年をとると「BMI22の標準体型」が必ずしも健康とは言えません。
健康診断のたびに、医師から
「血圧が高すぎですよ。塩分に気をつけて」
「血糖値が気になるので、甘いものは控えてください」
など苦言を呈された経験がある人も少なくないでしょう。
ただ、65歳をすぎたあたりから、そろそろ「ギアチェンジ」のタイミングかもしれません。
とくに「体力がない」「食欲が落ちてきた」などの方は要注意。
「糖質制限」「プチ断食」など、いま流行りのダイエットは危険です。
中高年までは「動脈硬化」からはじまる病気がいちばんのリスクですが、
高齢者は「フレイル(虚弱)」「低栄養」「サルコペニア(筋力低下)」のほうが
「肺炎」や「寝たきり」へとつながるような、大きなリスクとなるのです。
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体型(身長と体重のバランス)を表すBMIも、じつはもともと18歳から60歳までの年齢でつくられた基準。
文部科学省の調査研究費で65歳以上の高齢者を11年間追跡調査したところ(JACC Study)、
もっとも標準的と言われる「BMI22」よりも、高齢者の場合、ちょっとぽっちゃりな「BMI25~30」が
健康に生きられたという結果も出ています。
米国でも同様の調査結果が得られました。
また、入院した高齢者の退院後3年間の生存率を調べたデータでも、
やせ型の高齢者は太めの高齢者に比べて「約4倍」も死亡率が高いことが明らかになっています。
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「ペットボトルが開けにくくなってきた…」
「青信号で渡り切れなくなってきた…」
などの症状があれば、体力や筋力が落ちてきた証拠。
「1にカロリー、2にたんぱく質」を合言葉に、しっかり食べて「体重」と「筋肉」を守りましょう。
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佐々木淳(ささき・じゅん)
医療法人社団悠翔会理事長・診療部長
1973年京都市生まれ。手塚治虫の『ブラック・ジャック』に感化され医師を志す。1998年筑波大学医学専門学群を卒業後、社会福祉法人三井記念病院に内科研修医として入職。消化器内科に進み、おもに肝腫瘍のラジオ波焼灼療法などに関わる。
書名:在宅医療のエキスパートが教える 年をとったら食べなさい
著者:佐々木淳
仕様:四六判並製/260ページ
定価:1273円+税
ISBN :978-4-864108-20-1
発売日:2021年12月7日
発行:飛鳥新社
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