと笑ったんですよ」

さらに「山ってね、“自分が楽しければいい場所”じゃないのよ。自然も、周りの人も、ちゃんと見て歩かないと」と、穏やかな口調で続けました。

すると周囲の登山客たちからクスクスと笑いが漏れ、男性2人は「……すみません」と気まずそうにうつむきました。

その後、彼らのスマホの音楽が流れることはなく、2人は泥だらけのまま静かに下山していったそう。

「山って、自然を楽しみに来ている人が大半なので、やっぱり周りへの配慮って大事なんだなって改めて思いました。あの2人は今回の件で、良い勉強になったんじゃないでしょうか?」と微笑む真里さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。
『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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