近年は猛暑や豪雨、熊の出没などの影響で、以前に比べて子どもが外遊びする機会が減っています。暑い日や雨の日、子どもがいる家庭ではどのように過ごしているのでしょうか。


マイナビニュースでは保護者を対象にアンケートを実施するとともに、子どもの遊びや成長に長年携わり、自身も10歳の娘を育てるボーネルンド代表取締役社長・中西みのりさんに話を聞きました。
○外遊びできない日、自宅での過ごし方で悩んでいることは?

マイナビニュース読者で0歳~12歳の子どもを育てる保護者172人に、暑い日や雨の日の過ごし方についてアンケート調査を実施しました。暑い日や雨の日に過ごす場所や、過ごし方についての悩みなどの回答結果を紹介します。
○暑い日や雨の日、子どもはどこで遊んでいる?

遊び場として最も多かったのは「自宅」。「友人宅」や「実家・祖父母宅」などのバリエーションも見られます。一方で、商業施設内の遊び場を利用する家庭も多く、暑さや天候の影響で屋内施設へのニーズが高まっている様子がうかがえます。
○暑い日や雨の日の過ごし方、保護者が感じている悩みは?

最も多かった悩みは「動画・ゲーム時間が増える」こと。運動不足や子どもが退屈する、などに加え、「家が散らかる」「親が疲れる」「お金がかかる」など、保護者自身の負担も大きいことがわかりました。

具体的な内容は
「朝から暑すぎて公園に行けず、結局YouTubeばかり。『あと1本だけ』が何回も続いてしまう」(福岡県・49歳・男性)
「どこにも連れて行かないと1日がムダになったような気がしてならない」(東京都・49歳・女性)
「外へ行かない日はなかなか夜寝てくれなくて困る」(神奈川県・35歳・女性)
「家で過ごす時間が増えると、友だち付き合いなどコミュニケーション能力が伸び悩む」(広島県・46歳・男性)
などがありました。
お話をお聞きした方

中西 みのり なかにし みのり 1974年東京生まれ。1992年から5年間、ロンドンの大学でマーケティング、インテリア・建築デザインを学び、1999年にボーネルンド入社。
マーケティング、バイヤー、企画・設計・デザイン部門の統括を経て、2023年に代表取締役社長に就任。一児の母。 この監修者の記事一覧はこちら
○暑い日や雨の日、どんな遊びをさせる?

――アンケートの回答で、暑い日や雨の日の過ごし方について具体的な悩みを聞くと、家にいると「子どもに何もしてあげられていないんじゃないか」、「もっと特別な体験をさせないといけないんじゃないか」という焦りを感じる人もいるようでした。

中西 子どもの発達を考えたときに、体も心も思い切り動かして遊ぶことは、成長に欠かせないとても大事な活動です。でも、それを「そうでなければならない」と強く考えすぎると、親御さんたちにとってはプレッシャーに感じてしんどくなってしまいますよね。

外遊びは大切ですが、猛暑や悪天候の日は家での遊びにもじゅうぶん価値があります。それに私は、家にいることはそんなに悪いことだと思っていません。家は子どもが安心して過ごせる居場所ですから、そこでゆったり過ごしたいという気持ちも大切です。「何か身になる経験をさせたい」と思うかもしれませんが、まず子どもが家で安心して過ごせているということだけでもじゅうぶんだと思います。

家でどんなふうに過ごすといいかは、子どもの気質にもよります。とにかく動きたいアクティブなタイプの子どもであれば、家の中でも少し体を動かして遊べるといいかもしれません。

――中西さんの娘さんはどんなタイプですか?

中西 10歳の娘は、はっきり「家でゆっくり休みたい」と言うタイプです。
「毎日頑張って生きてるんだよ」って、まだ小学生なんですけどね(笑)。毎日じゅうぶん学校で頑張っているから、誰にも何も言われない日がほしいそうです。

でも、どのお子さんもきっと家の外ではとっても頑張っていると思うんです。心から安心して、自分のままでいられる場所というのは実はあまりありません。外で好きなだけごろごろしていい場所なんてないですよね。だからこそ、家で安心して過ごせる時間も大事にしてあげるといいと思います。

――娘さんは家ではどんなふうに過ごしていますか?

