胸は体の中でも皮脂分泌が多く、胸ニキビに悩む人も少なくありません。
胸ニキビができると「デコルテの開いた服が着られない」「赤いニキビが目立つ」など、おしゃれが楽しめなかったり自分のボディに自信がなくなったりしがちです。
胸ニキビは複数できることが多く、原因がわからず長引いてしまうことも。
この記事では、胸にニキビをきれいに治すために以下の内容についてくわしく解説します。胸ニキビと似ている別の皮膚病もあるため、胸ニキビの対処法と予防法と合わせて読み進めてくださいね。
- 胸ニキビの原因
- 胸にニキビの対処法
- 胸ニキビの予防法
- 胸ニキビと似ている症状
きれいな胸元作りのために、最初に胸ニキビの原因となるものからチェックしていきましょう。
1.胸ニキビの原因
ニキビといえば顔をイメージしますが、胸や背中は皮脂腺が多くニキビができやすい場所です。
胸に複数のニキビができたり赤くなったりしたら非常に気になるもの。胸は皮脂だけでなく汗もかきやすく、ニキビができやすい要因が揃っています。
胸ニキビは、原因を特定すると解決しやすい肌トラブルなので、当てはまる原因をチェックしましょう。
1-1.ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期により増減を繰り返しています。
特に月経前にはプロゲステロンが増加することで、皮脂分泌量が増えて胸ニキビができやすくなります。
女性ホルモン以外にも体には多くのホルモンがあり、ストレスや体調不良によりバランスが乱れると、胸ニキビができる原因になってしまいます。
1-2.洗いすぎ・すすぎ残り
胸ニキビは、洗いすぎやすすぎ残しがあるとニキビができやすい肌に傾きます。
洗いすぎると肌が乾燥してしまい、うるおいを与えようと皮脂分泌が活発になってしまうのです。その結果、毛穴詰まりを起こしニキビにつながってしまいます。
肌あたりの強いボディタオルや垢すりなども、胸ニキビができやすい人は控えることをおすすめします。
胸はボディソープやシャンプー、トリートメントを流すときに付着しやすく、すすぎ残しがあることも胸ニキビの原因になります。
コンディショナーやトリートメントに含まれる界面活性剤は肌に密着しやすいため、ぬるつきがないかどうか確認しましょう。
1-3.下着や衣類などによる摩擦・繊維によるもの
下着や衣類の摩擦、合わない繊維の着用により、ニキビができる原因になるため注意が必要です。
締め付けの強い衣類は肌摩擦を起こしやすく、胸元の角質層が荒れて刺激になってしまいます。
化学繊維の肌着が肌に合わない人、通気性が悪い肌着で蒸れてしまう人も要注意です。
気を付けたいのが、肌着や下着などに使う洗剤や柔軟剤です。特に柔軟剤は、ヘアトリートメントと同様のカチオン界面活性剤が使用されており、界面活性剤の中でも肌荒れが懸念される種類になります。
肌荒れを伴う胸ニキビは、下着や衣類の見直しとともに素肌に触れるものは柔軟剤の使用を止めてみるのも方法のひとつです。
1-4.汗による蒸れ
女性はブラジャーやブラトップの締め付けにより、胸周りに汗が溜まりやすくなります。通気性も悪くなることからジメジメし、ニキビができやすい要因が揃ってしまうのです。
汗をかいたあとは、なるべく早く着替える、汗をタオルでおさえるなど早めに対処しましょう。
1-5.ボディケア用品
ボディミルクやボディクリームを使用するときに、胸にも使っていませんか?
