アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 酔杯 2008 ~THE FINAL~ | 2008.12.13(SAT) at 日本武道館 |
アルバム『サーフ ブンガク カマクラ』のリリースを受けてスタートした、今年2回目となるアジカンの全国ツアー。その終盤を飾る武道館公演2日目は、最新シングル「藤沢ルーザー」によって幕を開けた。しかし、【ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 酔杯 2008 ~THE FINAL~】というツアータイトルからも分かるように、これは『サーフ ブンガク カマクラ』をメインとしたツアーではない。よって、挨拶程度の短いMCを挟んで8曲目まで一気に畳みかけられた演奏曲には、『崩壊アンプリファー』や『君繋ファイブエム』といった初期のアルバムの収録曲、さらにはデビュー前からある楽曲「Hold me tight」など、かなり初期の楽曲が数多く並べられていた。
アリーナに張り出した半円形のステージや、それを覆うように掲げられたLEDヴィジョンなど、彼らにしては珍しく大掛かりに作り込まれたセット。開幕直前には、オルゴールの音色に乗せて、LEDヴィジョンにメンバーのオフショットが次々と映し出され、最後には“THE FINAL”という文字が浮かび上がるなど重厚な演出が随所に施されていたが、その裏コンセプトは「もし仮に、今、解散するとなったら、どの曲をやるのか?」であった模様(笑)。とはいえ、MCで後藤も語っていたように、そんな重厚な演出の中にも時折、客席から笑みがこぼれてしまう“気安さ”がアジカンらしさであり、彼らの魅力でもあるのだが。
そんなMCを受けた中盤、「リライト」、「ループ&ループ」、「君の街まで」など、次々と披露されて行ったアルバム『ソルファ』の収録曲。そして、アルバム『ファンクラブ』を導いてゆくことになる重要曲「ブルートレイン」。まるで、アジカンというバンドの歴史を緩やかに辿って行くかのような曲順だが、そこで改めて思ったのは、彼らの進化とは決して直線的なものではなく、むしろ“らせん”状に上がって行くような進化であるということだ。一つの“型”にとらわれることなく、新たなアンサンブルを次々と開拓&構築して行くこと。しかも、安易に他の音を足すのではなく、あくまでもギターロックというフォーマットの中で、それをやって行くこと。その過程で獲得した、レンジの広いアンサンブルと演奏力は、この日もいかんなく発揮されていたように思う。
そして終盤。「転がる岩、君に朝が降る」が鳴り始めた瞬間、個人的にグっと胸に押し迫るものを感じた。リラックスした雰囲気の中、何を気負うこともなく、彼らの根幹にある素朴且つ重要な“想い”を率直に歌い上げたこの曲。アルバム2枚にミニアルバム1枚、さらには【NANO-MUGEN FES.2008】 の開催――まさしく“怒濤”と言って良いだろうアジカンの2008年は、思えばこの曲のリリースから始まったのだった。ダブル・アンコールまで含めて全26曲、そのうち11曲がシングル曲というのも驚きだが、それらの集大成としての意味合い以上に、その積み重ねの果てに、2008年のアジカン絶好調があるのだということを改めて感じさせるような、とても説得力のあるライヴだったと思う。
この5日後に行われた大阪城ホール公演にて、年内のライヴは終了。しかし、明けて1月9日からは、北海道を皮切りに再び全国ツアー【Tour 2009 「ワールド ワールド ワールド」】がスタートする。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの“怒濤の”勢いは、まだまだ止まりそうもないようだ。
(取材・文/麦倉正樹)