
Excite:アルバム『ハナミドリ』以来、約半年ぶりのシングルになりますが、そこに至る経緯というのはどんな感じでしたか?

田中:アルバムを出すと何となく一つ山を乗り越える感じがあるので、次の山に向けてどういう道筋で行こうか…みたいな、そんなことを話し合ったりしてましたね。
Excite:具体的には、どのような話を?

田中:とりあえず、今回の「ハローグッバイ」と「羽化の月」を作るにあたって、まずhozzyの中に何となくモヤモヤした塊みたいなものがあって――『ハナミドリ』を出して、「藍坊主ってこういう感じなんですね」みたいなことが、何となく伝わったかなとは思うんですけど、そうやって周りに認識され始めてくると、何かそれをまた壊してしまいたくなるというか…。
Excite:一度組み上げると、今度はそれを壊したくなるみたいな?

田中:そうですね。あと、もう少し単純に、他のバンドには無い、「俺たちはこれなんだ」っていうものを世間に見せていくための道筋というか、そういうのをずっとhozzyは探し続けてたみたいで。
Excite:そうなの?

hozzy:まぁ、大筋は当たってますね(笑)。もちろん、自分たちが今まで作ってきた曲をこの間、全部頭から聴いてみたんですけど、何か自分でもすごく良いと思えるんですよね。音楽的なアプローチとかはちょこちょこ変わってますけど、芯にあるものはあんまり変わってないなって。ただ、それをもっと違った方法で伝えられるんじゃないかっていうのは、すごくその時に思って。だから単純に、まだまだ出来てないなっていうのが、実感としてあるんですよね。
Excite:ちょっと意外ですね。アルバムの達成感みたいなものが、もっとあるのかと思いきや…。

hozzy:だから、あのアルバムは、より中心に向かうための一枚だったのかもしれないですね。自分たちが表現していく上で、まだまだ邪魔なものがいっぱいあるっていう。それは別に、今の自分たちの状況がどうこうとかではなくて、もっと個人的なレベルでの話なんですけど。
Excite:外に対してバンドをプレゼンするみたいなことはある程度は出来たけど、それによって今度はインナーな部分に目が向くようになったってこと?

hozzy:あぁ、そうかもしれないですね。
Excite:噂では、インドに行って来たらしいね。

hozzy:はい、10日間ほど。前々から行きたいとは思ってたんですけど、一番わかり易いところでは、今言われたように、インナーって言ったら、インドじゃないですか(笑)。でも、実際行くとなるとやっぱり勇気がいるので、今まで行けてなかったんですけど、今回はそういうタイミングがピッタリと合って。ちょうどこのシングルのレコーディングが終わって、ミックス確認が終わった次の日から行って来ましたね。
Excite:じゃあ、インド後の音源は今回のシングル以降って感じなんだ?

hozzy:そうですね。いつもすぐには出てこないので、後々そういうのが消化されて出てくるんじゃないかと自分では思ってるんですけど…。
Excite:では、hozzyのインド話は追って…ということで、他の3人はその間、どんなことを考えてたの?

藤森:僕もめちゃくちゃ混沌としてましたね。別にどこかに行くわけでもなかったですけど。で、いつもギリギリくらいになってどうしようってなるから、早めに曲とかを作っておこうかなって、毎日スタジオには通ってたんですけど、結局、一曲も出来なかったですね(笑)。

渡辺:僕はだいたい、彼らの作ってきた曲に対してアプローチするというか、自分から何かをするっていうよりも、それにリアクションしていく立場だったりするので、ツアーが終わった後はいつも通り――毎回そうなんですけど、時間が空くと前々からコピーしようと思ってた曲を練習したりとか、他の人とセッションしたりとか、そういうのばっかりやってましたね。
Excite:渡辺君だけマイペースに過ごしてたんだね(笑)。で、そんな中からこのシングルが生まれたわけだけど――この曲に漂ってる焦燥感みたいなものは、その混沌と関連したりしてるのかな?

