家計の支出には、大きく分けて「払うべきお金」と「使いたいお金」の2つがあります。今回は、一生貧乏から抜け出せない人が、知らず知らずのうちにこの2つの順番を逆にしてしまっている実態について解説します。
■家計の「土台」を支える「払うべきお金」とは何か
家計を安定させ、生活を維持するために何よりも最優先しなければならないのが「払うべきお金」です。具体的には、以下のような支出が挙げられます。
・万一の事態に備える「火災保険や自動車保険」
・暮らしの基盤である「家賃や住宅ローン」
・心身の健康を維持するための「医療費や健康診断代」
・日常を維持するための「最低限の生活費」
・住民税や固定資産税などの「税金」
・国民年金や健康保険料などの「社会保険料」
これらは支払ったからといって、その瞬間にうれしくなるようなものではないかもしれません。しかし、病気や災害、不慮の事故など、人生における「万一の危機」が起きたときに生活を守るために必要なお金であり、文字通り「家計の土台」となるものです。
■「使いたいお金」が悪いわけではない。問題はその「順番」
一方で、以下のような支出は生活を彩り、人生を豊かにしてくれる「使いたいお金」です。
・旅行やレジャー
・外食やちょっとぜいたくなグルメ
・趣味の道具や習い事
・ブランド品や洋服の購入
・好きなアイドルや趣味を応援する「推し活」
・友人との楽しい飲み会や交際費
誤解してはならないのは、これらを楽しむこと自体は決して悪いことではない、という点です。人生には適度な潤いや楽しみが必要です。問題なのは、「今が楽しければいい」「後からなんとかなるだろう」と、払うべきお金を確保する前に、使いたいお金へ先に手をつけてしまうことです。
例えば、「旅行の予算はあるけれど、自動車税は手元になくて納税を先延ばしにしている」「趣味には毎月数万円を使うが、健康診断はお金がかかるからと何年も受けていない」「美容代には高いものを買うのに、万一に備える地震保険をケチっている」など。
このような状態の足元(家計の土台)では、いつ崩れてもおかしくないほどグラグラしたものになってしまうでしょう。
■必要経費の「後回し」が、将来さらに大きなお金を奪っていく
「払うべきお金」を後回しにすると、一時的に手元にお金が残ったような錯覚に陥りますが、長期的には大きな不利益を被ることになります。
実際、税金を滞納すれば、「延滞金」が上乗せされてしまいます。健康診断を後回しにした結果、大きな病気の発見が遅れれば、多額の治療費がかかるだけでなく、仕事を休むことになり収入が減少するリスクも生まれます。
必要な保険の加入や見直しを怠っていれば、災害や事故に遭った瞬間に家計が破綻してしまうこともあります。お金の優先順位を間違えた家計は、さまざまな負のスパイラルを招き寄せてしまうことにもつながるのです。
■家計管理の達人は「生活資金を知り確保する」
「払うべきお金をきちんと管理して確保し、全ての支払いを済ませた『本当に自由に使えるお金』だけで、趣味や旅行を100%罪悪感なく楽しむ」
本当に家計管理が上手な人は、このように「生活を守る支出(払うべきお金)」を最初にガッチリと確保しています。
一生貧乏や老後破産を遠ざけるためにも、まずは生活の土台を整え、強固な守りを作った上で、人生を豊かにする楽しみを満喫しましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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