5月12日、東京・新宿のロフトプラスワンで『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会2 闘いのワンダーランド編』の発売記念トークイベントが開催された。当日は、新生UWF旗揚げ記念日ということもあり、スペシャルゲストとして“格闘王”前田日明が登場。

玉袋筋太郎、堀江ガンツ、椎名基樹とともに、大いに盛り上がったイベントの模様をお届けする。

格闘界のゴルゴ13

堀江ガンツ:本日は『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会2』発売記念イベントに多数のご来場、ありがとうございます!

玉袋筋太郎:でも、今日の主役は俺たちじゃねえ。今日のスペシャルゲストは、もう肩ができあがってるよ。楽屋に来るなり肩ブンブン回してたから。

椎名基樹:早くも裏話満載でしたね。

玉袋筋太郎:壇上にお呼びするのが怖いよ。今日は配信もあるわけだろ? 流せない話が必ずでてきちゃうよ。

堀江ガンツ:現役時代から試合のテレビ放送がお蔵入りして裏ビデオになっちゃう人ですからね(笑)。

玉袋筋太郎:すごいよな。裏ビデオと言ったらもう田口ゆかりより先だからな(笑)。

堀江ガンツ:昔、武道館とか両国の試合後、裏ビデオの屋台が出てましたよね。「前田vsアンドレ、あります」みたいな(笑)。

玉袋筋太郎:「冷やし中華はじめました」じゃねえんだから(笑)。

堀江ガンツ:というわけで本日のゲストは、前田日明さんです!

(「前田」コールの中、前田日明登場)

前田日明:どうも、前田日明です。(場内大拍手)

堀江ガンツ:前田さん、今日5月12日は1988年に新生UWFが旗揚げした記念日なんですよ。

前田日明:そうなんだ。全然覚えてない。

玉袋筋太郎:他人事じゃないですよ! 前田さんが大ブームを起こしたんですから。

堀江ガンツ:ちなみに昨日、5月11日はリングス旗揚げ35周年だったんですよ。

前田日明:あ、ほんと。

玉袋筋太郎:リングス旗揚げ戦、横浜アリーナまで行ったな~。リングスで世界中から選手を集めるっていう構想はいつ頃からあったんですか?

前田日明:あれは新生UWFの頃から考えてたんですよ。日本人選手だけでやっていくんじゃなくて、アマチュアも含めて世界中から強豪を集めて、切った張ったの闘いをやっていけばいいんじゃないかって。それがUWFが解散になったんで、リングス始まってからはカバン一つ持っていろんなところに選手を見つけに行きましたね。

玉袋筋太郎:カバン一つって、言ってみれば世界規模の寅さんだからね。真っ先にロシアまで行ったりさ。

前田日明:ロシアはね、スポーツ会館の堀米(奉文=のちのリングス審議委員長)さん。あの人が世界サンボ連盟の前理事で当時は副理事で、ロシアの人脈がすごかったんですよ。それで堀米さんの紹介でロシアに行って、自分がラッキーだったのは、ソ連がペレストロイカで国家スポーツ省がなくなったばかりで、最後の国家スポーツ省事務次官だった(ウラジミール・)パコージンをスカウトできたんですよ。

堀江ガンツ:パコージンさんはリングス・ロシア代表になりましたね。

前田日明:彼はスポーツに関する事務次官だから、ありとあらゆる情報を持っているんで、いろんな有望選手を集めてもらってオーディションをやって。その中の一人がヴォルク・ハンだったんです。

玉袋筋太郎:ハンは衝撃的だったな~。

椎名基樹:コマンドサンボとブラジリアン柔術が、近代格闘技の二大衝撃ですよね。

前田日明:で、ハンはダゲスタン人なんですよ。

椎名基樹:今、UFCとかでダゲスタンの選手がものすごく活躍してますよね。

堀江ガンツ:ハビブ・ヌルマゴメドフが出て、その次にイスラム・マカチェフが出てきて。

前田日明:だからリングス時代、「ハンの村を訪れる」みたいな企画で一度行ったことがあるんだけど、もう国をあげての大歓迎で。そこにヌルマゴメドフがこんなちっちゃい頃、親父と一緒に来てましたよ。

玉袋筋太郎:そうなんですか!?

堀江ガンツ:ヌルマゴメドフはお父さんがコーチだったんですよね。

前田日明:そう。ヌルマゴメドフのお父さんが、ハンがサンボの全ソ連チャンピオンになった時のコーチだったから。

玉袋筋太郎:えーっ! 歴史がつながっていて、すごい話ですな。でも、前田さんの世界の回りっ ぷりは、もはやゴルゴ13ばりですね。

前田日明:ジョージア(グルジア)に最初に行った時は内戦の真っ最中で、外務省からは渡航注意が出てたんですよ。でも、モスクワにいた時に(ビターゼ・)タリエルの噂を聞いて、「これは行かなアカンな」と。

椎名基樹:グルジアの極真チャンピオンをスカウトしよう、と。

前田日明:いや、極真チャンピオンというのもそうなんだけど、「白兵戦で3人殴り殺したヤツがいる」って言うからさ(笑)。

椎名基樹:そういうことですか!

堀江ガンツ:弟のアミランも白兵戦で人を殺してるらしいですもんね。

前田日明:それでスカウトしようと思って、モスクワからジョージア行きの飛行機を取ろうとしたんだけど、ずっと満席で1週間足止めくらって。ようやく乗れたら超満員で、通路まで人が座ってるんですよ。

椎名基樹:飛行機にですか!?

前田日明:通路に荷物置いて、荷物の上に座ってるんだよ。

玉袋筋太郎:それ、戦後の日本の買い出し列車ですよ!(笑)。

前田日明:しかも飛行機が1950年代に初めてできたジェット旅客機で、飛行機の表面に鋲が打ってあるんだよ。「こんなん飛ぶんかな?」と思ったら、途中でミサイルが当たったのかと思うくらいグラグラ揺れてね。ようやく飛行機の姿勢が回復した時、「当機の機長はソ連空軍時代にエースパイロットでしたので、みなさんご安心ください」って。

玉袋筋太郎:安全性がパイロットの腕次第じゃないですか(笑)。

前田日明:ほんでジョージアに着いて、タラップ降りて機体を見たら、主脚のカバーがちぎれて飛んで、水平尾翼の一端がグニャっと曲がっててね。

堀江ガンツ:ヤバいじゃないですか!

前田日明:そんなんばっかですよ。

文・構成/堀江ガンツ

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