今、廃止が相次いでいる学校の部活動問題。山あいの中学校で廃部を経験した子どもたちのため作られた野球チームの初勝利に密着しました。



中学校の「卓球部」。3年生の長嶋花歩さんは、練習に打ち込んではいますが…

(卓球部員 長嶋花歩さん)
「元バレーボール部です。もう廃部に」

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そして、絵画や工作の「創作部」。3年生の正木歩武さんも、元々は全く違う部活でした。

(創作部員 正木歩武さん)
「今まで剣道部に入っていました」

部活失った野球少年を救ったのは監督未経験の大人たち クラブチーム結成し挑んだ“最後の夏” 深刻な少子化で相次ぐ部活廃部
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三重県大台町の大台中学校では、2025年に多くの部活動が廃止され、今は3つしか残っていません。

(大台中学校 杉坂真奈巳校長)
「去年の夏の大会が終わった時点で、野球部・剣道部・バスケ部・バレーボール部が廃部に。苦しい選択を強いられている」

所属していた部活が廃部 「続けたかった」「後悔残る」

生徒たちは…

(元剣道部 正木さん)
「悲しいなと。もうちょっとやりたかったなと。もうちょっと続けたかった」

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オリンピックのバレーボール日本代表に憧れ、中学でバレーボールを始めた長嶋さんも…

(元バレーボール部 長嶋さん)
Q.バレーボールに後悔は?
「ちょっと残っている。1年生の頃にけがしたとかもあったから、(続けていたら)もっとうまくなったのかな」

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生徒数減少・顧問不在で部活の継続不可能に

部活廃止の背景にあるのは、町の深刻な少子化。三重県では2025年、子どもの出生数が統計開始以降で最少を記録。

中でも大台町では出生数が21人と、15年前の約3分の1に。

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大台中学では生徒数の減少や顧問の不在で継続が不可能になり、去年7月「野球」「バスケットボール」「バレーボール」「剣道」の4つを廃部にしました。

(杉坂校長)
「4年後には、全校生徒100人を切る見込み。

(生徒は)減る一方と捉えている」

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もう一度野球がしたい 子どもの“夢”のために立ち上がった大人たち

こうした中、子どもたちの活動を支えようという取り組みも。

大台中3年生の宿晴登さん。小学生から野球一筋で、学校でも軟式野球部に所属していましたが、去年夏で廃部に。

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(大台中学校3年生 宿晴登さん)
「小学生の時は野球しかしていなかったので、野球以外のスポーツをするのを全く考えていなかった」

それでも、今もう一度グラウンドに立つことができています。

(宿さん)
「この環境を作ってくれた監督・コーチには、本当に感謝しています」

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子どもたちに「野球ができる環境を」クラブチームを結成

大台中の部活動廃止を受けて地元に誕生したのが、クラブチーム「奥伊勢ライズ」。現在、選手は13人です。

(大台中学校3年生 加藤成一郎さん)
「廃部になると聞いて、結構しょぼんという感じだった。いろいろな大人たちが関わって、野球を続けさせてくれるのは感謝しかない」

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チーム立ち上げの中心となったのは、瀬古祐介さん(48)です。息子が大台中野球部のOBで、部活の廃止を受けてクラブチームの結成を思い立ちました。

(奥伊勢ライズ 瀬古祐介監督)
「軟式野球部が次々と廃部に。大台中学校が廃部になると、子どもたちが軟式野球やる環境がなくなっていく。それを防ぎたい」

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チームを支えるのは監督とコーチの2人

他の地域からも部活廃止にあった子どもを受け入れるため、チーム名には「大台」ではなく、エリアを広げて「奥伊勢」と付けました。

監督とコーチ、2人でチームを支えています。

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モットーは…「とにかく楽しむこと!」

(瀬古監督)
「ミスしたらみんなで助け合う。いいプレーが出たら、みんなで盛り上がるのがうちのチーム」

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午前1時から仕事… 寝ずに練習に立ち会うことも

40代終盤で突然始めた野球部の監督。野球の経験は中学まで、監督はもちろん初めてという瀬古さん。

生活との両立も大変です。

(瀬古監督)
「今から夜勤に向かいます」

地元の新聞販売店で深夜に働いていますが、チームの練習が午前中にあるときは、寝ずに立ち会います。

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(瀬古監督)
「田舎は子どもの選択肢が少なくて、中学校は人数が少なく部活の種類も少ない。野球部が廃部になることで子どもの選択肢が減っていくところで、なんとか野球を残したいなと」

「地域の子どもたちの夢を守りたい」その思いで監督を続けています。そんな奥伊勢ライズには目標が…

(瀬古監督)
「3年生最後の大会で、1勝を目標にやっている」

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「勝つことが一番の恩返し」目指すは“初勝利”

3年生はこの夏で引退です。全員、部活の廃止で集まった選手たち。目指すは、県大会予選での「初勝利」です。

(キャプテン 宿さん)
「自分で使ったやつなので、(洗濯を)自分でやらなあかんかなと思い始めて、自分で洗い始めました」

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小学4年生から野球を始めた宿さん。大台中学に入学した時はすでに廃部は決まっていましたが、どうしても続けたくて野球部に入部しました。

(キャプテン 宿さん)
「廃部になるまでの間でもいいから野球がしたかったし、心の中で1年生が結構入ってきたら廃部がなくなるんじゃないかと、ちょっと思ったりもした」

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結局、野球部は廃部になりましたが、野球の道を再び開いてくれたのが「奥伊勢ライズ」でした。

(キャプテン 宿さん)
「監督・コーチには勝つことが一番の恩返しだと思うので、勝って喜んでいるところを見たいです」

県大会予選の1回戦… 勝利は掴めた?

迎えた県大会予選1回戦。

ヒットを放ったキャプテン・宿さん。練習試合含めて、今まで勝ったことがなかった相手に対し、見事「4ー0」で勝利!

一度は行き場を失った子どもたちの、小さくても大きな意味のある初勝利でした。



(瀬古監督)
「大会での1勝を最後に成し遂げようとやってきて、君たち見事成し遂げた。これ以上ない結果」

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チームがなければ、味わうことができなかった「勝利の喜び」。次の目標は、2回戦突破です。

(キャプテン 宿さん)
「次の試合もあるので、気を抜かずに集中して勝てるようにしていきたい」

(瀬古監督)
「成長してくれていると思いますね、野球を通して。まだまだ頑張って指導を続けていきたい」

少子化を背景に、減り続ける学校の部活。山あいの街で、子どもたちの夢を支える取り組みは続いていきます。

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