「夫と別れた後、自分だけで暮らしていけるの?」――熟年離婚を考えたとき、多くの人が最初にぶつかる壁です。夫婦関係が苦しく離婚したい気持ちはあるけれど、経済的に不安……といった理由で一歩を踏み出せない人は少なくありません。


お金に関する不安から人生の選択を誤らないためにも、まずは現実を知ることが大切です。今回は、熟年離婚を考えたときに確認しておきたい「お金のチェックリスト10」をご紹介します。

■セルフチェック|お金のチェックリスト10
離婚するにしても離婚しないにしても、経済力は大切な土台です。離婚につきものの「慰謝料」や「養育費」だけでなく、ほかにも確認しておく必要があります。

まずは下記のチェックリストで、現在の状況を整理することからはじめてみましょう。

▼Q1.「預貯金はいくらある?」夫婦の共有財産として分ける対象になる預貯金は、現在どのくらいあるか知っていますか?

結婚後に築いた財産は、名義が夫だけでも財産分与の対象になる場合があります。とにかく、まずは全体像を把握すること。ここが“はじめの一歩”です。

▼Q2.「退職金は対象になる?」意外と見落としがちなのが退職金です。

将来受け取る予定の退職金も、婚姻期間に対応する部分については財産分与の対象になる可能性があります。金額が大きいため、必ず確認しておきたい項目です。

▼Q3.「年金分割はできる?」熟年離婚では、とても重要な制度です。
婚姻期間中の厚生年金記録を分割できるため、離婚後、特に老後の生活設計に大きく影響します。

「年金分割なんて知らなかった」という人も少なくないので、年金事務所などで相談しておきましょう。

▼Q4.「持ち家はどうする?」特に、「自宅を売却するのか、夫か妻のどちらかが住み続けるのか?」と「住宅ローンの残債がある場合はどうしたらいいのか?」という2点は大きなお金が動くこともあり、大事な問題です。

感情だけで決めず、持ち家の資産価値も含めて確認しておきましょう。

▼Q5.「保険はどうなっている?」生命保険や個人年金保険なども、場合によっては財産分与の対象になります。加入している夫婦それぞれの保険の契約内容や解約返戻金を確認しておくことが大切です。

▼Q6.「借金やローンはない?」財産だけでなく負債も確認が必要です。住宅ローン、自動車ローン、カードローンなど、把握していない借入れがないかチェックしましょう。

▼Q7.「自分の収入だけで生活できる?」離婚後の働き方も、自分自身の幸せに直結する大切なテーマです。

「今の仕事を続けるのか?」「勤務時間を増やすのか?」「新しい仕事に挑戦するのか?」など、目標を定め、それにともなう収入と支出を書き出してみると、現実が見えてきます。

▼Q8.「住まいは確保できる?」住むところは、離婚したその日から生活の基盤になるものです。

「賃貸に住む場合、敷金礼金、更新料も含め、家賃はどれくらいかかるのか?」「実家のサポートは受けられるのか?」など、早めにシミュレーションしておくと安心です。


▼Q9.「頼れる人はいる?」お金だけでなく、人の支えも大切な財産です。

あなたが困ったとき、本音で相談できる家族や友人はいますか? 親身になって話を聞いてくれる相手は貴重です。精神的な支えがあるだけで、将来への不安は大きく変わります。

▼Q10.「“最悪の場合”を想定している?」ポジティブに考えることは大切ですが、それはただ楽観視することではなく、入念な準備をしておいた上での話です。

「もしも、収入が想定より少なかったら?」「もしも、病気になったら?」「もしも、仕事が見つからなかったら?」といった、最悪のケースも考え、それぞれ対策をたてておくと、安心感が生まれます。

■離婚後の不安は「お金の現実を知ること」で軽減できる
熟年離婚に限らず、離婚を考えるときにお金の話は避けて通れません。

お金の現実を知る目的は、あなたを「苦しめるため」ではなく「自由にするため」です。実際にシミュレーションをしてみると、「思ったより厳しくないかもしれない」と感じる人もいますし、「今は離婚せず準備期間にしよう」と冷静な判断ができる人もいるはずです。

大切なのは、離婚するかしないかを感情だけで決めることではありません。まずは、自分の人生を支える土台を整えること。経済的な安心は心の安心にもつながるからです。経済力は、離婚のための武器ではなく、人生の選択肢を増やす力なのです。


離婚か修復か、どちらの道を選ぶにしても「私は自分で生きていける」という感覚は、きっとあなたの大きな力になるはずです。

▼岡野 あつこプロフィール夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。32年間で相談件数3万8000件以上、2200人以上の離婚カウンセラーを創出。著書多数。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』。
編集部おすすめ