足や腕は皮脂腺が少なく乾燥しやすいですが、胸は皮脂腺が多い場所です。同じように塗ってしまうと毛穴詰まりを起こす場合があります。
胸元に使うならノンコメドジェニックのスキンケアや、ニキビケア用の化粧水を使いましょう。
2.胸ニキビの対処法
胸ニキビができてしまったら、ニキビ治療薬を使用して早めに治すのがおすすめです。
胸ニキビの対処法は、市販薬を買うか皮膚科で治療してもらうかの2択になります。
2-1.市販薬で対処する
ドラッグストアやインターネットで購入できる市販薬には、塗り薬と飲み薬があります。
皮膚科に行く時間がないときや自分で治したいときに、市販薬は便利です。どれを選べばいいかわからないときは、薬剤師に相談してみましょう。
2-2.市販の塗り薬
市販の塗り薬は殺菌作用や炎症を抑える効果があります。
市販薬を購入するときには、どの有効成分が配合されているか「成分表記」をチェックしてくださいね。
アクネ菌を殺菌する有効成分
- レゾルシン
- イソプロピルメチルフェノール
- トリクロサン
【白ニキビ向け】皮脂を取り除く有効成分
- イオウ
- サリチル酸
【赤ニキビ向け】炎症を抑える有効成分
- イブプロフェンピコノール
- グリチルリチン酸ジカリウム
殺菌成分+白ニキビ向けor赤ニキビ向けで選ぶと、自分に合う薬が見つけやすくなります。
2-3.市販の飲み薬
処方薬では抗生剤(抗菌薬)が処方されることが多いですが、市販の飲み薬はビタミンB2やビタミンB6、漢方薬が販売されています。
初期の胸ニキビには対応できますが、予防的な治療になるため、炎症や悪化してしまったニキビには効果があまり期待できません。
市販薬は1,000〜2,000円で販売されていることが多く、インターネット通販でも入手できます。
2-4.皮膚科で治療してもらう
皮膚科でのニキビ治療は、保険診療ができる一般皮膚科と自由診療でおこなう美容皮膚科があります。
胸ニキビは、顔のように美容医療の施術をするというよりも薬で治すのが一般的です。
昔と違い現在は、ニキビの保険診療での選択肢が広く、塗り薬や内服薬を処方してもらえます。
2-5.皮膚科で処方される塗り薬
皮膚科で処方される塗り薬には、以下の3種類があります。
抗生剤は基本的に、ニキビの個所に1点塗りをします。過酸化ベンゾイルやアダパレンは、ニキビ周りの組織の炎症をおさえるため面塗りが推奨されます。
抗生剤:ニキビの炎症を抑える
- ダラシン
- アクアチム
- ゼビアックス
過酸化ベンゾイル:殺菌作用、毛穴詰まりを改善
- ペピオ
- デュアック
アダパレン:抗炎症作用、毛穴詰まりを改善
- ディフェリン
- エピデュオ
2-6.皮膚科で処方される飲み薬
中等度から重度のニキビや急性期には、内服の抗生剤(抗菌薬)が処方されることが多いです。ニキビの程度により、ガイドラインに沿った処方がおこなわれます。
ホルモンバランスやストレスが影響している場合は、漢方が処方されることもあります。
- ミノマイシン
- ヒブラマイシン
- ルリッド
- フォロム
3.胸ニキビの予防方法
胸ニキビに大切なのは、ニキビを作らせない予防ケアをおこなうことです。
なぜならニキビを治療しても、新たなニキビができるといたちごっこの繰り返しになってしまうからです。
ここからは、胸ニキビの予防に効果的な方法をお伝えしていきますので、ぜひ実践してみてくださいね。
3-1.生活習慣を改善する
生活習慣の乱れは、胸ニキビ発生や悪化させる大きな要因のひとつになります。そのため睡眠や食事の改善は、胸ニキビの予防に非常に効果的です。
良質な睡眠
成長ホルモンは、肌を修復する作用がありターンオーバーをサポートします。
睡眠不足になると、寝ている間に働く「成長ホルモン」の分泌が少なくなってしまいます。
平日は睡眠不足だけど、休日に寝だめしているという人はいませんか?不規則な睡眠はターンオーバーが乱れることで、毛穴詰まりが起こりやすく胸ニキビへの引き金になりかねません。
良質な睡眠と自分が満足できる睡眠時間をなるべく確保しましょう。
バランスの良い食生活
胸ニキビに良い食生活は、バランスが取れていること、血糖値が上がりにくい食材や食べ方を取り入れることです。
胸ニキビは毛穴に詰まった皮脂汚れが原因のため、皮脂分泌を抑える食品を摂取することをおすすめします。
ビタミンB2やビタミン6は、皮脂の代謝にかかわる栄養素です。ビタミンB群は食べ物で摂取でき、内側からニキビのできにくい肌作りに役立ちます。
ビタミンB2 | レバー、うなぎ、チーズ、卵など |
ビタミンB6 | ささみ、赤み魚、にんにく、焼き海苔、玄米など |
また、血糖値が上がりにくい食べ方として野菜から食べる「ベジファースト」を実践しましょう。
「野菜→汁物→たんぱく質類→炭水化物」の順番で食べると、血糖値の上昇がゆるやかになります。
急激に血糖値を上げないことがニキビ予防につながります。
3-2.ストレスを溜め込まない
ストレスは、肌に大きな悪影響を及ぼします。
しかし、ストレスの度合いは目に見えず、自分では胸ニキビがストレスから起こるのかどうかが判断できませんよね。
ストレスが溜まると、自律神経やホルモンバランスが乱れ、皮脂分泌が過剰になりやすいです。自分の肌が「いつもより脂っぽい」「ざらつきがある」というときは、自身の心に目を向けてみましょう。
無理をしていないか、我慢しすぎていないか、頑張りすぎてはいないでしょうか?
