3年連続リーグ優勝を目指すソフトバンクは、直近の西武3連戦を制して単独首位に浮上した。ただし、シーズン通算では日本ハムに10勝1敗と大きく勝ち越している一方、西武には6勝8敗と依然として負け越している(7月2日時点。
【好調な西武の先発陣】
――ソフトバンクが優勝を目指すうえで、西武とは今後も激しい戦いが続きそうですね。攝津さんは、開幕前の順位予想で西武を3位と高く評価されていました。
攝津正(以下:攝津) やはり先発ピッチャー陣がしっかりしていますからね。それと、近年苦労していた野手陣が整ってきました。長谷川信哉は交流戦で首位打者を獲得するなど覚醒の兆しを見せていましたし(左手有鉤骨骨折で7月2日に登録抹消。復帰まで1カ月半~2カ月の見込み)、新外国人のアレクサンダー・カナリオもいい働きをしています。
今は数字が落ちてきましたが、平沢大河も一時期は打線を活性化していました。何よりも、開幕から出遅れていたタイラー・ネビンが戻ってきたあたりから、打線全体にギアが入った感じがします。
――先発ピッチャー陣は、今井達也投手(ヒューストン・アストロズ)が抜けた穴を感じさせません。
攝津 髙橋光成の状態がすごくいいですからね。
ただ、若手はどうしても未知数な部分がありますし、西武の首脳陣も体力面は不安要素のひとつじゃないですか。今みたいに先発ピッチャーが長いイニングを投げるなど安定したピッチングを続けられれば、若いリリーフ陣の登板過多も防げますし、シーズン最後まで勢いで押しきっていく可能性も出てくるでしょう。
――ソフトバンクは、苦手な髙橋投手をはじめとした西武の先発ピッチャー陣を攻略しなければいけませんね。[
攝津 髙橋もそうですが、左腕の隅田知一郎に2敗していますし、同じく左腕の菅井信也には3試合で防御率1.59と抑えられています。西武戦の8敗のうち、7敗はその3人によるものですからね。
【髙橋光成のやっかいな変化球】
――対西武では、大津亮介投手が3勝0敗、防御率0.86と相性がいいですね。
攝津 西武は大津のようにコントロールがよく、コーナーをしっかり投げられるピッチャーは苦手にしている印象があります。逆に、真ん中近辺の速いボールはよく打つんです。それは自分が現役時代の時も感じていたことですが、今もそういう傾向があるような気がします。
つまり、技巧派じゃないですが、変化球を含めてある程度しっかり制球できるピッチャーを当てていきたいところなんですが......二軍も含めて、なかなかそういったタイプの先発ピッチャーがいないんです。今の投手陣で大津以外に挙げるなら、上沢直之あたりがポイントになりそうな気がします。
――では、あらためて西武先発陣攻略のカギは?
攝津 特に髙橋はまったく打てていないので、対策をしないとまたやられてしまいます。柳田悠岐(10打数0安打)、牧原大成(6打数0安打)、柳町達(6打数0安打)、野村勇(4打数0安打)は完全に抑え込まれていますね。髙橋からホームランを打っている近藤健介(11打数2安打)と栗原陵矢(12打数2安打)も、安打はあまり出ていません。
特に左バッターに多投しているフォークがやっかいです。カウントを取りにいくフォークと、空振りを狙うフォークを使い分けていますし、軌道もけっこう変わるんですよ。ソフトバンクは左バッターが多いので、そのあたりの見極めもカギを握るでしょう。
―― 一方、西武で警戒すべきバッターは?
攝津 ネビンです。ホームランをポンポン打つバッターだとは思わないのですが、試合の流れを決めるような一打が多い印象です。4番に入っていると打線が上手く機能するというか、西武からすれば頼りになるバッターですよね。今年は長谷川やカナリオに長打が出るので、ネビンの精神的な負担も減っている気がしますし、昨年よりラクにバッターボックスに入っているんじゃないですか。
ソフトバンクは、ネビンの前にランナーを溜めないことですね。今年はキャッチャーの古賀悠斗もバッティングの状態がいいですし、切れ目がない嫌な打線になっています。西武は伝統的にいい野手が育ちますからね。ここ数年は若手が伸び悩んで苦労していましたが、今年を境にまたどんどん台頭してきそうな予感がします。
――大津投手をはじめとした先発ピッチャー陣が、いかに抑えていくかにかかってきますね。
攝津 大津以外のピッチャーは投げてみないとわからない状態ですからね。前田悠伍は直近の西武戦で7回無失点、負けなしの6勝目を挙げましたが、安定感はまだまだです。
スチュワート・ジュニア、松本晴などは、毎回どっちに転ぶかわかりません。投げさせてみて危なかったら、すぐにリリーフをつぎ込むのか。そうなると、交流戦もリリーフをがっつり使っていたので、シーズン後半でその影響が出るかもしれない。ピッチャーをどのように運用して乗りきっていくのか。いずれにせよ、西武戦を優位に戦っていきたいですね。
【プロフィール】
攝津正(せっつ・ただし)
1982年6月1日、秋田県秋田市出身。秋田経法大付高(現ノースアジア大明桜高)3年時に春のセンバツに出場。卒業後に入社したJR東日本東北では、7度(補強選手含む)の都市対抗野球大会に出場した。2008年にソフトバンクからドラフト5位指名を受け入団。抜群の制球力を武器に先発・中継ぎとして活躍し、沢村賞をはじめ、多数のタイトルを受賞した。2018年に現役引退後、解説者や子どもたちへ野球教室を開くなどして活動。通算282試合に登板し、79勝49敗1セーブ73ホールド、防御率2.98。










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