「もう離婚しかないのかなと思いながら、本当は心のどこかで迷っているんです」という熟年夫婦の相談は少なくありません。それでも実際には、離婚寸前まで関係が悪化しながらも立て直した夫婦はいます。
彼らは何をしたのでしょうか?

意外かもしれませんが、最初にやったことは「新たに何かを始める」のではなく、「やめること」を決めたのです。熟年離婚寸前から関係修復した夫婦が最初にやめた3つのことをご紹介します。

■離婚寸前の夫婦がやめたこと1.「どうせ分かってくれない」と決めつける
関係が悪くなる夫婦に共通しているのが、「どうせ言っても無駄だろう」という思い込みです。

「話しても伝わらない」「どうせ理解してもらえない」などと思うようになると、会話そのものをやめてしまいます。やがて夫婦関係を修復するチャンスまで失うことになります。

【事例1】
60代のKさんは、夫に何を言っても反応が薄いため、必要最低限の会話しかしなくなっていました。ところがある日、「今日は病院でこんなことがあったのよ」と何気なく話してみたところ、夫が珍しく質問を返してきたそうです。そこから少しずつ、夫婦間の会話が戻っていったといいます。ここがポイントです。

【アドバイス】
まずは、「どうせ分かってくれない」という思い込みを手放し、「今日こんなことがあったよ」という雑談から始めてみましょう。会話の再開は、関係修復の第一歩です。

■離婚寸前の夫婦がやめたこと2. 相手をマイナス採点する
関係が苦しくなると、私たちは相手の欠点ばかりが目につきます。
「またやっていない」「また忘れている」「また同じことを言っている」などとマイナス採点を積み重ねるほど気持ちは離れていきます。

【事例2】
50代のMさんは、「夫のいやなところなら100個言える」という状態でした。ところが、カウンセリングで「最近、夫がしてくれたことを3つ挙げてください」と問いかけると、「ゴミ出しをしてくれた」「電球を替えてくれた」「体調を気遣ってくれた」と答えました。「意外といいところもあった」と、Mさんは夫がいることにプラスの面もあることに気付くことができました。

【アドバイス】
完璧を求めるのをやめて、「やってくれたこと」に目を向けてみましょう。そして「ありがとう」を言葉にする……感謝の言葉には、夫婦関係の空気をじわりと変える力があります。

■離婚寸前の夫婦がやめたこと3. 近づきすぎ・遠ざかりすぎ
熟年夫婦の悩みで意外と多いのが、距離感です。「ずっと一緒にいようとすると、息苦しくなる」「一緒にいることを避けると、完全に無関心になってしまう」――近づきすぎても、遠ざかりすぎても、関係は苦しくなるものです。

【事例3】
50代のCさん夫婦は、毎週末必ず一緒に過ごしていましたが、それがかえってストレスになっていました。そこで「昼間は別々に過ごし、夜は一緒に食事をする」というスタイルに変更したところ、互いの不満が減り、会話も増えていったといいます。

【アドバイス】
「夫婦関係を改善する=2人の距離を縮める」と限定して考えなくてもいいのです。「それまでは別々でも、寝る前には一緒にお茶を飲む」「テレビを観る時だけ隣に座る」――互いが心地よいと感じる距離感を、少しずつ探していけばいいのです。


■関係修復は「始めること」より「やめること」から
熟年離婚寸前から関係修復した夫婦がやめた3つは、「『どうせ分かってくれない』という決めつけ」「相手へのマイナス採点」「極端な距離感」の3つです。

その代わりに始めたのは「会話」と「感謝」。どちらも特別なことではありません。でも、この小さな積み重ねこそが、凍っていた夫婦関係を少しずつ溶かしてくれるのです。

熟年離婚を考えて苦しくなった時こそ、焦って結論を出さなくても大丈夫です。まずは「やめること」を1つ決めてみてください。その小さな変化が、これからの人生を大きく変えるきっかけになるでしょう。

▼岡野 あつこプロフィール夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。32年間で相談件数3万8000件以上、2200人以上の離婚カウンセラーを創出。著書多数。
近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』。
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