「仕事は消えない。消えるのは作業だ」

「AIが進化すれば、人間の仕事は奪われる」――。
毎日のようにメディアで繰り返されるこのフレーズに、漠然とした不安を抱いている方は少なくないでしょう。特に弁護士や司法書士といった、高い専門知識を武器にしてきた「士業」の世界は、真っ先にAIに飲み込まれると言われています。

しかし、私はそうは思いません。結論から言えば、消えるのは「仕事(職種)」ではなく、その中にある「作業」です。そして真の脅威は、AIそのものではなく「AIを使いこなす同業者」なのです。

AIは優秀なアシスタント


すでに海外の先進的な法律事務所では、AIを日常業務へ深く組み込んでいます。そこでのAIは、人間の仕事を奪う敵ではなく、優秀な「部下」や「アシスタント」のような位置づけです。たとえば、情報整理、記録、文書ドラフト、ナレッジ共有、業務効率化等のいわゆる「机の上の事務作業」はAIが圧倒的なスピードで片付けてしまいます。

ここで、AIに「消される仕事」と「残る仕事」の境界線が明確になります。 法律の条文を暗記していることや、過去の判例を調べること、定型の書類を間違いなく作成すること。これらはすべて「作業」であり、AIの得意分野です。もし、仕事がこうした作業の切り売りだけで成り立っているなら、その領域は近い将来、確実に消えてなくなると思います。
しかし、人間の役割はそこにはありません。
AIが驚異的なスピードで集めてきた情報や、作成した書類のベースをもとに、「最後の判断をし、責任を持って決断を下すこと」。これこそが、人間にしかできない「残る仕事」の本質です。AIは専門職としての判断を代替しません。

本当の脅威はAIではない、AIを武器にしたライバルだ


これは士業に限らず、あらゆるビジネスパーソンに共通する生存戦略です。AIを使いこなす先進的なプレーヤーは、作業効率を何倍、何十倍にも高めています。AIに怯えて敵対するのか、それとも最強の相棒として迎え入れるのか。今、私たちはその選択を迫られています。まだ大丈夫だと思っている人ほど、実は一番危ない。高い生産性を上げるライバルに遅れをとらないためにも、個人情報、機密情報、機微情報の取り扱いには明確な制限を設けたうえで、今すぐAIを隣の席に座らせ、自分にしかできない「決断」の価値を磨き始めるべきだと感じています。

島田雄左 株式会社スタイル・エッジ代表取締役社長。1988年、福岡県生まれ。24歳で司法書士事務所を開業。
国内トップ規模の士業グループに成長させる。その後、自身の経営経験を元に、株式会社スタイル・エッジ代表取締役に就任。共創型ビジネスモデルとして士業や医業のコンサルティングを行っている。YouTubeやXで法律、仕事、マネーリテラシーなどさまざまな情報を配信中。著書に『士業経営』『人生で損しないお金の授業』(共に税務経理協会)がある。公式サイト:https://styleedge.co.jp/、X:@shimadayusuke66 この著者の記事一覧はこちら
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