田中:そう、焦燥ですよね。多分、その焦燥感みたいなものにとらわれたまま曲を作ったから、この曲が出来たような感じで。多分「羽化の月」も、そんな感じだと思うんですけど――「羽化の月」も、地上の世界というか今の世界から何とか脱出したいっていう歌なので。

hozzy:「ハローグッバイ」の曲自体は、前から藤森が作ってたんですけど、歌詞を付けたのはホント歌入れ直前くらいで。だから、期限的にもすごく切羽詰った状態で書いてたんですよね。これ書けなかったらインドに行けないくらいの感じで(笑)。で、最初に大体の構想ができたときに、今いちばん自分から滲み出てくるものは何かなと思ったら、まあ劣等感とか足りない部分の穴だとか、そういうのだったんですよね。で、何かこの曲にラヴソングを当てていくのも変だし、イントロからすごくガツンと来る曲なので、歌詞もそっちの方面のパワーで押し切った方が絶対に良いなって。
Excite:“劣等感”って…ここまでストレートなこと歌うのって、ちょっと珍しいんじゃないですか?

hozzy:そうですね。歌詞でも“劣等感”って言葉をバーンッと使ってるんですけど、最初ディレクターに「ちょっと変えた方が良いんじゃない?」って言われて。その他のところは普通に比喩的に書いたりしてるので、そこだけちょっと浮いてるんじゃないかって。でも、ここはガッツリ来ないとダメなんですって、納得してもらったんですけど…。
Excite:その言葉に湧き立つ何かがあったんだ?

hozzy:前回のアルバム『ハナミドリ』の歌詞とかって、結構ぼやかして書いてる部分も多かったので、今回は何かもっと実体があるような感じで書きたかったんですよね。あと、『ハナミドリ』が何となくイメージ通り形にできたからって、そこで安心とかしちゃうと、何か気持ち的にまったりしちゃうじゃないですか。やっぱデビューした頃と『ハナミドリ』のどっちがアグレッシヴかって言ったら、デビューの頃のがアグレッシヴだったと思うし。それは演奏的なこととかじゃなく、気持ち的な部分で。だからまた、ここらへんで一回そういう部分を取り戻しておいた方が良いのかなって。バンドって年数重ねていくと、だんだん落ち着いて行ったり――もちろん、それはそれでまた良かったりするんですけど、まだまだ俺らはペーペーなので、そこで熱さみたいなものが無いと、ちょっと駄目かもなっていう。何か今回、そういうのが欲しかったんですよね。
Excite:他のメンバーは、この曲に関してどんな感想を?

田中:曲自体は藤森が作ったんですけど、僕の中ではすごく藍坊主の王道的な感じがしたんですよね。『ヒロシゲブルー』あたりからの藤森の流れにある曲だなって。で、そういう藍坊主らしいメロディに――藤森の曲にhozzyが歌詞を付けるっていうのは、『桜の足あと』ってシングルあたりからやり始めた手法なんですけど、何かそれが今回より密着度が高くなったというか、メロディと歌詞の組み合わさり方が、バッチリはまってるような気がしましたね。

藤森:実は、僕自身もすごい劣等感の塊だったりするので、それを何か歌詞で上手く表現してくれてるなっていうのがあって――この歌詞の中の登場人物が、だんだん自分に見えてくるんですよね。その劣等感から走り出して行く感じとか、それが個人的にバンドを始めたきっかけとかにもすごい繋がってる感じがして。僕自身、高校のときとか別に何をやってるわけでもなかったんですけど、何もやってないからこそ生まれる劣等感はずっとあって。hozzyと出会って、「コイツとだったら一緒にバンドやれるんじゃないか?」って思ったり。そうやって、歌詞に出てくる<ドーナツの穴>みたいな部分を認めて、前に進んでいく様っていうのが、すごくバンドの有様とリンクするっていうか、昔の自分とリンクするんですよね。
Excite:期せずして思い入れの強い歌になったんだ。