中西 動画を見ることもありますし、オンラインで友だちとゲームをして遊んだりもします。ほかには粘土やスライムで遊ぶのも大好きです。スライムを作るときって、分量によってかたさが変わりますよね。娘は研究者のように、かたさの違うスライムを一種類ずつタッパーに分けて保存して遊んでいます。粘土やスライムのように、手先を動かして独特な感触を楽しむ遊びは、心を無にしてこねることでストレス発散になりますし、気持ちを整えられるんですよね。
○家で過ごす時間が増えると、コミュニケーション力は育たない?

――アンケートでは、「家で過ごす時間が増えると友だちとのコミュニケーション力が伸び悩むのでは」という声もありました。
その点についてはどう考えますか?

中西 子どもたちは、保育園や学校や外出先で、お友だちや先生などさまざまな人とかかわり合います。もちろん楽しいこともたくさんありますが、同時に気を遣いますし、それなりの緊張感を持って接しているでしょう。実は子どもたちは、他者と関わりながら自分の感情や行動を頑張って調整しながら過ごしているんですよね。帰宅した時点ですっかり疲れてしまっていることもあるのです。

家でゆっくり過ごせるはずの時間に、さらに「コミュニケーションを」となると、心がもっと疲れてしまうかもしれません。園や学校へ通って、お友だちや先生と過ごせているのであれば、休みの日にも「なにかさせなくては」と頑張らせすぎなくてもいいのではないかと思います。

――家にいる時間が長いと、つい子どもに口うるさくしてしまうこともあります。

中西 わかります(笑)。でも親が口うるさいことがその家庭の日常なら、それも子どもの安心かもしれません。「うちの親はうるさいなあ」と思っていたとしても、その家庭らしい空気の中で安心して過ごせているなら、それがいちばんですよね。

親に少し口うるさく言われても、きょうだいとけんかをしても、それでもありのままの自分を受けとめてくれる、安心できる居心地のいい場所が家庭なんだと思います。
○外遊びできない日は「家の中でも十分遊べる」

――暑い日や雨の日の過ごし方について「子どもが運動不足になる」ことを悩んでいる親が多くいました。
自由回答では「動画ばかり見てしまう」という声も。

中西 私の娘もタブレットを使いますし、オンラインゲームで友だちと遊ぶこともあります。長時間の使用は心配ですが、私は無理やりやめさせるのは嫌だったので、娘に自分でルールを決めてもらいました。「1時間ゲームで遊んだら休憩する」 「宿題を終えてからやる」といったルールを、家にあるホワイトボードに自分で書いてもらったんです。すると、だんだんとそのルールが習慣になっていきました。

子どもは本来、発散したい気持ちを持っていますし、ずっと同じことをしていると飽きますから、自然と体を動かしたくなるものです。だからこそ、外に出られない日でも、その気持ちを家の中で満たせるような遊びを取り入れてあげられるといいですね。外に出られないなら、クッションやマットなど安全に配慮しながら、家の中でも体を動かせる遊びを取り入れてみるのもいいと思います。

――家の中で体を動かして遊ぶ工夫としてはどんなものがありますか?

中西 コロナ禍を思い出すと、みなさん家の中で運動していましたよね。ビニール袋を風船代わりにしてぽんぽん打ち合うだけでも運動になります。タオルで綱引きのように引っ張りあって遊んだり、何もなければ手押し相撲をしたり……意外と何でも遊び道具になりますし、親子で一緒に遊べば自然に体を動かせます。

私は遊具を販売する立場ですが、それでも遊びの本質は道具ではなく、親子で一緒に楽しむことだと思っています。

○「遊んであげられない」と気にしすぎないで

――最後に、子育て中の読者にメッセージをお願いします。

中西 近年は、室内でも熱中症になることもあるほど夏の暑さが増しています。でも子どもには、適度に体を動かしたいという欲求がありますから、家の中で先ほど紹介したような遊びを取り入れてみるといいかもしれません。

コロナ禍では、ボーネルンド公式YouTubeチャンネルで「プレイリーダーがお届け!あそびのヒント」として、家でできる運動や遊びを発信していました。こういった動画を活用して、ぜひ親子で一緒に遊んでみてほしいと思います。

そして、親御さんは「できない」とあまり気にしないで。充実した休日を過ごせない、なんて悩む必要はありません。特別な遊びでなくても、親子で楽しむ時間そのものに価値があると思います。ついイライラしてしまわないためにも、親自身の心の健康を優先してくださいね。

私自身も悩みながら子育てしている1人の母親です。子育てで後悔することもたくさんありますし、結果がどうなるかなんてだれにもわかりません。それでも、子どもに一生懸命向き合っている、そのことだけですばらしいと思います。
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