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サブカル男子は40歳を超えると鬱になる

2012年7月31日 11時00分 (2012年8月3日 11時35分 更新)

『サブカル・スーパースター鬱伝』(吉田豪/徳間書店) “サブカル男は四〇歳あたりで鬱になるって本当のことですか?”

インタビュアーの吉田豪が、横山やすしのエピソードを語る。
木村一八さんから聞いたんですけど、横山やっさんが晩年トイレで「横山やすしを演じるのはしんどいわ……」って言ってたらしくて、やっさんでもそうなわけですからね。
『サブカル・スーパースター鬱伝』は、「サブカルは四〇超えると鬱になる」というテーゼをもとに、さまざまな「サブカルな人」が、いかに精神的にヤバイことになったかを語るインタビュー集だ。

松尾スズキが語る。
やってるときは無理やり気持ちを上げるから忘れられていいんですけど、現実に戻ってきたときの揺り戻しがキツいんですよね……。もう何度空っぽのバスタブの中で泣いたことか。

リリー・フランキーが語る。
本格的に鬱々としてきてからはもう音楽も聴かなくなるし、映画も観なくなるし、文章も書かなくなっちゃうから。

川勝正幸が語る。
今度は昼間急に眠たくなるっていう、阿佐田哲也よろしくナルコレプシー的な症状が出てしまい。調べたら、どうもお相撲さんがよく罹るという睡眠時無呼吸症候群っぽい。入院して一泊検査をしたら、重度の低呼吸と診断されて。このところ戦闘機のパイロットみたいなマスクを付けて寝てるんですけど、これが実に鬱陶しい……。

ECDが語る。
それで病院に行ったら、診察中にてんかん発作が出て、ヤバいぞっていうんで、救急車で運ばれて、そのまま精神病院の閉鎖病棟に入って。おかげで酒が切れたんですよ、うまい具合に。ホントにそのあと飲みたいと思ったことがなくて。

枡野浩一が語る。
だけど親が入院するときに、「現金を家に置いておくと危険だから預かってくれ」って言われてて。妹と一〇万円ずつ預かってたんだけど、その預かってた一〇万円もついに使っちゃったから、いま実家に帰れなくなっちゃって。

濃厚なサブカル・スパースターによる体験談が赤裸々に語られる。
「文系男子は40歳で鬱病になるって本当?」って帯だが、鬱病の本ではない。
本書で語られているのは、ひろく「鬱状態」と捉えたほうが正確だろう。
だが、本書の大部分は鬱々としたトーンではない。
「サブカルな人」のサービス精神であると同時に病的な側面でもあるのだが、自分の体験を客観的な立ち位置でおもしろくおかしく語る。鬱々とした体験を語る調子は、ある種の「おいしいネタ」である。


登場するのは次の11人。

リリー・フランキー
大槻ケンヂ
川勝正幸
杉作J太郎
菊地成孔
みうらじゅん
ECD
松尾スズキ
枡野浩一
唐沢俊一

そして、最後に、追加インタビューとして、精神科医であり同時に、濃い「サブカルな人」である香山リカが、登場する。

ライター情報

米光一成

ゲームデザイナー/インターフェイスデザイナー/立命館大学映像学部教授/電子書籍部部長。ゲーム「ぷよぷよ」「BAROQUE」「トレジャーハンターG」の脚本監督企画担当。著作『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』。ソニー銀行「人生通帳」インターフェイスアドバイス。「POPEYE」で「あわてない読書」連載中。
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