時にはオフのスイッチを入れ、流せるストレスは流して溜め込まないようにしてくださいね。
3-3.肌に汚れを残さない
1日過ごした肌には汗や皮脂汚れが付着しています。特に胸は皮脂分泌が多いことから、毛穴詰まりを起こしやすい場所です。
お風呂で洗うときは手にボディソープを取り、デコルテから胸にかけてはやさしくていねいに手洗いすることをおすすめします。流すときもボディソープが肌に残らないようにしっかり流してください。
シャンプーやトリートメントを流すときにも、胸に付かないように、付いた場合はしっかり洗い流して肌に残さないようにすることが大切です。
先にシャンプーをしてから体を洗うようにすると、肌への残留を防げます。
3-4.通気性の良い衣類を着る
通気性の良い衣類を着ることは、胸ニキビ予防に効果的です。
空気の通りが悪いと蒸れの原因になりやすいため、綿素材の肌着やキャミソールがおすすめ。
吸湿発熱繊維の服や肌着は、体の水分を吸収して発熱、保温する働きがあります。肌が乾燥しやすい人は、乾燥と肌摩擦で胸ニキビを引き起こすことも。
服の裏地に付いているナイロンも直接肌に触れないように気をつけましょう。
3-5.胸ニキビ予防のスキンケアをおこなう
ニキビ予防のスキンケアは、胸ニキビを予防することができます。
肌荒れ予防有効成分が配合された化粧水をコットンに浸し、トントンとおさえるように胸やデコルテになじませます。すでにニキビができている人は、殺菌効果のある化粧水の使用も効果的です。
化粧水を使用することで肌の乾燥も同時に予防でき、みずみずしい肌に導きます。
4.胸ニキビと似ている症状
胸ニキビと思っていたら、実は違う皮膚の病気だったというケースがあります。
胸ニキビと他の皮膚病は、見た目ではわかりにくいため、皮膚科を受診して診断してもらいましょう。
4-1.痒疹
痒疹は、虫に刺されたようなブツブツが多数できる皮膚疾患です。
赤く盛り上がることから、一見ニキビのようにも見えますが、痒疹は強いかゆみを伴うのが特徴です。
1週間程度で治まるものと、何カ月も治らず硬いイボになるものがあり、治療法は外用薬、内用薬、紫外線療法などがおこなわれます。
4-2.粉瘤(アテローム)
粉瘤は、アテロームとも呼ばれる良性の腫瘍です。
皮膚の下に袋状の組織ができ、皮脂や汚れが溜まったものでニキビと似た症状の皮膚疾患ですが、ニキビのように自然治癒することはありません。
放置すると大きくなったり、臭いを生じたりして炎症を起こす場合があります。
皮膚科や形成外科で、粉瘤を取り除く治療をおこないます。
4-3.マラセチア毛包炎
マラセチア毛包炎は、マラセチア菌が増殖し、毛穴で炎症を起こす皮膚疾患です。
主に胸や背中に多く見られ、顔にニキビがなく胸や背中に集中してブツブツができている場合は、マラセチア毛包炎の可能性があります。
塗り薬や飲み薬を使用した治療がおこなわれます。
5.まとめ
今回は、胸ニキビの原因から対処法、予防法についてお伝えしました。
胸ニキビは原因が特定できると、比較的早く解決できることもあります。治療と予防を同時におこなうことで、胸ニキビのないなめらかな肌が目指せます。
春夏に好きなファッションを楽しめるよう、胸ニキビを治してきれいな素肌を手に入れてくださいね。
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