『維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想』(中央公論新社)著者:植木 雅俊Amazon |honto |その他の書店
聖徳太子が著した『三経義疏(ぎしょ)』の一つに『維摩経義疏』という注釈書がある。本書はその原典の内容と意義について、新しい知見を踏まえて詳しく解説したものである。


『維摩経』は三幕戯曲のような形を取っており、古代インドの商業都市ヴァイシャーリーがその舞台になっている。主要な登場人物は在家菩薩のヴィマラキールティで、その名前は「維摩」や「維摩詰」と漢訳された。原典のサンスクリット語の名称は「ヴィマラキールティの教え」との意味で、鳩摩羅什(くまらじゅう)訳『維摩詰所説経』にちなんで、『維摩経』と通称されている。

インド仏教史の流れにおいてこの経典の意義を読み解いたのが本書の特色である。伝統的・保守的な小乗仏教を批判し、大乗仏教を宣伝する目的で編纂(へんさん)された『維摩経』はどのような時代背景のもとに成立したか。如何(いか)なる宗教思想を伝えようとしているか。また、同じ大乗仏教経典でも、さきの時代に成立した『般若経』と、後の『法華経』とどこが違うか。それらの問題について、具体例を挙げながら、詳細に紹介されている。仏教の奥深さを知るための、手近な道案内である。

【書き手】
張 競
1953年、中国上海生まれ。明治大学国際日本学部教授。上海の華東師範大学を卒業、同大学助手を経て、日本留学。
東京大学大学院総合文化研究科比較文化博士課程修了。國學院大学助教授、明治大学法学部教授、ハーバード大学客員研究員などを経て現職。著書は『恋の中国文明史』(ちくま学芸文庫/第45回読売文学賞)、『近代中国と「恋愛」の発見』(岩波書店/一九九五年度サントリー学芸賞)、『中華料理の文化史』(ちくま新書)、『美女とは何か 日中美人の文化史』(角川ソフィア文庫)、『中国人の胃袋』(バジリコ)、『「情」の文化史 中国人のメンタリティー』(角川選書)、『海を越える日本文学』(ちくまプリマー新書)、『張競の日本文学診断』(五柳書院、2013)、『夢想と身体の人間博物誌: 綺想と現実の東洋』(青土社、2014)『詩文往還 戦後作家の中国体験』(日本経済新聞出版社、2014)、『時代の憂鬱 魂の幸福-文化批評というまなざし』(明石書店、2015)など多数。

【初出メディア】
毎日新聞 2026年9月5日

【書誌情報】
維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想著者:植木 雅俊
出版社:中央公論新社
装丁:新書(320ページ)
発売日:2026-05-22
ISBN-10:4121029119
ISBN-13:978-4121029119
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