現有戦力から読み解く「2026ドラフトで獲るべき選手」~オリックス編
今年もドラフト会議の季節がやってきた。各球団ともシーズンを振り返りながら、来季に向けた補強ポイントを洗い出し、アマチュア選手の最終的な絞り込みに入っていることだろう。
【今年は即戦力補強の年】
昨季は74勝66敗3分、勝率.529で2位・日本ハムに9ゲーム差をつけられながらも、Aクラスの3位に踏みとどまったが、今季は65勝76敗2分、勝率.461の4位と後退した。
とりわけ顕著だったのが、ホームとビジターでの戦いぶりの違いだ。ホームでは41勝29敗1分と勝ち越した一方、ビジターでは24勝47敗1分。敵地で23もの借金を抱えたことが、順位を下げる大きな要因となった。
ともあれ、まずは投手陣から立て直しを図りたい。一昨年のドラフトでは、支配下指名6人のうち5人が大学生、社会人。昨年は一転して、藤川敦也、森陽樹、佐藤龍月と上位3人を高校生投手で固めた。
それ以前にも「即戦力」と「育成」の年を明確に分けるような指名を見せているだけに、今年は「即戦力」の年と見る。
宮城は長期のリハビリが必要で、来季も開幕から戦力として計算するのは難しい。一軍で実績のある左腕も決して多くなく、左投手の補強は優先順位が高い。
【即戦力左腕は2枚獲りで】
幸い、今年は地元・関西の学生野球界に、期待したくなるような快腕サウスポーが複数控えている。
まずは有馬伽久(がく/愛工大名電→立命館大/投手/175センチ・77キロ/左投左打)。昨秋の明治神宮大会では、右打者へのクロスファイアと切れ味鋭いスライダー、チェンジアップが冴え渡った。今季は春先に指のマメをつぶすなど、本来の調子を取り戻すまでに時間を要したが、地力は大学球界屈指だろう。
その有馬に急追しているのが、星野世那(近江→大阪商業大/投手/179センチ・78キロ/左投左打)だ。近江時代は、春夏の甲子園で活躍したエース・山田陽翔(西武)の控えだったが、大阪商業大では1年秋からリーグ戦に登板。2年春の全日本大学野球選手権では早稲田大を相手に8回11奪三振無失点と好投した。魔球とも言えるチェンジアップを武器に、今が伸び盛りだ。
米沢友翔(ゆうと/金沢→関西大/投手/180センチ・80キロ/左投左打)は今春、一気に評価を高めた。6月の全日本大学野球選手権では4試合に登板して25イニングを投げ、26奪三振、防御率0.72。最高殊勲選手賞(MVP)に輝き、関西大を54年ぶりの日本一へと導いた。
さらに渡辺和大(かずひろ/高松商→慶應義塾大/投手/180センチ・80キロ/左投左打)を加えた左腕4人のなかから、2人を獲得できないだろうか。
渡辺は鋭いクロスファイアの角度と、空振りを奪えるスライダーで勝負できる熱投派。
9月22日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げた3年目の東松快征が飛躍への足がかりをつかんだとはいえ、左腕はファームを含めても決して潤沢とは言えない。そこで3位あたりでは、高校生左腕でもうひと押し強化を図りたい。
持ち球の優秀さなら、智弁学園高の杉本真滉(まひろ/智弁学園/投手/177センチ・86キロ/左投左打)だろう。打者の様子を見抜きながら、緩急と強弱を駆使して巧みにタイミングを外す。その投球センスは、教えて身につくものではない天性の才能だ。東松にとっても大きな刺激となるだろう。
【三遊間のバックアップと大砲候補】
今年のオリックスでもうひとつ気になったのが、紅林弘太郎と宗佑磨が守る三遊間のバックアップだ。
紅林は遊撃で136試合、宗は三塁で134試合に出場。ほぼ1年間ポジションを守り続けただけに、蓄積する疲労は相当なものだろう。故障や不調に陥ってから慌てるのではなく、その前にチーム力を落とすことなく代役を務められる「アンダースタディ(代役として出番に備える俳優)」を用意しておくことが肝要だ。
今季、紅林は遊撃で5失策、宗は三塁で7失策。安定感のある三遊間だけに、生半可な選手ではアンダースタディは務まらない。
そんな緊張感を持って人選した結果、挙がってきたのが光弘帆高(履正社→明治大/遊撃手/178センチ・84キロ/右投左打)だ。名手と評された宗山塁(楽天)のあとを継ぎ、名門・明治大の遊撃を守る。スマートで端正なプレースタイルだった「先代」とはひと味違い、時に豪快でパワフルに映るフィールディングながら、その精度も高い。
三塁手なら、伊藤櫂人(大阪桐蔭→中央大/三塁手/178センチ・84キロ/右投右打)でどうだろう。2022年の選抜優勝の経験値に加え、堅実なフィールディング能力を備える。大砲候補として期待される内藤鵬が足踏みしているのなら、追い抜いてしまえばいい。光弘と伊藤が加入すれば、一級品の打球スピードを持つ野口智哉もうかうかしていられない。
そして、打線にもさらなる迫力がほしい。今季のオリックスは96本塁打でパ・リーグ最少。
右の大砲候補は、高校生に人材を求めたい。「中村剛也(西武)になれる男」と私が見込んだ田中諒(日大三/捕手/180センチ・95キロ/右投右打)か、練習試合で4打席連続本塁打を放った保西雅則(ほにし・まさのり/日本航空石川/投手/190センチ・100キロ/右投右打)はどうか。
田中の肩と身体能力を考えれば、三塁手としての可能性も秘めている。保西は投手としても150キロ前後の速球を投げ込むほどのパワーの持ち主だ。
宮城の長期離脱を考えれば、今年の最優先課題は、即戦力投手、とりわけ左腕の確保だ。その一方で、三遊間の次世代候補と将来の大砲も仕込んでおきたい。もし左腕と右の大砲候補をともに獲得できれば、今季4位からの巻き返しだけでなく、その先のオリックスを支える骨格まで見えてくるはずだ。
安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe










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