肥満症治療薬として正規承認されているのはウゴービ(セマグルチド)ですが、実際に「痩せ薬」として話題になっているのは糖尿病薬のマンジャロです。なぜ適応外の薬がここまで広がったのか、その背景を総合内科医の中路先生に解説していただきました。
今回のテーマは「マンジャロが社会現象化した背景」です。
「桁違いの効果」がSNSで拡散
マンジャロは、食欲・血糖値を調節する2つのホルモンに同時に働きかけることで、これまでの薬を大きく上回る体重減少効果を発揮します。中路先生によると、海外の臨床試験では最大用量で約20%の体重減少が報告されており、この強力な効果がSNS上でさらに誇張されて拡散したとのこと。その結果、「打つだけで痩せる魔法の注射」というイメージだけが一人歩きしていきました。
適応外の薬のほうが入手しやすいという逆転現象
本来、肥満症の治療薬として正式に承認されている「ウゴービ」は、BMIの数値や、国が認めた専門施設でしか扱えないといった厳しい条件があるため、簡単には処方されません。
一方で、本来は糖尿病の薬である「マンジャロ」は、自由診療のオンライン「ダイエット外来」などで、比較的甘い基準のまま処方されている現状があります。「条件を満たした正規の薬ほど手に入りにくく、目的外の薬のほうが簡単に手に入るという逆転現象が起きている」と中路先生は話します。
この異常な需要のせいで、本当に薬を必要としている糖尿病患者さんへの供給が追いつかなくなっています。安易なダイエット目的の使用が、実際の治療現場に深刻な影響を及ぼしている現状を重く受け止めるべきだと中路先生は強調します。
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