人生100年時代を迎え、老後のお金について「将来が不安で、過度な節約に走ってしまう人」もいれば、「計画なしに使ってしまい、貯金の目減りに焦る人」も少なくありません。

老後のお金は、いつ、どのように取り崩していけばいいのでしょうか。
経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに教えてもらいました。

■不安の正体は、全体像が見えていないこと
老後のお金を上手く使えない人も、使いすぎて焦る人も、老後不安の本当の正体は、これからの人生でいつ、何に、いくらお金がかかるのかという全体像が見えていないからです。

いくら使うかではなく、手元にある老後資金を正しく分けて考えることから始めてみましょう。

■老後のお金は「3つ」の引き出しに分けて考える
漠然としたお金の不安をなくすためには、60歳(定年を迎えているなら今すぐ)の時点で、手持ちの資産を「3つ」に整理することをおすすめします。

具体的には、次の3つに分けて考えます。

▼1. 基本生活費の予備資金(65歳以降)定年後の食費や交際費など、日々の支出(生活費)は、給与や年金などの収入でプラスマイナスゼロにできるのが理想です。

ただし、足りなくなる可能性に備えて、年50万~100万円の不足に補えられるよう準備しておきます。このとき夫婦で月5万円ずつでも70歳まで働き、収入で補える時間を長くできると安心です。

▼2. ライフイベント費(60歳~75歳で使うお金)60歳以降のライフイベントはそこまで多くありませんが、ここでは家のリフォーム代、夫婦での海外旅行、車の買い替えなど、まとまって出ていくお金として考えます。

目安として1000万円程度を読んでおきますが、ここは家庭や人によって異なります。この出費は一定の収入がある65歳までに、ある程度済ませておくのが賢い選択です。

▼3. 医療・介護費(85歳以降に備えるお金)これは、ずばり、人生の最終盤で必要になる、絶対に手を付けてはいけない資金です。
最低でも1人500万円(都内在住なら、できれば1人1000万円)は残しておきたいところです。

このお金の準備に手が回らないという場合は、NISAなどの投資信託で運用し、資産寿命を延ばす仕組みを作っておけると安心です。

このように、あらかじめ老後のお金を3つに分けて使い道を明確にしておけば、使い過ぎる心配がなくなると同時に、守るべきお金が確保されている安心感から、使いたい時にお金を躊躇(ちゅうちょ)なく使えるようになりますよ。

文:酒井 富士子(経済ジャーナリスト)
「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルートに転職し、定年あるじゃん、あるじゃん投資BOOK等の立ち上げ・編集に関わる。2006年にお金専門の制作プロダクション「回遊舎」を創業。「ポイ活」の専門家としても情報発信を行う。
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