橋本愛と佐藤二朗をめぐる「ハラスメント」問題が、連日ネットを賑わせている。
「」付きにしたのは、実際ハラスメントと言えるかどうかも疑問だからだ。
ドラマで夫役の佐藤が、撮影中、アドリブで妻役の橋本の顎を触ったのが発端。橋本が過去のトラウマを想起し身体接触を制限したいと求め、佐藤は橋本の楽屋を二度訪れる。文春・フジは、楽屋で佐藤が発した「あなたは役者を続けるべきでない」という発言に橋本が涙の止まらない状態になり、フジ側の弁護士が佐藤の発言を「ハラスメント」認定したと報じた。一方、週刊新潮の取材に応えた佐藤によれば、発言は恣意的に切り取られており、橋本も笑顔で応えてくれたとのこと。しかも、その後のフジの対応から、佐藤は睡眠障害を悪化させたという。
楽屋で話した後、実際に橋本がどんな反応をしていたのかは断定できない。「涙が止まらない」というのはいかにも演出くさいが、しかし年下の女性が年上の男性に対して笑顔でその場を取り繕い、本心は傷ついているというのはままあることなので、佐藤の話も一考の余地がある。おそらく傷ついて泣いたのは事実だろう。
最初の報道の時点では、橋本が事前に制限を依頼していたのに、佐藤のマネージャーがそれを佐藤本人に伝えなかったのが原因とも見えた。しかし詳細が明らかになると、橋本側が事前に提示したのは「キスシーンやベッドシーンの制限」であり、日常の演技での接触は問題ないとしていたことがわかった。
本稿は、記者が橋本愛と同世代の女性だから、その視点から語れることがあればと依頼され書いている。
文春・フジ(つまり、橋本を被害者としている側)は、「顎を触られたことは問題視していない」「発言がハラスメントである」という立場だ。本当だろうか? セクシャルハラスメントとまでは言わないにせよ、身体接触が橋本にとって「問題」だったからこそ、制限を求めたのではないか。そしてそれは、「佐藤が触った」という問題ではなく、「橋本が、触られて不快に感じた」という問題なのだ。
要は、「制限をお願いしていたじゃないか」ではない。「日常的な接触は大丈夫だと思っていたが、今回の接触はトラウマを想起してしまった。事前には想定できていなかった状況になったので、基準を考え直してもいいか」という、“傷ついた事実ベース”の話で進めるべきではなかったか。
■橋本愛だけが守られる状況がおかしい
接触で不快感を抱いたのは事実だ。それは動かせない。そしてそれは佐藤のせいではない。
そして、件の発言。佐藤がいきなり楽屋に乗り込んで「役者を続けるな」とだけ怒鳴るのは考えづらいので、前後の文脈があるだろう。その場の会話の前後だけでなく、佐藤がそのように思うに至った日々の文脈もあるはずだ。激しく言ったにせよ、優しく言ったにせよ、かなり踏み込んだ発言ではある。言われて傷つくのは無理もない。しかし、その傷つきは本当に「被害」なのか。
佐藤は、身体接触の制限の基準が変わったことにストレスを受けたと明かしている。記者は日頃から佐藤のXを見ているので佐藤贔屓になってしまうが……騒動後の怒りを表したポストを見て、ただごとではないと思った。ここまで言うには理由があるだろうと。橋本が傷ついたのは事実だが、佐藤もまた、明らかに傷つき疲弊していた。
佐藤は強迫性障害を患っていると明かしている。今回のように演技に制限をかけられると強い負担がかかってしまう。騒動の中で、佐藤は果たしてケアされていただろうか? フジは橋本を守っており、フジの弁護士から佐藤への注意があった。それだけでもケアの不足、それどころでなくストレスの上塗りが想像できる。楽屋に直接話しに行ったことや、声明の出し方は悪手だが、ケアされないままストレスで感情的になり、悪手を選んでしまうのは無理もないのではないか。
「強迫性障害で演技できなくなるなら、あなたこそ役者をやめるべきでは」という声もXで見かけた。言葉を返すが、強迫性障害がケアされないのなら、トラウマもケアされるべきでない。
佐藤も泣けばケアされたのか? 橋本側は、まるで撮影当時本人が楽屋に閉じこもった時のように、たった六行の声明を出して黙りこくっている。なぜ毅然として対応しないのか? なぜ同じように感情的なさまを見せても、片方は守られ、片方はつるし上げられるのか。
まあ、見方を変えれば、佐藤の行動は「炎上させやすいから」加害的に描かれた節があるだろう。だから問題視されていないはずの身体接触のアドリブを大袈裟に取り上げたのではないか。そうだとしたら、善悪を議論したところで何の意味もない。
文:BEST T!MES編集部
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