特集は、排気ガスの発生源でもある大型トラックのディーゼルエンジンを改造して、無公害の水素を燃料にする新しい取り組み。実用化にこぎつけた現場に密着しました。



理科の実験でお馴染みの、水素の発生と着火。燃えても「水」しか出ない究極の燃料として、世界中が水素エネルギーの研究に力を入れる中、日本でも物流を変える大きな挑戦が実を結ぼうとしています。

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック...の画像はこちら >>

「愛知碧南R&Dセンター」は、東京のスタートアップ企業「i Labo」がことし5月に作った水素利用の開発拠点です。

(i Labo 宮﨑洋一社長)
「脱炭素への一つの現実的な解だと思う。未来の子どもたちの、よりよい空気のためにも頑張っていきたい」

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック”で脱炭素 カーボンニュートラルに貢献
CBC

ディーゼルトラックを水素エンジンに

ここで行っている開発とは…

(i Labo 当房正彦副社長)
「エンジンの試験をするための、エンジン試験室になります。エンジンの状態をチェックしたり、それを見ながら水素エンジンの研究開発をしております」

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防音ガラスで仕切られた、コントロールルーム。奥へ進むと…

(i Labo 当房正彦副社長)
「こちらが水素エンジンになります。私たちは世の中にあるディーゼルエンジンをベースに、中身を改造した上で水素エンジンに変えています」

元々はディーゼルでしたが、「軽油」ではなく「水素」を燃料に動くよう改造してあります。周りには、馬力や振動・排気ガスを計測するセンサーが設置されています。

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック”で脱炭素 カーボンニュートラルに貢献
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ダイヤルを回すと、スロットルが開きエンジンの回転数が上がっていきます。動く仕組みは通常のエンジンと同じで、水素を燃料にしている点だけが違います。

既存のトラックを“完全無公害”に改造

物流の主役であるディーゼルトラックは、国内に約200万台。それを「完全無公害」にしようという挑戦が始まったのは2019年。EVに注目が集まる中、「既存の車両と日本のエンジン技術を守りながら脱炭素を進めたい」その想いからのスタートでした。

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(i Labo 当房正彦副社長)
「ディーゼルエンジンのトラックは世の中にたくさん走っていて、元々ある車を有効活用できないかというのが、そもそもの発想です」

Q.開発当初は?
「エンジンが回らなかったり、当然 異常燃焼があったり紆余曲折ありながら、部品の精度を高めたり試作を繰り返しながら現在に至っている」

壁となったのは、水素が軽油やガソリンより遥かに燃えやすいこと。空気量がわずかに狂うだけで、異常燃焼を引き起こします。

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5年に及ぶ試行錯誤 部品交換で水素エンジンに

さらに…

(i Labo 当房正彦副社長)
「元々のディーゼルエンジンのピストンでは、エンジンが全くかからない。空気を圧縮する工程とかが異なるので、(ピストンは)オリジナルで作らなければならない」

エンジン本体はそのままですが、激しい爆発力に耐える独自開発の水素専用ピストン。細かくは見せられないとのことでしたが、形状は全く違うものでした。

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また、水素用の点火プラグや燃料噴射装置なども専用品を開発。5年に及ぶ試行錯誤を経て、ことし1月に実用化にこぎつけました

(i Labo 当房正彦副社長)
「壁を一つずつ乗り越えながら、やっと世の中に出せるような状態までこぎつけたという感じです。感無量なところがありました」

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既に走り始めた水素トラック

技術はすでに実用化の段階に。

(i Labo 当房正彦副社長)
「全部で(エンジンが)5台あります。全てこれから出荷するためのエンジンになります」

すでに4基を出荷。工場にはさらに5基の出荷待ちエンジンが控えています。

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック”で脱炭素 カーボンニュートラルに貢献
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完成した水素トラックは、全く臭いがせず排気は水のみ。その走りも…

(i Labo 当房正彦副社長)
「(水素エンジンと)知らなければ、わからないぐらいの音と思います。水素エンジンにした事により、発進時のトルク(車を動かす力)は若干弱くなるが、回転が上がるにつれて出力もどんどん上がっていく。

少し回転を高めにすると違和感なく運転できると思います」

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック”で脱炭素 カーボンニュートラルに貢献
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運送業の脱炭素でカーボンニュートラルを

まだコストがかなり高いため導入には国の補助金が欠かせませんが、車両を買い替えることなく専用部品の製造や改造も一般的な工場でできるという、既存の自動車産業を守りながらトラックの脱炭素を目指す技術です。

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック”で脱炭素 カーボンニュートラルに貢献
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(i Labo 当房正彦副社長)
「ことし1月から一般販売を開始したので、今は少量ですが来年 再来年に向けて台数を増やして、カーボンニュートラルに貢献ができれば良いと思っている」

世界で進む水素の利用研究を日本がリードできるのか。ものづくりの知恵と工夫で、未来を拓く取り組みが進んでいます。

車体はそのまま エンジンの改造だけで無公害に “水素トラック”で脱炭素 カーボンニュートラルに貢献
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