70歳のH子さんは、食品や日用品の支払いにはクレジットカード、細かな支払いには現金を使うつもりでいました。しかし、実際には明確な使い分けができず、現金が足りなくなるたびにATMへ。
気付けば月に何度も現金を引き出し、「今月、いくら使ったのか分からない」と感じることもありました。

そこで、カードと現金を何に使うのかを整理し、現金を引き出すのは月1回と決めました。今回は、H子さんが支払い方法を見直し、お金の流れを把握しやすくした体験をご紹介します。

■まず「現金は何に使う?」を決めた
H子さんが最初にしたのは、普段の支払い方法を整理することでした。

食品や日用品など、日常生活に必要な買い物はクレジットカード。利用明細で支出を確認できるうえ、ポイントも貯まります。

一方、現金を使うのは、病院や薬局、美容院、知人と喫茶店でお茶をするときなど少額の支払いです。「こうやって分けてみると、現金を使う場面って、そんなに多くない」ということが分かりました。これまで何となく現金を使っていましたが、支払い方法を決めると、毎月どのくらい必要なのかも見えてきました。

■手帳の予定から「必要な現金」を考える
次にH子さんがしたのが、手帳の中身の確認です。

病院は月1回、美容院は2カ月に1回。趣味の集まりは月2回あり、そのうち1回は帰りに仲間と喫茶店でお茶をします。


そこで、月初めにその月の予定を確認し、病院や美容院、喫茶店などで必要になる金額を計算。その金額に予備として5000円を加え、必要な分だけ現金を下ろします。

「現金が足りなくなるたびにATMへ行くのではなく、先に必要な金額を考えておけばいい」と考え、現金を下ろすのは月1回と決めました。

財布に入れる金額を先に決めておけば、「とりあえず多めに下ろしておこう」ということもありません。月末に現金が残った場合、H子さんはその金額を翌月分に繰り越し、翌月に引き出す金額から差し引いています。こうすることで、必要以上の現金を引き出さずに済むようになりました。

■「ATM通い」をやめたら、お金の流れが見えてきた
月1回だけ現金を引き出すようにすると、通帳の見方も変わりました。

これまでは何度も現金を下ろしていたため、その月に何にいくら使ったのか分かりにくかったとのことですが、今ではその月に現金として使うために引き出した金額が、通帳を見れば分かります。食品や日用品などのカード払いは、利用明細で確認できます。

さらに、カード払いにまとめた日常の買い物では、ポイントも貯まるようになりました。

H子さんが最初に目指したのは、「ATMへ行く回数を減らすこと」でしたが、結果として家計全体が見えやすくなったのです。

■手帳を見る習慣が、生活の整理にもつながった
もう1つ変わったのが、毎月の予定を確認する習慣です。
病院、美容院、趣味の集まり、友人とのお茶など、その月にどんな予定があるのかを手帳で確認してから現金を準備します。

そのため、お金の管理をするつもりで手帳を開きながら、自然と自分の生活予定も整理されるようになりました。定期的に入っている予定と、その月だけの予定を分けて確認すれば、必要なお金も先に準備できます。

このように、お金の予定と生活の予定を一緒に確認することで、毎月の暮らしそのものが見えやすくなったとH子さんはいいます。

■「現金をどう使うか」を決めるだけで、家計はシンプルになる
H子さんが始めたのは、難しい家計管理ではありません。

現金を使う場面を決める。カードを使う場面も決める。手帳を見て、その月に必要な現金を計算する。そして、ATMへ行くのは月1回。これだけです。

これまで「現金がなくなったら下ろす」と何となく繰り返していたところを、「必要な金額を先に考える」という方法に変えたことで、お金の流れが分かりやすくなりました。

カードのポイントが貯まり、ATMへ行く回数も減ったうえ、毎月の予定まで確認できます。
「現金とカード、どちらを使うか」ではなく、「何に使うお金なのか」を先に決める。

このようなシンプルなルールは、支出を管理するだけでなく、自分の暮らしを見直すきっかけにもつながるでしょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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